突入せよ!「あさま山荘」事件

劇場公開日:

解説

ベストセラー・ドキュメンタリー「連合赤軍『あさま山荘』事件」(文芸春秋刊)を原作に「金融腐食列島 呪縛」の監督・原田眞人、主演・役所広司コンビで映画化。1972年2月19日、連合赤軍の兵士たちが、軽井沢の別荘、あさま山荘に管理人の妻を人質にして籠城。爆発処理のための欧米派遣から帰国したばかりの警察庁警備局付監査官、佐々は、この事件の指揮を命じられる。が、その攻防戦は、以後10日間に渡る長さに及ぶ。

2002年製作/133分/日本
配給:東映
劇場公開日:2002年5月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第26回 日本アカデミー賞(2003年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 原田眞人
脚本賞 原田眞人
主演男優賞 役所広司
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映画評論

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映画レビュー

4.0二人の信頼関係がすばらしい一本

2024年5月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

レビュアー諸氏がご指摘のとおり、この映画は実際に起きた事件と、当時の現場指揮官だった方の著作を底本として作品化されたものです。

それだけに、事件の処理をめぐる中央(警察庁)の介入と地方(長野県警)の意地。そして、やはりこれも官僚組織である警察組織を動かすことの困難―。
同じような組織で働く者の一員として、佐々警視正(警備局付監察官)の苦労が、評論子には忍ばれました。

その中でも、佐々監察官の能力を信じて、すべてを任せる後藤田・警察庁長官。
その二人の信頼関係が、よく描かれていて素晴らしいと思いました。

本作は「お宝DVD」のうちの一枚として収蔵し、それこそ盤面が擦り切れてしまうのではないかと思うほど、繰り返し、繰り返し、また繰り返し見た一本にもなります。
気持ちがくじけそうな時に、評論子には勇気をくれる作品のひとつでもあります。

評論子としては、秀作としての評価は、疑う余地すらないところです。

(追記)
<映画のことば>
「はい、こちらヘラクレス!」

わざわざ七難八苦の険しい道を選んで歩くー。
それを「ヘラクレスの選択」と言うんだそうですけれども。本作中での佐々警視正のセリフによると。
そんな思いをしながらも警察畑一筋に勤めて来られたのも、やはり後藤田長官との信頼関係があったればこそ。

本作の中では最後の最後に語られるものではありますけれども。
その意味では、本作ではいちばん重要な台詞(脚本)ではなかったかと思います。

(追記)
「災害は忘れた頃にやってくる」というのは、物理学者の寺田寅彦の言葉だそうですけれども。
しかし、お役所でも、大きな災害や事件・事故は滅多に経験しないので、そういう事象にぶち当たるのは、前回の事案を経験した職員が定期の人事異動で異動したり、退職したりして、いなくなってからということが少なからず起こります。
それで、未経験の職員たちが、自身の経験などを踏まえて対応することになるので、実は、お役所の危機対応は、常に素人対応を余儀なくされているのが実際です。

電線を切る…送電を切って、暗闇にして犯人グルーブの行動を制約するのか、それとも、鉄球スイングの支障になる電線を物理的に撤去するのか。
いわゆる「放水作戦」の水源(ひょうたん池)に配置になった部隊は、お腹がすいたのか、指揮無線の回線を使って、警備本部に弁当の催促をしたりもします。
現場のドタバタ、ゴタゴタは、際限なく続きます。

ましてや、せいぜいか投石か火炎ビンなどで、いかに警察組織といえども、銃撃の洗礼を受けることの経験のなかった当時としては。
(大盾を二枚にしたら、ライフルの銃撃でも大丈夫でない?―などなど)

本作での(いかにも官僚組織らしい?)地方・長野県警と中央・警察庁とのちぐはぐや、現場の混乱などは、その現れ―そして、製作陣の取材の肌理(きめ)細やかさと受け止めました。評論子は。

その一方で、それまでの経験を活かして何とか事態を打開しようとする現場警察官(機動隊員)たちの奮闘ぶりは、光っていたのではないかとも思います。

そういう意味でも「つくりの良い」作品であり、評論子としては好評価としているところです。

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talkie

5.0ヘラクレスの苦難は続く

2024年4月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

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共感した! 7件)
しゅうへい

3.5あさま山荘突入

2023年8月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

上層部の現場との指令•連絡の行き違いがありゴタゴタした中何ためらうことなく突入して行く機動隊の方々に頭が下がります。そんな必死な様子がよく描かれていました。

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共感した! 9件)
りか

3.51970年代の「連合赤軍」の起こした一連の事件は、何だったのだろう!

2023年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

前から観たいと思っていました。
録画してあったのを観ました。

この映画を観ただけでは、連合赤軍のことは殆ど分からないです。
事実に即している、
だから殆どドキュメンタリー映画です。
犯人の姿も肉声も全く聞けない。
犯人は、壁に開けた穴から機関銃の先っぽを出して、
時々発砲する。
殺された機動隊長さんは完璧に狙い撃ちされた。

あさま山荘事件は1972年2月29日から10日間犯人たちが山荘に
籠城して、警察もマスコミも国民も我慢の限界で、
10日後にようやく犯人逮捕され人質は無事生還する。
3名死亡(警官2名、民間人1名)
負傷者27名。

この映画は当時この事件を指揮した警視庁の佐々淳行さんの著書
『連合赤軍「あさま山荘事件」』を原作にして、それを忠実に
再現している。
映画はストーリーの進み具合が遅く、突入までが長くて、
かなりイライラする。
犯人側が、ときたま銃撃する以外に反応がなくて、描写が警察側だけ。
よって面白味にも欠けます。

連合赤軍は当時、警察に追い詰められて、山岳地帯で内ゲバに暮れて、
「総括」の名の下に12名を殺害、逃走した永田洋子他は東京で
逮捕されている。
残ったこの事件の主犯格・坂口弘他4名は、銀行強盗と銃砲店銃撃で、
資金と武器を確保。
逃走の途中道に迷い「あさま山荘」に籠城する。

《連合赤軍が起こした事件》
よど号ハイジャック事件
1970年3月31日~4月3日。
(犯人は北朝鮮に亡命)

岡本公三・テルアビブ空港(イスラエル)乱射事件。
1977年5月30日。
(死者26名)

この時代、テロ組織と言っても過言でない「連合赤軍」のテロ行為。
なぜ易々と成すことが可能だったのか。
政府の弱腰もあるが世界的な風潮でもあった。

国家に途轍もない損害を与え、最高幹部の重信房子は、逮捕服役して、
今は満期で自由の身となっている。
あさま山荘事件の犯人も死刑囚ながら生存している。
岡本公三でさえイスラエルで英雄扱いされており存命。

どのような組織・シンジケートでこのような事件が可能だったのか?
真相は未だに闇の中。

そんな時代だった・・・
そういう言葉で片付けられない遺恨を残している。

他にも、
ダッカ日航機ハイジャック事件。
1977年9月28日。
(身代金600万ドルと日本赤軍メンバーの釈放)
この事件の余波として、バングラデシュ軍のクーデターが起きた。

佐々役の役所広司が格好いい、

こんな事件が1970年代に起こった記録として貴重な資料です。

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琥珀糖
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