劇場公開日 2014年6月7日

「存在し得ない物を創り出した先駆者たちの才覚」ゴジラ(1954) かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0存在し得ない物を創り出した先駆者たちの才覚

2024年5月5日
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鑑賞方法:VOD

監督は本多猪四郎。
撮影は特撮の神様・円谷英二。

【ストーリー】
小笠原諸島大戸島近海で、巨大生物による貨物船沈没事故が相次いで発生、調査団が結成される。
調査の結果、ゴジラはアメリカの度重なる核実験によって生み出されたと空前絶後の巨大な生命体と結論づけられる。
隠蔽しようと奔走する政府だが、ついに本土上陸し、その巨大な姿にパニックにおちいる民衆たち。
奮戦する国防軍だが、あらゆる現有兵器を受けつけず、圧倒的な攻撃力になすすべなく蹂躙されてゆく。
絶望のさなか科学者たちは、秘密裏に開発された悪魔の発明、オキシジェン・デストロイヤーを武器に、ゴジラ討伐にいどむ。

ファーストゴジラです。
和製キングコングとして生み出され、それ以上の存在として今なお君臨する、誰もがみとめるモンスターの王です。
元祖ゴジラは人間の愚かしさと悪意の集合体で、とにかく不気味に描かれてます。
黒々とした着ぐるみを大きく見せるためのアイデアが、これでもかと詰めこまれ、町も村もひたすら潰されてゆく絶望感。
ゴジラはディザスター・ムービー(災害映画)だと思っている自分のような人間にとって、やはりこの視点から作った物語こそ至高に思えます。
大きくて頑丈ってだけでどえらい存在感なんですから、早く動いたりしないでいいんですよ、ゴジラとロボコップは。
※あくまで個人の感想です

ストーリーは陰鬱で音楽も恐怖をあおる息ぐるしいスリラーですが、人物や物語は重厚に作られており、今に至るまでその影響はありありと分かります。
たとえばオキシジェン・デストロイヤーの開発者・芹沢は『機動警察パトレイバー』OVA版第3話『4億5千万年の罠』にも出てきた「シメサバ定食ご飯大盛り」平田博士にそのまんまパクられてます。
ちなみにこちらでは水中酸素破壊装置オキシジェンデストロイヤーこと「ドライアイスを詰めただけの筒ッポ」が、クライマックスへの引き金になっています。
まったく同じカット割りで、本当あの世代は怪獣好きだなー。

傑作を超えた名作、時間を超えて支持されるべき一大叙事詩、ゴジラ・サーガの第1作目。
人類の映像史における古典であり、オールタイム・ベストの一本ですよ。

かせさん
満塁本塁打さんのコメント
2024年5月9日

ゴジラ➖1 は私も満点💯ですが レビューありませんが 時代考証の必要がない こちらの元祖
昭和29リアル 制作陣 俳優 全員戦争🪖経験あり のこちらの方が
ささやかながらも 核実験 核 への抵抗 があってストーリー的には秀逸と私は感じてます
マイナス最新も娯楽作品としてGOODですけども。最新作へのいいねありがとうございました😭

満塁本塁打
活動写真愛好家さんのコメント
2024年5月7日

この作品こそ、「オッペンハイマー」の真のアンサー映画ですね‼️

活動写真愛好家
とみいじょんさんのコメント
2024年5月6日

共感とコメントをありがとうございます。

>「戦時中に仲間がどんどん死んでゆく様を目の当たりにしていた当時のクリエイターたちが、どんな願いを込めてこの映画を作ったのかを考えると、息苦しさすらおぼえます。」
 私もそう思います。と同時に、芹沢博士の決意を促すあのコーラスの響き。思い出すだけで敬虔な祈りを捧げたくなり、涙が出てきます。

>「和製キングコング」
 確かに。って、まだ映画を通して鑑賞していないので語れませんが、オマージュされている扱い方とか、耳にする粗筋だと、”未知の想定外敵”がUSAを侵襲しているという骨子?かなと思い、この『ゴジラ(1954)』とは微妙に違うような気もしています。『キングコング』をちゃんと鑑賞してから検証したいと思います。

>「ドライアイスを詰めただけの筒ッポ」
 確かに。でも、芹沢博士の決意と行動に襟を正されます。

とみいじょん
ratienさんのコメント
2024年5月5日

共感、そしてコメントありがとうございます。

そうなんです。「ゴジラ」は恐怖を植え付ける一面も持ってるんですよね。まぁ、作品によってヒーロー善としているものもありますが、どれもゴジラであり、怖いゴジラも一つの魅力と思ってます。

ratien
kazzさんのコメント
2024年5月5日

共感とコメントありがとうございます。
この映画はディザスター・ムービーに他なりませんよね。
敗戦のドン底から立ち上がり高度経済成長の扉をを自力で開いた日本の人々が、水爆怪獣の襲撃に再び逃げ惑う絶望感と、しかし、その恐怖に立ち向かう力強さが描かれ、命をかけた芹沢博士に強い反核・反戦のメッセージが込められていました。
手作りの特撮がたまりませね❗

kazz
トミーさんのコメント
2024年5月5日

共感ありがとうございます。
「オッペンハイマー」は実在した人物、事件が題材ですが、日本では未だに芹沢博士や山根博士みたいな人は出て来ないですね。

トミー