ソルジャー・ブルー

劇場公開日:

解説

語られざる西部開拓史と、そこに燃えた激しい青春の姿をシャープな感覚で描く。製作総指揮を「ひまわり」のジョセフ・E・レビン、製作はハロルド・ロブとガブリエル・カッカ、監督を「野のユリ」「まごころを君に」のラルフ・ネルソン、セオドア・V・オルセンの小説「太陽を射る矢」をジョン・ゲイが脚色、撮影はロバート・ハウザー、音楽をロイ・バッドがそれぞれ担当。主題歌は「いちご白書」の「サークルゲーム」を歌ったバフィ・セイント・マリーが「ソルジャー・ブルー」ほか数曲を歌う。出演は「…you…」のキャンディス・バーゲン、新人ピーター・ストラウス、「007は二度死ぬ」のドナルド・プレザンス。その他、ホルヘ・リベロ、ジョン・アンダーソン。テクニカラー、パナビジョン。1970年作品。

1970年製作/アメリカ
原題:Soldier Blue
配給:アブコ・エンバシー
劇場公開日:1971年2月13日

ストーリー

1860年代アメリカ中西部のコロラドは、燎原に燃え広がっていく野火のように、西部開拓の嵐が吹きまくっていた。だがそのために先住民のインディアンと開拓者、アウトローや騎兵隊の衝突は尽きることがなく、血の殺戮、硝煙の匂いが全土に立ちこめていた。クレスタ(キャンディス・バーゲン)は、2年前、たまたまこの辺りを旅行中、シャイアン族に襲われて、そのまま一族の酋長“まだらの狼”(ホルヘ・リベロ)の慈愛を受けていた。もともと彼女は何の偏見も持たぬ自由な女だったので、彼らとの生活も結構楽しかった。しかし、彼女には婚約者がいたので、一族に別れを告げ、彼の待つ砦へ向かうところだた。彼女を護送する騎兵隊はたまたま金塊を運んでいたため、待ち伏せしていたシャイアンに襲撃されて皆殺しになってしまう。僅かに生き残ったのはクレスタとホーナス(ピーター・ストラウス)という若い兵士だけだった。彼は父をインディアンに殺され、復讐に燃えていた、数日間、旅するうち、インディアンをめぐり2人の意見はことごとく対立する。「生まれ育った土地を奪われる悲しみが分からないの? 残酷なのは白人なのよ」というクレスタが、ホーナスには理解できなかった。だから旅の途中で会った武器商人イサック(ドナルド・プレザンス)の持っていた銃も、インディアンの手に渡ることを恐れて燃やしてしまう。彼はそのために脚を射ち抜かれ、クレスタの介抱を受けるのだが、クレスタの激しい気性の中にひそむ自然な優しさを彼はいつしか愛しはじめてしまう。何日目かに2人は砦に辿り着く。そこでクレスタは婚約者から、アイバーソン大佐(ジョン・アンダーソン)率いる一隊がシャイアンとの協定を破り、集落を襲うことを聞き込む。2人はインディアンを救おうと砦を脱出するが、時遅く、目を覆う殺戮が始まっていた。インディアンの手足を切り取り、女を輪姦し、子供の眼球を撃ち抜く白人の狂気! ホーナスは愕然とした。クレスタの言う通りだったのだ。悪鬼のようにふるまう白人騎兵“ソルジャー・ブルー”たちに向かって彼は敢然と反抗していった。例え反逆罪が待っていようと--。(アブコ・エンバシー配給*1時間52分)

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映画レビュー

4.0国家の残虐性

2024年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

冒頭の主題歌がものすごく印象的で頭に残ります。この映画全編を貫くテーマを歌ったまさに主題歌です。映画として成立するための筋が合間にありますが、言いたいことの8割は冒頭と最後の戦いのシーンでしょう。明らかにマネキンが使われていたり、血のりが嘘くさい色だったりと現代からすれば突っ込みどころはありますが、むしろそのくらいでないと泣いてしまいそうな残虐さです。

ホロコーストという言葉もまだなかった時代、民族の集団に対して国家という強大なリヴァイアサンが残虐さを振るった事例を見せてくれるのではないでしょうか。実際先住民が土地を奪われ、殺されるということは報復の連鎖があるにせよ現代からすれば犯罪以外の何物でもありません。主人公とヒロインはそんな現代の目を当時にもたらす役割かと思えました。

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FormosaMyu

4.0私の原体験映画

2023年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

個人的に思い出の作品のDVD購入(オークション)に今更ながらハマっているのですが、その中でも一番欲しかったのが本作でした。
本作はリバイバル上映の記憶も無く、テレビでの放映も(あったかも知れないが)録画も出来ず、今の配信などでも見かけなかったのでもう一度見たいという思いが非常に強い作品でした。
ということで、本作の場合ちょっと高かったですが(それでも新品Blu-rayで2000円以下)購入してしまいました。
本作を初めて鑑賞したのは忘れもしない1971年3月7日、私が中学を卒業し高校に入学する前の春休みに中学の友達だった子と、大都会の大阪梅田の映画館(今は無き梅田東映パラス)にて初めてロードショーで(封切り)鑑賞した、私の映画の(思春期の)原体験となった記念すべき作品なのです。ここから、私の映画好き人生が始まったと言っても良いと思います。
当時15歳の私にとっては強烈に印象に残る作品でした。あまりにも強烈だったので当時の映画館は入替え制では無かったので2回連続して見た記憶があります。
本作の場合は上記のような条件や、初めての大都会の大劇場の大スクリーンや封切り直後の超満員の雰囲気などが重なり観る前からの興奮度も高く、かなりの高揚感で鑑賞した記憶があります。

