デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のレビュー・感想・評価
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この国の生きている感覚をみごとに封じ込めた世界観。
原作未読なため、どこまでが浅野いにおのマンガに忠実で、どこまでが吉田玲子の脚色の妙なのか判別がつかないのだが、如実にわかる藤子不二雄や水木しげるの引用から、震災やコロナ禍の暗喩、この国を覆う閉塞感と展望のないモラトリアム感など、日本で生きてきて「あ、知ってる……」と思う感覚をギュギュッと凝縮させたような世界観であり、ひとつひとつの表象が多層的であることに魅入られて、咀嚼できる許容量をはみ出して知恵熱が出て倒れるかとすら思った。斬新、ではないのだが、自分たちが浴びてきたある種のカルチャーの総決算を目の当たりにしているようで、マジで圧倒された。
あのは実写映画『鯨の骨』での演技も素晴らしかったが、幾田りらともども声優としても空恐ろしいくらい完璧に思える。そして2人のコラボ曲でガツンと終わるポップさが、かろうじて息をつかせてくれた気がする。と、手放しで絶賛しつつ、考えたらお話的にはまだ半分なんで、ストーリー全体をどう評価したものかはまだ保留。5月までに原作を読むか、このまま知識ゼロを保持して後半も映画から観るかでアタマを抱えています。映画を待つのが自分的には正解だと思いつつ、気になってしょうがないんですもん。
本当はこの世界はどのくらいヤバいのか
ポスト震災、ポストトゥルース時代の青春映画として大変完成度の高い傑作だと思う。世の中では何か大変なことが起きているけど、自分の半径数メートルは平和で、今しか味わえない青春が大事。「本当はこの世界はどれくらいやばいのか」と教師の質問する主人公の思いは、みんなが抱えているけど、普段それを口に出すことはない。なんとなくヤバいとみんな思ってるけど、人は信じたいものしか信じることはないし、気づいていても気づいてないフリ、見ないフリをしてしまう。
日常が突然壊れたとしても、非日常が日常に変わって日々は続いていく。それは不気味なことだと同時に、決して悪いことばかりでもない。そうしないと人間は生きていけない。この作品は、危機感を持てないことへのいらだちや諦観だけじゃない、それでも生きていく人の強さはその鈍感さにこそあるかもしれないと言っているようにも思える。アニメーションの完成度も極めて高いし、主演二人の声はキャラクターのお腹から出ているとしか思えないくらいにハマっている。今年を代表するアニメーション映画の一本だ。
日常を覆うSF要素、二人の声が織りなす固い絆に引き込まれた
原作を何も知らないまま本作に飛び込んだが、SF青春劇に思いのほか引き込まれた。主人公の二人は高校生。それこそ自分とは親子ほど歳が離れているものの、私もこの日本で生きる身として、巨大宇宙船飛来とまではいかなくとも、社会が揺れるたび何度となく似たような感覚に陥ってきた気がする。もしかすると前の世代も、これから後の世代も、感じることは同じかもしれない。想像を超えた事態は何の前触れもなく唐突に訪れ、日常を豹変させる。だがその状況下にあっても、高校時代は、青春は続く。彼女らが交わす他愛のない会話、ただ一緒にいるだけで醸し出される安心感が尊い。門出(幾田りら)の落ち着いた基調トーンと、おんたん(あの)がもたらす破天荒な揺さぶり。時に攻守を反転させながら描かれる二人にとっての「絶対」。通常なら青臭く思えるその概念も彼らを見ているとすとんと胸に落ちるのが不思議だ。後編がどう展開するのか非常に楽しみである。
隔壁
なんだか面白かった。
後半になって魅惑的なワードが飛び出してくる。
「8.32の始まり」
「シフター」
「怠惰な夏休み」などなど。
世界観は独特で…地球外生命体のUFOが3年もの間、上空に鎮座する世界。
強烈な非日常を感じるも、女子高生達の思春期が描かれる。至って普通に。コレがなんだか微笑ましい。
主人公2人の声優さんはハマってた。
特にあのさんの醸し出す空気感は格別だった。
非日常が日常となった世界で彼女達は青春を謳歌していく。きっとそんなもんだろうと思う。
直接的な危害がないのであれば、気に留める理由も薄くはなる。
だが、異質な物体はやっぱり異質なままで、彼女達の世界に干渉はしているようだ。
物語に何度か挿入される「偉い人」
誰かを特定するわけではないが、世界線の区別を感じる。そういう言葉を俺が使う時は「自分の意見が届かない人」という意味もこもってる。
その人達は、その侵略者達を排除しようとやっきなようだ。自衛隊はフル稼働してるようだし、撃退する兵器の開発にも余念がない。
無闇に蜂の巣を突くものでもないとは思うのだけど、描かれてない理由があるのか、単純に無謀なのかは現段階では分からない。
どうやら反撃はないようで、宇宙人自体は知性も理性もあるし、防護服ではあるものの可愛いらしい風貌もしてる。擬態の可能性は十分あるが。
?なのは、小蠅を落としてもしょうがないだろうにと思う事だ。母艦の大きさは圧倒的だし、そこを攻める気がありそうでもなく、遥かに小さいものを撃破して喜んでる。どんな密約が交わされてんだろうかと不思議でしょうがない。
政府として、全ての情報を開示するはずもなく、重要な事こそ隠蔽はしていて…その実情を国民達は知らされない。
だからこそ、彼女達は彼女達の青春を謳歌もできる。
今は。
だが彼女達が知らないだけで、本質は変わらず事態も変化をしていく。
そして、おそらく事実を突きつけられる。
最早、手遅れとしか言いようがないタイミングで。
意図的に作り上げられた隔壁が瓦解した時、突発的にその隔壁が取り除かれた時、彼女達はどんな選択をするのであろうか?
