リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
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モヤモヤが止まらないので記録
綾野剛さん出てるから見ました
話のあらすじ見てあまり好きじゃないタイプの作品だなぁと思いましたがあっという間に見終わってしまいました
序盤の気怠げなストーリー展開やある種のうわぁこんな場面あるあるが映画で作り話なのに展開されていくのが耐えられないのでそこを耐えて後半まで頑張って見てほしいです
アムロいっきまーすじゃないのよ笑
本当に綾野剛さん演じる捉え所のない怪しい人物の解像度が怖いです、ホラーですよ
役者っていうのは与えられた役をその時だけ一生懸命生きる(といった意味合いの話が劇中であったのですが
それがまさに役者綾野剛!ってセリフで
会うたびに格好が違うのも良かったですし、終盤に向けてこの人と仲良くなっちゃダメなやつだって本性現してくるのも良かったなぁと、
綾野剛さんのことばっかり失礼しました
黒木さんはずぅぅぅぅと霞がかった草原みたいなふわふわぁっとした人で、この人見たくないわってなっちゃって、それがまた役者さんのすごいところなんだな…と見終わってから感じました。
リップヴァンウィンクルという言葉はどこから来たのか調べたのも見終わってからだったのですが、なるほどなぁと
劇場版を見て、ドラマ版はまだ見てないので時間がある時に鑑賞したいと思います
なんとも言えない文学
マッチングアプリで恋人と出会って、それから順風満帆な人生を送れると思っていた女性。
そんな夢のような生活を期待していたのも束の間、思ってみない所から人生の結び目がどんどんとほつれていく。
自分が望み通りの生き方が出来るなら、それが幸せと呼べるのかもしれない。
けども、その幸せは長く続くものではないと思う。
希望がかなって終えば後に先もにもそれで終わりだから。
この女性は、その幸せと不幸という悲しみの中で大切なものを見つける事が出来たかなと感じた。
とても文学的で見応えのある作品だと思いました。
3時間という長さも見始めると展開の速さに忘れてしまうくらい楽しめました。
また、いつか時間をおいて観てみたい作品です。
好みが分かれる
解釈は観る人によって何通りにも生まれるだろう。
とにかく前半は世間知らずすぎていいように流されていく
主人公の危うさに、大丈夫かこの女は?
普通ついて行かないだろうとイライラして観ていた。
周囲の庇護から抜け出して七海が自立していく話なのかなとも予想した。
Cocco演じる真白の登場から流れが変わってくる。
ある意味無垢とまでいえるヒロインだからこそ
最期まで疑わず献身的にそばにいそうだと選ばれたのだろうし、
狙いを思うとヒロインは天国へ同行する天使のようであり、
対してあむろは地獄への案内人がいたら
きっとこういう感じなのだろうなと思わせる。
冷静に考えるととても怖いホラーなのだが
それをほわっと寓話のように仕立てたのは岩井監督ならでは。
ヒロインはいくつかの別れを経験して
変化した。どこがとははっきり説明しにくい。
きっと今後も彼女はだまされるのだろうけど、
何も知らず流されるままにアリ地獄へ落ちていくのとは
少し違うのだろうなと思わせる。
Cocco演じるましろもこういう人リアルにいそうだなと
感じて恐ろしかったし、
なによりリリィ登場する実家の場面で
綾野剛演じる安室が分かった気がした。
瞬時に相手がこうしてほしいという願望を察して
その望みをかなえ信用を得て、
お金をふんわりともぎとっていく。
相手の願望を入れる虚ろな容器のような存在だ。
己に信念や常識という規範があれば普通はましろの
依頼は受けないはずだが、彼は容れ物なので。
難なく受け入れる。
あまり相手への願望を抱かない無欲な七海は
安室にとっては不思議な存在なのかもしれない。
長くなったがこれも私がそう思ったという解釈であり
まったく違う受け取り方をされる人も多いだろう。