本作の簡単な紹介をすると、当時のアメリカンニューシネマの波に乗って反体制的な作品が多く出現し、今までの西部劇ではあまり表現してこなかったインディアン側から見た白人の姿を描かれていて、ウィキでの簡単な説明も紹介しておくと特に「米国史の暗部である1864年のサンドクリークの虐殺を提示することで、1960年代のベトナム戦争でのソンミ村事件へのアンチテーゼを掲げた映画だとも云われている」とのことで、ラストの生々しい惨劇シーンが話題になった作品です。
で、今回半世紀以上経て見直したのですが結構詳細に憶えていて、人間の若い頃の記憶って改めて凄いものだと感心しましたよ。
但し、全体的な印象は違っていましたね。もっと社会派作品だと感じていたのですが、前半の主人公二人のロードムービーが思っていた以上に軽快で若々しく(緩くも)感じられ、まるで青春映画であり“grown-up” の物語を強く感じたのは、私が歳をとったからなのかも知れません。ラストシーンの拘束されながらも二人が笑いあい見つめあいながら終わるのは、他のニューシネマに無い希望が見られましたね。

今回見直してつくづく感じたのは、私の映画原体験ともいえる作品が本作で本当に良かったという事です。そして、これを15歳の多感な時期に見たことが最も重要で、その後の私の物事を見つめる姿勢や価値観に凄く影響を与えてくれたような気がします。
本作を見る数日前に話題の『福田村事件』を鑑賞していたのですが、構成やテーマに於いて本作と凄く似ている様な気がしました。人間の本質的な性質の弱さや醜さや美しさを同時進行的に描かれている共通点が見受けられました。
何を捉えるにしても、主観だけではなく客観的視点を絶えず意識して働かせていなければならないということを、本作で潜在意識に植え付けられたのかも知れませんね。

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シューテツ

3.5"サンドクリークの虐殺"

2022年5月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

少しのアドベンチャー、まるでラブコメのような展開、仄々とした音楽が流れ、お転婆娘とウブな男子のコミカルなロードムービーとでも言うべきか、そこには何ら緊張感の欠片もなく、お色気サービスも少々!?

全てはラストに於けるクライマックス迄の余韻に過ぎない、優位に立ち勝利する者が全ての正しい側に存在してしまう人間の愚かさ、罪を贖う為の間違いを認めさせるにはこれ程の残酷描写を描き、己の目に焼き付けさせないとならないアメリカ映画による西部劇の転換点。

英雄のように勝ち誇った振る舞いの大佐が放つ言葉に歓喜の兵隊たちが野蛮な輩にしか見えない、場違いで和やかな音楽が流れ不謹慎極まりない中、ナレーションが語る無音の静けさで映画は幕を閉じる。

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万年 東一

4.0ラストシーンに監督の真実の希求への期待が…

2022年4月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

私にとっては幻の映画となっていた
「野のユリ」や「まごころを君に」の
ラルフ・ネルソン監督作品を
ビデオレンタルして
ついに観ることが出来た。

この映画は、ベトナム戦争でのソンミ村事件
への批判が込められているとの
解説があったが、
圧倒的な武力での侵略や
非戦闘員の虐殺や連行など、
あたかもロシアによるウクライナ侵攻をも
想起させられるタイミングでの
鑑賞となった。

この映画は、部隊全滅後に砦を目指して
彷徨する二人と武器密売人からの逃走劇の
中盤こそやや冗長的だが、
冒頭のモノローグとタイトルバックの歌、
そして最後の衝撃的な先住民虐殺のシーンが
強烈に全てを語っているイメージの作品だ。

特に、その土地に相応しいのは
長く適応してきた民族であり、
彼らこそがその土地を我が国と呼べる、
だから進入者はこの土地を愛する方法が
他にもあると思わない?
と問い掛けるタイトルバックの歌が
象徴的で、
この映画のストーリーの中では、
2年間の先住民との生活で培われた
クレスタの環境適応能力や
ホーナスの先入観の改悛が描かれる。

西部開拓史がフロンティア精神による
賜物だったと合衆国建国への想いを寄せる
人々へは強烈なアンチテーゼ作品だ。

ラストシーン、
隊の指揮に逆らったホーナスが鎖に繋がれ
クレスタの前で連行されて行く中で、
真実を理解したとの彼女への彼の笑みと、
連行されるのが彼ぱかりでは無かった描写に
ネルソン監督の真実の希求への期待が
込められていたように思えた。

それにしても、
それまでのジョン・フォード西部劇などで、
西部開拓史における騎兵隊のイメージを
インプットされていた米国人にとって、
この映画から受けたショックは
いかばかりであったろうか。

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