そして、僕らならどんな選択ができるのだろうか?
「偉い人」達によってもたらされる仮初の平和。
後半はそれが幻だったと自覚するような展開なのであろう。
平和で微笑ましかった前半の終わりには不穏な影がさしていく。ステンドグラスが脆く割れるような印象を残したまま前半は終わった。
まるで現代が持つ病巣をギュッと濃縮したようにも見える世界観。
上空に佇むモノは得体が知れない。
そこに付与される様々なレッテル。真実も確証もそこには無いのに数の論理と疑心暗鬼が、そのデマを真実にしていく。
陰謀論のようなものに振り回されるキホの元彼なんかはいい例だ。彼ば武器を取り他者を傷つける事を選ぶ。
確証もないまま流布される憶測に惑わされ他者を傷つける選択をする。
テロリストのように描かれてはいるが、SNSで日常的に起こる誹謗中傷と根っこは変わらないんだろうと思う。
ただただ隠蔽する政府
情報操作に加担するマスコミ
強迫観念に支配される親などなど。
どんな終幕が待っているのか?
全く予想も出来ない後半が楽しみである。
女子高生!
ある日突然現れる謎の浮遊線
いやいや、大事件だよ。
でも時と共に当たり前になっていく。順応する人、興味を持つ人、過剰に恐れカルトっぽくなる人。
でも、今日も女子高生は元気で流行りや恋愛に盛り上がる。
そのちぐはぐさが面白い。
謎の物体より失恋の方が大事件なのだ。
後半の明らかになる2人の過去にそうきたか!ってびっくりした。
浅野いにお氏の作品は「ソラニン」が大好きで映画も大成功だったと思う。「おやすみプンプン」のノリが苦手で途中で読むのをやめたのだけどバズった「タコピーの大罪」とかの下地みたいなノリだったかな。
さすがだな〜
いや〜、すごい考えさせられる映画だった!
いや〜、すごい考えさせられる映画だった!
頭上に謎の巨大な飛行体がある状態で主人公達はいつもと変わらない日常を過ごしていくんだけど、その光景が若干狂気をはらんでる感じがして、すごく異様だった…
ただ、予備知識無しでも結構楽しめたから、5月に公開される後章も今から楽しみ〜😊
後編を見てみなければ
平穏な日常の女子高生たちの他愛もない会話で物語が進むのだが、主人公2人が描く二つの違う世界を見せつつ、平穏な日常と絶望の未来が押し迫る空気感を感じさせない状況が今後どの様に展開するのか期待を持たせてくれる。
またタイトルの意味も前編ではわからないままなのだが。
なので評価も中間としておこう。
そして後編に期待を込めて待つとしよう。
気になるのは異星人の容姿が可愛げのある姿をしてる点。これが人間の残酷さを際立たせている様に思えた。
これも後編で解かれるのだろう。
現代日本のすべてが叩き込まれた素晴らしい設定
ようやくみた。あーこれは原作読んでおけばよかった。古くは『デビルマン』『漂流教室』そしてアニメにおいての『エヴァンゲリオン』のようにクリエイターの見てきたもの影響されたものを吐き出す、『AKIRA』『ドラゴンヘッド』『20世紀少年』とか、その遺伝子のすべてをぶちまけるエンタメタイプ。こんな面白いストーリーだったのか。このご時世、よく前後編でやった。
そして前編のみでこの密度… 。ただ正直アニメとしてとても面白くは観ていない。おそらく淺野いにおのアイデアと詰め込み具合とあと、キュンとするセリフ運びや声優たちにキュンとしているのかもしれない。映画としてキュンどころとは違う。都市描写や都市上空の宇宙船やこぼれ出てくる兵器やガジェットや飛行やクラッシュなどの描写は正直どうなんだろう、なので先にマンガ読んでおけばよかったな、と思った。でもこうなったら後編もみたうえで原作を読もうという気になった。
そしてコミック文化(少年誌)の大いなるテーマは「ともだち」であり、そこにすべてがあることを思い出し、それが女の子たちになっているのも含め、今の不安と不満と終わってしまいそうな日本のすべてが叩き込まれてる設定にうなった。
原作大人買いしようかな・・・
予告編が気になって、めったにアニメを観に行かないのですが・・・って、コナンは観に行くけど・・・アニメ声のあのちゃんの声優ぶりもなかなか良かったです。
原作未読なのですが、12巻を一気に買う勇気もなく、後編が5月半ばに公開なのでそれを観てから決めたいかな(汗)
宇宙から来た巨大な母船が「コロナ禍」を連想させますが、原作はコロナ禍の前なので、これはなかなか未来を予見したお話だと思います。大震災も想像させるかな。
非日常な大災害が起きてから、現状もまだ大災害の元である「母艦」は上空に居続け、偵察機やそれを迎撃する防衛軍の攻撃などで未だにいろいろな被害が起きますし、ヒロインたち5人組のひとりも犠牲にはなりますが、それでも穏やかな日常が続くという摩訶不思議な世界。
「ドラえもん」のパクリ(オマージュ?)の「イソベやん」もめちゃ面白かったし、劇中劇「イソベやん」の主人公をTARAKOが演じてます。彼女の最後の仕事かもしれませんね。
武器の弾をマシュマロに。
観る予定はなかったけど、皆様のレビューの熱量に心が動き鑑賞!すごく面白かった!
