劇場公開日 2018年10月13日

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日日是好日のレビュー・感想・評価

全299件中、1~20件目を表示

4.0樹木希林から黒木華へ日本的美意識の継承

2018年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

幸せ

多くの映画ファンにとって心の母、心の祖母であった樹木希林。昭和顔で親しまれ高い演技力が内外で評価される黒木華。この二人が茶道を介して対峙する。なんとも贅沢な企画ではないか。茶道の先生から決まりごとと所作を教わる長い年月の中で主人公が人生の大切なことを学ぶという物語だが、撮影現場での演技のやり取りを通じて、樹木から黒木へ、女優としての矜持、いち人間としてのあり方が伝授されたようにも見えた。それはきっと、茶道の根本にある日本的な美意識とも相通じるものだ。

大森立嗣監督は、過去作と照らして考えると、初めて「美」に真正面から取り組んだように感じた。俳優たちの所作はもちろん、茶の道具、和菓子、和服、庭の自然などをとらえた映像もみずみずしく、ため息が出るほど美しい。大森監督の新境地であり、将来のスケールの大きな傑作につながるステップとしても位置付けられそうだ。

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高森 郁哉

4.5ゆっくりとした静かな日常の物語

2024年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

この作品の起承転結とは永い人生の物語。
同じ場所で同じ仲間が集まっても、同じものなど決してない。
武士道と同じ。「武士道とは死ぬことと覚えたり」
だからこそ、この二度とない今この瞬間を精一杯五感で感じようではないか。
日本のすべての教えのジャンルの中にある考え方であり精神文化であり、奥義。
しかし、いい話を聞いたと思っても、それを実行に移すことができない難しさ。
日常の習慣化された生活や、ルーティーンやタスク管理社会。
忘れてしまうのか、思い出せないのか、とにかく必要な瞬間にそれが出てこないほど、主人公にとって茶道が身に付いていないのだ。
ある日突然割り込んでくる些細な出来事はいつも「次回」に先送られる。
そしておそらく、前触れは必ず起きる。
試されている。私たちは常に「試されている」のだ。
頭の奥で感じる違和感。
気になるが、もうどうしようもない。
そしてそれは的中する。
後悔、慚愧の念。
もう一度出直さなければならない。
主人公のノリコにとって、お茶は人生を考えるためのアイテムだ。
彼女の人生の軸だ。
ノリコはそこまで認識していないが、頭の中がすっきりすることでお茶を続けている。
悩むときにはまたそこに戻ってくることで気分がリフレッシュされるが、さすがに婚約者の浮気と破断から立ち直るには時間がかかった。
しかしやがてまた新しい出会いがあった。
日日是好日
最後にノリコは「毎日がいい日」と心の底からそう思えた。
私はその解釈を「あるがまま」と捉えた。つまり、「何があっても大丈夫」という心構え。
ノリコとの比較でミチコが登場するが、ノリコはミチコと比較してしまうことで自己否定感を覚えるが、人生の長い時間の中でそれは解消されていくのだろう。
物語として、これといった出来事もないまま、この作品は終了するが、最後に24年後となる。
あの犬の茶碗。12年に一度しか使わない茶碗。先生が次回遣うときは100歳。
「次回このお茶碗を使える時、どんな世の中になっているのかしら?」
どうしても思い出さずにはいられない「JIN-仁」の武田鉄矢さんのセリフ「南方先生のいた世界は、太平の世ですか?」
思わずこみ上げるものがある。
そして二度とない今この瞬間を、毎年同じことのように繰り返すことのできる幸せ。
受け継がれていく精神。
少し敷居の高い世界であるかのようなお茶を、入門したての失敗を交えてコミカルに描いている。
茶道は、
ノリコの人生の中心軸。
自分軸。
そこに戻ってくるための手段がお茶。
それがやがて身に付き、どんな出来事があっても「大丈夫」になって行くのだろう。
樹木希林さんの遺作になったことで話題にもなったが、共演者たちは彼女のセリフがそのまま現実化したことに驚愕しただろう。
樹木希林さんとの共演は二度とないだけに、作品への想いも一入だろう。
二度と見ることのない樹木希林さんを偲びながら見させていただいた。
やわらかく優しい良い作品だった。

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R41

5.0本筋と違うかもしれないけど

2024年5月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 お父さん役の鶴見辰吾さんが、典子ちゃんが立ち直ってお茶のお稽古に出かけるときに、お母さんと、お昼だけどお酒を飲もうといったシーンで、ものすごく涙が出てきました。
 時間も適切で、見てよかった映画でした。

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たたみ

3.5典子の若干ふがいない人生

2024年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

黒木華扮する二十歳の典子は大学生になったが何がやりたいか分からなかった。とにかくお茶を習う事になった。

多部未華子と姉妹役で、お茶の先生に樹木希林。お茶の先生のところにかけてあった額が日日是好日。黒木華のロングヘアは初めて観たんだが、どうしても多部未華子の方が派手に見えたけど清楚な感じでいいね。でもふたりとも初々しかったよ。樹木希林の茶道の先生ぶりが板に付いてたね。ずいぶん茶道の事が分かってきたよ。でも最終的には典子の若干ふがいない人生だったね。