長尺でもある。かなり観る人を選ぶ作品だろう。
主人公に降りかかる嘘と毒と病は一生続く
美しい映像だが、物語には嘘と毒と病が蔓延している。教師いじめという毒に始まり、安室の嘘、マザコンの病……。それと相反して主人公七海は最初から最後まで純粋無垢である。言われたこと、目の前で起きていることをそのまま信じる純粋無垢であると同時に、感情が控えめで全てにおいて受動的、想像力が無く流されやすくもある。中学教師になれる程度の学力と常識を持ち合わせているにも関わらず、とりあえず流れついたホテルの値段が高いのか安いのかさえも調べることなく日々なんとなくそこにいる。こういう人が負のループにハマるんだろうなというのをとても自然に描いている。
負のループは真白との出会いで断ち切られ、楽しい日々が訪れる。奇しくも真白との出会いは安室によってもたらされる。安室は不思議の国の案内人のようだ。そこにいる七海はそれまでとは違い活き活きとしている。しかしそこには自然界の毒と病が存在する。自然界の毒と病によって楽しい日々を奪われた七海は初めて大声を上げて泣き叫ぶ。
ラスト、何かが大きく変わるわけではない。人の本質はあまり変わるものではないので、七海はこれからもなんとなく地味に日々を過ごし、安室に適度に生かされ搾取され続けていくのだろう。友達なんで、という言葉に乗せられて。(友達のいない人間は友達という言葉に乗せられやすい。)
岩井俊仁監督の作品を初めて観たが、じわじわ沁みてくる痛みや病をまとった世界観を美しい映像で見せてくるずるい監督だと思った。(好き)
期待以上
序盤から惹き込まれあっという間の3時間だった。
怪しさMaxの綾野剛に思考が振り回されっぱなしで、「?」の連続。
終盤のまさかの展開は笑ってしまうくらい衝撃的。
岩井俊二作品は苦手だと思っていたが、いい意味で期待を裏切られた作品。
実力派ぞろい
それぞれのキャスティングは最高でした
ただ、長いです
ラスト清々しい表情だったけど、
相変わらずこれからも騙されながら生きてくのだろう
と思わせる主人公
そして3ヶ月くらいたったらどんか話だったか忘れそう
黒木華のなせる技
みててイライラするぐらい
まんまと仕掛けにかかっていく
いい加減な感じの
ラフな何でも屋の
綾野剛も
綾野剛のなせる技
結局成長したのかな
長い映画だったけれど、二度見したぐらい
展開の良い映画だった
荷物を持って彷徨い歩き
ここはどこですか?
我慢が入ると搾取となる
そんな言葉を思い出した。
いま、迷子の自分に突き刺さる。
自分のいく先を決めれないとこうも簡単にかかってしまうのか。
黒木華、綾野剛がお好きな方はぜひぜひ。
黒木華、こういう素朴な人物を演じるのはほんとうまいと思う。 Coc...
黒木華、こういう素朴な人物を演じるのはほんとうまいと思う。
Coccoは彼女が持っている雰囲気がすごく良く出ていて、自分を語るシーンはぐっと来た。
綾野剛のどこまでほんとなのか、あの怪しいうさんくささ。そんな映画ではないのにつっこみたくて笑ってしまった。それがまた映画全体が暗くなりすぎずにバランスが取れているのかもしれない。
おもしろかった。
世間知らずで、少女のような七海。
そんな七海につけこんでくる、アムロ。
お金のためなら、どんなことでもする、なんでも屋を綾野剛はすごく上手に演じていた。
綾野剛だいすきなのに、「こいつ嫌なやつ〜」とすっかり引き込まれた。
嫌なやつでもあり、助けを求めたら助けてくれるヒーローでもあり…ちょっと不思議。。
けど、終盤の真白のお母さんが裸になるシーンで突然泣き出すところ。ちょっと笑いを堪えてる感じで涙を流すアムロを見て、こいつはやっぱり悪いやつだと思ってしまった。そういう細かい演技がほんとさすが。
アムロの悪意ある行動は、なんのためなのかな。盗撮して、姑に送ったり…
アムロは本当のことは言わない。ずっとうまいこと使われて、あの後のストーリーはどんなことになるのだろう。
3時間の映画だったが、余裕で見ることができた。
the岩井俊二のシュール
