エル・スール

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「ミツバチのささやき」のビクトル・エリセ監督が、同作から10年を経た1983年に発表した長編監督第2作。イタリアの名優オメロ・アントヌッティを迎え、少女の目を通して暗いスペインの歴史を描いた。1957年、ある秋の日の朝、枕の下に父アグスティンの振り子を見つけた15歳の少女エストレリャは、父がもう帰ってこないことを予感する。そこから少女は父と一緒に過ごした日々を、内戦にとらわれたスペインや、南の街から北の地へと引っ越した家族など過去を回想する。2017年、世界の名作を上映する企画「the アートシアター」の第1弾として、監督自身の監修によるデジタルリマスター版が公開。

1983年製作/95分/G/スペイン・フランス合作
原題:El Sur
配給:アイ・ヴィー・シー
劇場公開日:2017年3月25日

その他の公開日:1985年10月12日(日本初公開)、2009年1月24日

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第36回 カンヌ国際映画祭(1983年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ビクトル・エリセ
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(C)2005 Video Mercury Films S.A.

映画レビュー

3.0想像力を働かせて観たが、難しい

2024年5月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

萌える

1957年のある朝、枕の下に父アグスティンの占い用振り子を見つけた15歳の少女エストレリャは、父は亡くなったのだと察した。それから、エストレリャは、父との日々の事、内戦のスペインの事や、南の街から北の地へと引っ越してきた事などを回想した。そして、エストレリャは南に向かった、という話。

絵画の中の風景、情景のような絵作りでそこは美しかった。
スペインの内戦で疲弊した人たちは多いのだろう、精神を病んでしまった人も多いのだろう。そういう事を十分理解した上で観ると違った気持ちになれるのかも知れない。しかし、自分のようにその辺の背景や庶民の暮らしなどを知らない人が観ると、父の行動は理解できないし、娘は南へ行って大丈夫?なんて思ってしまう。
一見さんお断り作品なのかなぁ?
難しかった。
8歳時のエストレリャ役のソンソーレス・アラングレンは可愛かった。

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りあの

4.5父が不気味な他者と化す経験

2024年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

泣ける

知的

ビクトル・エリセ監督作品。

陰影の画がすごい。

親がふとした瞬間に理解不能な他者として立ち現れる経験は何となく分かる。
子どもの頃は、常にそばにいて親とは一心同体な関係である。
しかし親には当然、子どもの生まれる前の思い出/記憶があり、別個の人間である。それが本作では、少女エストレーリャの初聖体拝受式を契機に象徴的に描かれている。聖体拝受式とは、正式に自分の意志でカトリック教徒になる儀式だという。だからこの儀式を通してエストレーリャは自立した「大人」となるのである。「大人」になった彼女は、父であるアグスティンと対等にパソ・ドブレを踊る。しかし踊りの曲は、父が捨て去った故郷の曲“エン・エル・ムンド”である。それは「大人」になった代償に、自分では分有不可能な父の記憶、父の他者性が到来してしまうことを示している。
この父の他者性は、最後に父娘が会話を交わすホテルでの食事シーンで示唆的である。エストレーリャが授業のために去った後、引いた画でアグスティンを撮るショットは、彼が何を考えているのか分からない禍々しい存在であることを十全に描いている。

本作では、スペイン内戦という〈出来事〉とそれにより引き裂かれる人々の記憶/物語を映画に昇華している。
歴史に根差した作品をもっとみたい。

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田沼(+−×÷)

4.5かもめの家 〜 父を見つめていたあの頃

2024年4月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 3件)
共感した! 6件)
こころ

5.0「秘密」を描くのにこれ以上のものがあるだろうか。重要なのは、秘密そ...

2024年3月31日
iPhoneアプリから投稿

「秘密」を描くのにこれ以上のものがあるだろうか。重要なのは、秘密そのものの中身やそれらを暴き出していくこと、といったありがちなやり方ではなく、秘密を持ってしまったこと、秘密があることを直観してしまったこと、それによってこれまで明らかだと感じていたことがうまくできなくなってしまったこと、そしてそれが簡単に解消できずに溜まっていってしまうこと、こうした秘密に関わるものたちの描き方にあるのだと感じた。
映画としての基調を成している部分の完成度もまた素晴らしい。独特の暗みがかった映像、抑制された音が作り出す静寂の重厚さそして、こどもが持つ危うげな視線の表現、これらがこの映画の雰囲気と美しさを仕立てあげていて、終始崩れないでいてくれることで、中盤終盤になってもだれることなく、引き込まれ続けることができる。

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kp
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