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重

5.0とってもとっても美しい映画

2024年4月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

BSプレミアムにて鑑賞。
お茶の世界を通しながら、四季二十四節気の移り変わりを、登場人物たちの日々の暮らしと重ねつつ味わう、とってもとっても美しい映画。
原作は未読なのだが、プロデューサーや大森監督が心からこの原作に惚れ込んで、大切に脚本を書き、映画化したのだろうということがあふれ出ている。
観ているうちに、映画の向こう側に、原作者の森下典子さんそのものの姿が立ち上がってくる感覚を覚えた。

それにしても、黒木華、多部未華子、樹木希林の表情や立ち居振る舞いを観ているだけで、自然と涙が滲んできてしまったのは、自分でも驚いた。

形の美しさが、こんなにもこちらの心を動かしてくるとは…。

この映画で何よりも大切にされているのは、観客の五感が最大限に働くようにすること。特に音を本当に大切にされているところが素晴らしく、自分も記憶を揺さぶられた。

公開時に、タイミングが合わず鑑賞機会を逃していたので、今日こうして出会えたことにも感謝。
これもまた、大切な一期一会。

<追記>
妻が原作を持っていたので、早速読了。
原作も間違いなく素晴らしかったし、今度は、黒木華と多部未華子と樹木希林と…というように、映画の登場人物たちの声と姿が浮かび上がってきた。
森下さんの文は、すうっと心に入り込んでくる。
原作未読の方は、是非。

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sow_miya

4.5美しい小さな世界を感じさせる原作の空気そのままだった。映画館でじっ...

2024年4月29日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

美しい小さな世界を感じさせる原作の空気そのままだった。映画館でじっくり音に浸って観てみたかったな。
浜辺で雨に打たれながらありがとうございまーす!だけ意味が分からなかった笑

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amco

4.0高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山の霞たたずもあらなむ

2024年3月23日
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マサシ

3.5演技

Kさん
2024年3月2日
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鑑賞方法:VOD

樹木希林さんの演技が自然でほんと素晴らしかった。ストーリーについては言い表しにくいが、退屈せずに見ることができた。

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K

4.0日本的美学

2024年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

樹木希林さんに黒木華さん、さらに多部未華子さん。
日本が誇る演技派女優様たちの演技光る。

決して華やかとは言えない、
だが美しい。
日本はやはり美しい。
そう感じる他ない。

樹木希林さん演じる武田先生、
所々で典子へ鋭い言葉を投げかける。
相手を傷つけるわけではなく、考えさせるために発せられた言葉たちには愛がある。
すぐ分かることと、すぐ分からないこと。
鋭い言葉の中にはすぐ分からない言葉もあるのだろう。
時を経てやっと本質に気付かされる。

きっと私の周りにもすぐ分からないことが隠れている。
「分かるようになる」その日を楽しみに今日も生きていこう。

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ぐでやま

4.5これ観るとお茶を習いたくなる

2024年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

知的

幸せ

観ているとこころが整う映画。
女優陣がはまっている。
季節のうつろい、自然とことばと着物の美しさ。
呼吸がらくになる。

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流離いのオオハシ

3.0なんでもない一日が、好い日

2024年1月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

日々を大切に生きていっても良い事ばかりの人生が送れる訳じゃない。悪い事も辛い事も、起きた事をただ受け止めて生きていく。五感を使って、感じたままを受け入れる、という事かな。
どちらかというとゼロからプラスになるよりはマイナスをゼロに戻す様な映画だと思った。

『半落ち』を見た時も思ったけど、樹木希林さんの演技はいつも思わず泣いてしまう力がある。凄い俳優さんだ。

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bex

3.0女優はいいが

2024年1月1日
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プライア

4.0「道」を観てから観るといいかも

2023年12月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

「日日是好日」はお茶を通してある女性の人生の起伏を魅せる映画だ。

何の気なしに、母の勧めるままに、お茶を始める二十歳の典子。多分、お母さんにしてみれば「ただ者ではない」武田のおばさんの、佇まいの欠片でも、娘の人生の財産になれば良いな~、みたいな軽い提案だったんじゃないだろうか。
「真面目で不器用な」典子は、従姉妹の美智子と違い、好奇心や積極性で自分の人生をグイグイ切り開いていく様には思えない。
親心から来るさりげないアシストだ。

真面目が功を奏した形で、典子は少しずつお茶の楽しさに目覚め、人生の浮き沈みの傍らにいつもお茶があった。
美味しいお茶と、季節の移ろいと、自然と五感がもたらす感動が、典子の人生の道筋を確かに彩っているのだ。

さらにこれは一つの「世界」を極めようとする映画でもある。

些細なきっかけで始めたことでも、続けていくうちに朧気ながら輪郭が掴めてくる。茶碗、掛け軸、お菓子のしつらえに、一体となった「世界」が見える。
現実の枠を飛び出すような、心に広がる壮大な「世界」を感じる瞬間。その静かな高揚が、典子の表情や仕草から伝わってくる。