刹那に生きる人々をダークファンタジー的に切り取ってみたお話
この映画が長い理由は多分みんなの生活を描いてるから、全ての人が流されてて刹那に生きてる部分があるから、24時間でも一年でも撮り続けれるでしょう
自分の人生のどこを切り取るか、どこを映像にできるかを考えながら観るのは少し面白かった。自分のない自分を見ているようで切ない面もある。
誰かの人生の怖いところをこんな風に美しく見せることもできるんだなぁと。その手腕は素晴らしい。
この排他的な空気、昔は少し理解してたかもなぁ〜しかし、恐ろしファンタジーはやはり恐ろしい。
華ちゃん可愛い。
3時間も観る中身なのか…
やはり私のフィーリングに岩井俊二のテイストはマッチしない。
黒木華さんの主演というからチェックしたまでだ。
作中彼女の演技は素晴らしい。幻滅させない。
出会い系SNS
そこから結婚
そして離婚
孤立無援から新境地
東京で生きていく多様性
選択肢は無限大だが、やはり孤独。
綾野剛さんの役回りがペテン師を極めるわけでもなく、いい人すぎるわけでもない。中途半端で映画の展開をただ穏やかにしている感。
これも岩井俊二監督、脚本のこの作品で見せたかった世界観なのか。
なんとも評しにくい映画だった
怖いよ
んー、無駄と感じるカットも多いし
私がネットフリックスで観たやつは映画館と違うバージョン(長く編集しなおした?)と思うくらいだったんだけど
どうやらそうではないんですねぇ。
主人公の黒木華は
怒る事もできず、はい、とごめんなさいが口癖のような
自己肯定感の低い女で流されながら生きていて
あーー嫌いなタイプ
と思ってしまった。
cocco演じる真白とであって変わっていくのかと思ったら
そうでもなく。
綾野剛演じる安室は良い人の顔をした怖いやつなんだけど
自分が悪いことをしている感覚さえ稀薄なんだろう
ああいうやつに出会ったら良い様に駒にされて
搾取されて終わりだよ。
この話を美しいやら優しいって言ってる人が多いのがハテナです。
演技力
岩井俊二監督・・3時間・・見始めるのに勇気がいった。しかし見始めたら3時間は気にならず。兎に角、黒木華さんと綾野剛さんの芝居が上手い。他の役者さんの絡みかたも見事で・・掴めそうで掴めないストーリー。
それもいい。
本当を見つける物語
黒木華のキャスティングが役にピッタリと合っていました。「何が本当で、何が嘘か、作り物か」を考えさせられる映画。本当であるものにも、偽物であるものにも安室が必ず絡んでいる。彼は、善?悪?考えさせられる。映画の評価は人によって分かれる作品なんだろうと思う。アングルや光の使い方はやはり岩井作品。
世界観の統一
作品というものは、こうであれ。と言ったような出来。
というのも、最近 よくわからない世界観の繋ぎ合わせというか、
「なに?これって あれ? そっち?」
みたいなのを見たせいだと思う。
ストーリーの起伏や筋立ての変化は楽しめるんだけれど
そうじゃない 腰の座りの悪い ただただ力不足 技術不足、 みたいなのは 客に対する冒涜だから。
綾野剛の さらっとした仕事ぶりは 彼の
役柄として 過去に、語る事も出来ない苦労(という言葉では陳腐)を生き抜いてきたしたたかさが ちゃんと見える。
そこが上手い。
黒木華は、当て書きだそうで
それはもう岩井俊二に当て書きされたら役者冥利に尽きるだろうなあ。
最初は女子高生にも馬鹿にされるような頼りないだけの教師が、頼っていいのか悪いのか判断しかねても良さそうななんでも斡旋屋を全く1ミリも疑わずに最後まで信じ切って、強さを身につけて行く。
そのストーリー性が上手い。
お城のような家の秘密がそこだったのかと 虚をつかれそして安堵する。
全体が曇り空。
常識人の見本のような 臨時教員が
東京で生きていく姿を見ると
もし 自分が今地方在住であったら、怖くて都会になんて子どもも孫も 出したり絶対出来そうにない。
ただそれは あながち間違いでもなく
東京での一人暮らしと 東京実家暮らしとでは
別の都市であるかのような顔を持つ町であるのは間違いない。
愛に溢れた映画だなぁ
とてもいい映画だった。
後になってもあそこが良かったとか思い出す映画って、いい映画だと思う。これはそういう映画だ。
主人公の大人になりきれない七海と便利屋で怪しい魅力の安室、そしてポルノ女優を全うするために癌の治療をせず余命わずか、子供の頃に母親にも捨てられて愛が足りない真白。3人が色々なエピソードで絡みながら確実にいろんな形の愛を生んでいく。
暖かくて泣けてくる。
1番の見どころは最後の真白の母親にお骨を届けた時だろう。死んでしまったけれど、真白はは最後に大きな愛に包まれたんだなぁ。そして、大人として成長した七海も新しい一歩を踏み出した。
愛と希望に溢れた岩井俊二らしい優しい映画だった。
安室が不気味すぎる
2021年2月22日@Netflix
映画自体は面白く、飽きずに鑑賞できたが、終始七海にイライラしてしまいました。
自分というものがまるでない。
映画のなかで成長するのかと思っていたが、そうでもなく、あんまり大きな変化もない。
しかし、真白との日々のおかげで、すこし自分の意思を持てるようになれたのかなと思いました。
ただ、七海を演じた黒木華の演技は芸術ものでした。
この映画のタイトルにもある「リップヴァンウィンクル」のことを知らずに鑑賞したので、映画の趣旨や方向性が掴めなかったのが悔しいところ。
安室の不気味さが光る映画でした。
綾野剛、上手い!
「すみません」と「ごめんなさい」ばかり言っていて、声が小さくて、腰掛ければ内股で、大人は履かないような靴下と踵が少しパカパカしてるゆるい靴。全然、大人になってない七海。子どもだから、何でもSNSに頼ってしまう。脇がすごく甘くて警戒心ゼロ!完全に餌食にされるのが目に見えている。友だちが少なくても、親戚が少なくても、親が離婚していてもいいじゃない。そもそも無理に結婚する必要ない!
七海にしか教わりたくないと、きちんと言える、何ヶ月も不登校の女子高生の方がずっと大人だ。だから、七海にイライライライラ!
と、言葉にするとこんな風になってしまうのだけれど、3時間を感じさせない面白さと美しさとドキドキで、とてもよかった、本当に。透明感ある黒木華、綾野剛は凄く上手い!りりぃと同じ姿になったのも、アムロ的サービス?とも思えた。
アムロは七海を大人にしてくれたのか?それとも、これから食い物にしていくのか?その曖昧さが余韻という美しいものになっていた。
本当に、それでいいの?
自分に自信が持てず、人に合わせ翻弄される主人公七海を、黒木華さんが彼女の魅力でもある柔らかな表現で演じられており、冒頭から引き込まれました。メイド服姿も可憐でした。
人懐っこい笑顔で他人の懐に入り込み、淡々と事業をこなす「 なんでも屋 」安室を、綾野剛さんが魅力的に演じていた。
原日出子さん、りりィさん、迫力の演技でした。
黒木華さんとCoccoさんの、純白のウエディングドレス姿でのシーンが美しい。
心優しく他人に流され易い七海は、これからどんな人生を送るのでしょう。見応えのある作品でした。
自立までの物語
非常勤でも一応は教育免許を持っているとは思えないほど、自分の頭で深く考えない、流されやすくて危なっかしい主人公の皆川七海。
SNSで知り合った彼氏となんとなく付き合い、お互いによくわかり合えてもいないのになんとなく結婚に至り、マザコン夫の母親に騙されたのか、家に落ちていた女物のピアスを夫本人に問わないまま、信頼しきれないとわかっている、綾野剛扮する安室と名乗るSNSで近づいてきた男に浮気調査を依頼。
両親は離婚していて実家は岩手だし、元々友人が少なくて、世間話の延長で近況を話せる相手がもしもいたら、「それ危ないってやめておきなよ」と必ず言ってくれる人がいるだろうに、結婚式の参列者のサクラ手配を安室に頼んだところから、30万で浮気調査、ホテルの部屋で誤解を呼ぶ隠し撮りをされ離婚、身寄りがいなくなったところで月収100万の住み込みメイドという名の道連れ心中に1000万で売られる、おそらく不動産屋の紹介、と安室と主従関係が切れない泥沼に無自覚のうちに陥る。