作法を意識せずとも所作をこなせるようになっても、亭主の意匠を感じられるようになっても、油断はならない。
間違えたり、雑さが抜けなかったり、精進に終わりはない。長い長い道のりだ。

そしてお茶の精神とは、「一つとして同じお茶はない」ということだ。またご一緒しましょう、の約束が叶わないこともある。
人との出会いも、季節の巡り合わせも、幾筋もの道が折り重なった産物だ。その日は一生に一度しかない日なのである。

ここまで書いて気がついた。
この映画は「道」を見立てたお茶室だったのだな?
フェリーニの「道」、茶道という「道」、そして典子さんの人生という「道」。3つの道が重なりあい、響きあう監督のしつらえだったのか!
フェリーニの映画を掛け軸に、典子さんの淹れてくれたお茶を楽しむ。
是非とも心までポカポカするような、温かいお茶をお供に観賞して欲しい。

結構な御点前でした。

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つとみ

4.0日本人の感性の磨かれ方

2023年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

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parsifal3745

5.0日本の細やかな感性で

2023年10月7日
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鑑賞方法:VOD

知的

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yumeko

4.0すごくいい作品、大満足です

2023年10月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

25年間の春夏秋冬を優しくしっとりと描いた秀作

お茶をたてる時のお湯の音
木々を打つ雨の音
柔らかく部屋の中まで照らす陽の光
素敵な器に入った個性的な和菓子の数々
脳を刺激する掛け軸の字や絵とダイナミックな筆圧
温かそうで今にも畳の匂いがしてきそうな綺麗な和室
等々が全編通して五感を気持ち良く刺激してきます

黒木華さんの自然で悩める主人公の好演も良かったですが、やはり本作は樹木希林さんが素晴らしかった

先生だけども「私もいつまで経っても上手にできないのよ」なんてたくさんの生徒の前で言っちゃう所や生徒に作法の意味や必要性を聞かれても「そんなこと聞かれてもねえ、知らないわよ、考えるもんじゃないの、感じなさい」みたいなことを言われます、とにかくすごく自然体で余裕、大きい、大きすぎる
でもって所作が綺麗、静かに流れるような動きは到底 一朝一夕では成し得ない技、苦労と努力を重ねてきた大女優の貫禄を目の当たりにし圧倒されました

掛け軸の解説をしてくれたりするのも良かったし、こういう有意義で幸せな時間を過ごせると本当に心が豊かになるだろうなと思いました

”日々是好日”、毎日毎日 来る日も来る日も同じことを繰り返し過ごせるのは喜ばしいこと、人間それが一番幸せなんだろうな、と樹木希林さん演じる先生が語るくだりが一番グッときました

ジュリーの「土を喰らう12ヶ月」や富司純子さんの「椿の庭」と同系列のしっとりとして五感を刺激してくる名作群の一本です

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Jett

4.0すぐに分かることと時が経って分かること

2023年9月28日
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泣ける

知的

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sooo

5.0考える前に、先人の知恵にゆだねる

2023年9月16日
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知的

幸せ

これは原作がでたときに、
本屋さんで手にとってひきこまれて
その場でほとんど読んでしまい、
その後も心に残っていた本なので、
今回の映画化は
とてもたのしみだった。

形をくりかえして心を入れる。
それは、先生もそうとしか
教えようがないのだと思う。

私は学生時代、能楽を
やっていたけれど、
舞や謡などは理屈抜きに繰り返して
覚えるしかない。

自然に動けるようになってはじめて
自分なりの解釈などを
すこしづつ入れられるようになる。

その頃茶道を習っていて、
能の舞の姿勢や足運びと、
お茶のお運びの姿勢が
よく似てることに感動した。

あるとき、ふっ、と
腑に落ちる瞬間がある。
もちろん、全てではないけど、
典子が掛軸をみて滝をかんじたように、
水や雨の音をききわけたように。

それは不思議な快感だ。
そしてそれは、無心な繰り返しの中で
初めて得られる。

「こんなことしてなんの意味が
あるんだろう」とか、
「何の役に立つんだろう」
という前に
素直に繰り返す姿勢は美しい。

「稽古」とは古いことをなぞることだ。
ひたすら体に覚えこませる。
そうしてはじめて見えてくることがある。

まず形を作って、そこに心を入れる
自分が、自分が、という個性の主張、
自由という言葉に
かえって縛られてやしないか。

我、というのは尖った形だ。
尖ったところをすこしづつ
丸くしていけば動きやすくなり、
色々なものが
見えてくるのかもしれない。

茶室は狭いけれど、
精神を解き放つことができれば、
大いなる宇宙である。

人智を超えた大きな営みの流れに、
自分を合わせることができるのかも
しれない。

心静か、ということは
なんと幸せなことか。

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らいぴゅう

2.5肩の力の抜けた

Kさん
2023年7月4日
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名演技と名言の数々。すぐにわかるものは通り過ぎれば良い。お茶は深い。

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K

4.5好きな映画

2023年5月18日
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茶道を描いた映画を千利休ぶりにみた
これは心温まる日常の描写が良かった

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Hisashi