安室の幅のきかせ方が怖くて怖くて。黒木華もマザコン夫の母親も、双方が安室に依頼をしていなければ脚本が成り立たないし、里中真白もどこかで出会った縁の流れで最期を安室に依頼したのだろう。どう考えても怪しい男で、普通なら関わらないはずなのだが、人当たりが良く、親切な感じ、マメなところに人は困り事を頼もうと思ってしまうのだろう。人が弱っているのを見逃さず、優しくしているようで手中にかけていく怖い男。皆川七海からは、サクラ代、浮気調査代30万、夫の母親からは別れさせ屋代、里中真白からは1000万、里中真白の残したお金から、手数料やお墓代など諸々引いて200万弱、がっぽり稼いでいる。真白が払った1000万から七海に半年分くらいの月100万のメイド代おそらく600万程度を支払い、引っ越し祝いに粗大ゴミから家具を集めてきてもなんら痛手は被らないのに、マメに連絡や送り迎えや荷物運搬をして貰う事で、安室がリアルにお金をやり取りする場を見た後でさえ、アムロを頼り親切でして貰っている気がしてしまう七海。
キャバ嬢の知り合いに、私は割り切れないやと言っていた割に、あれよあれよと側から見れば堕ちていくが、週一回の不登校の生徒へのオンライン指導で、どうにか首一枚裏社会に落ちずに繋がっている状態。
なのに、どんどんイキイキしてくる七海。最初はスマホを見てスマホに本音を呟いてばかりだったが、アル中の母親と離れてAV女優をはじめ末期の乳がんで亡くなる里中真白との、謎の豪邸での2人暮らしを通して、表情にも血が通ってくる。
ここを岩井俊二監督は描きたかったのかな?結婚がダメになろうと、AVに出ようと、何に手を染めようと生きていれば人との関わりもあるしどうにかなるけど、死んだらおしまいだよと。
最初の結婚式のシーンなんて、黒木華の顔が暗すぎて、本当に見てられないもの。でも、ずっと「あっ」とか「えーっと」が枕詞で主張や意志が感じられない七海だったが、里中真白の遺骨を母親に届けたところで、やっと、自らの意思で「呑みましょう」「おかわりください」と色々吹っ切れたかのように焼酎を飲む選択をする。ここまでずっと待ってきて、自発的な主人公がやっと見れた、という感じ。それまでも、夫から追い出されて荷物を持って倒れ込むようにたどり着いたホテルでパートを頼んだりと、生きていかなければという粘り強さは感じられるのだが、なんだかとても危うい感じで。
実はその危うさに、安室も仕事以上の気持ちを抱いているのかな?とかも思うけれど、1000万で売っているのだから恐ろしい男。
指先から結婚指輪はなくなった七海だが、色んな世界に足を踏み入れ人生経験が短期間で豊かになって、最後には晴れ晴れとした黒木華が見られる。個人的には、黒木華は慎ましく見せて、自己中やしたたかな役を見慣れていたから、今回もそうかな?と思ったが、違った。
作中の、Cocco扮する里中真白の「お金の意味」がすごく印象に残った。人は簡単に幸せになれてしまうし、世の中には幸せが沢山あって、人が真心込めて優しくしてくれる瞬間も沢山あって、でも全て真に受けていたら幸せになりすぎて壊れてしまう。だから、優しさを直視しなくて済むように、対価としてお金のやり取りが発生するように、お金が存在するんだ、というもの。確かにそうで、お金を払っていなければ、美容院にしろマッサージにしろ、自分の欲求だけのために誰かが動いてくれる事を、要求も依頼もできないよなぁと納得した。
そして、その概念の象徴のような存在が、綾野剛演じる安室なのだろう。がっぽりお金は頂くが、真白の実家で母親の悲しみに合わせて、号泣し全裸にまでなる身体をはる男。
でも、お金のやり取りがなくても快く動いてくれる人こそ本当の温かい人間関係であり、心を開くことを少し覚えた七海にも、いつかそれが手に入って欲しいなと思う。真白にも、孤独に見えて、いざ亡くなれば職場でもなく一度飲んだだけの人達が家族を装い来てくれたように。
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