観終わったら「関心領域」の何とも言えない後味が完全に消えた。。
おんたん兄のキャラが好きすぎる笑。
後章も早く観なければ!
無双する女子高生
規範や善悪から乖離して、女子高生たちのシュールな無双っぷりを愉しむのがテーマかなと思いました。その結果、日常とか平和の意味や怖さに思い至ることもある。
原作は未読です。予告編でおんたんと門出の等身大(女子高生大)の新鮮な艶っぽさにやられて、本作を観る気になったのは秘密。卒業記念に教師と深い仲になってしまおうとか、出してしまえとか、二人の女子高生が甘酸っぱく無茶する姿を見たくなって観賞しました。何かがきっと覗けるであろうと言う好奇心メイン。
◉目を見開く
3年も経てば非日常も日常になるとは言え、精緻に彫り込まれた鉄壁の城塞は、やはり遠い。二人は悟った顔して、航空母艦の非日常を忘れようとしているのか? 君か世界かと問われたら絶対に君! しかし世界と世間の行く末にも加担しようと、少女と少女は思い出も辿りながら、心を繋ぐ。
何の曲を聴くかとか、どのゲームをどんなアイテムで進めるかとか、どの男子とつき合うかとか、それと非日常から飛来した正体不明の侵略者をどう捌くかとかにどれほどの差異があるのか? 頭の中なら絶対的な差だと理解しても、生活している最中のヒトにとっては同じかも知れないのだと、作品は語っていたようです。「何にも考えていない自分」や、そう言いさえすれば免罪符ぐらいにはなると「少し信じている自分」がいる。
◉目を瞑れ
一方で、平和を目指すのではなく、平和が欲しいならば、基本、大所高所から物事を見ないで眼前だけ見る…ことを強調しているのかなとも感じました。そして結論は決して急がない。
飛びっ切り可愛い八っつぁんと熊さんは、そんな風に世界と世間の在り方を指摘していたようにも思えたのです。だから、空母は安定した都市の天空の景色になった。
最前線に統率者はおらず、目玉たちや市民が命を費消されているにも拘らず、目を瞑る安穏に浸る世間や世界。あの生温かい複眼の青年タイプは、もう繁殖しているのだろうか? おんたんと門出は夢と記憶をなぞりながら、何を言い放つのだろう? しでかすのは分かっているが、何を?
ところで後章が封切りになるのに、ウダウダしてまだ前章のレビューを投稿していない。投げてから、投げてからと言い聞かせていたのだが、うっかり昨夜、後章を観てしまったではないか。
地球外からの侵略者が日常に溶け込んだ世界で青春を謳歌する少女たちの...
地球外からの侵略者が日常に溶け込んだ世界で青春を謳歌する少女たちの姿を描いた浅野いにおの同名コミックをアニメーション映画化した2部作の前編。
3年前の8月31日、巨大な宇宙船「母艦」が突如として東京に襲来し、世界は終わりを迎えるかに見えた。その後、絶望的な状況は次第に日常に溶け込み、上空に母艦が浮遊する異様な光景が当たり前となっていた。そんな中、女子高生の小山門出と「おんたん」こと中川凰蘭は、担任教師の渡良瀬や仲の良い友人たちとともに何気ない学生生活を送っていたが……。
音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraとしても活動するシンガーソングライターの幾田りらが門出、歌手やタレントとして若い世代を中心に人気を集めるあのがおんたんの声をそれぞれ演じる。「ぼくらのよあけ」の黒川智之がアニメーションディレクター、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズの吉田玲子がシリーズ構成・脚本を手がけ、「地球外少年少女」のProduction +h.がアニメーション制作を担当。
6 E-6
青春×陰謀×SF×友情=クソやばい
ある日、突如として東京の上空に巨大な母艦が出現、それ以来世界は一変した。
一方で、女子高生の門出とおんたんとその仲間たちは、そんな中でも変わらぬ日常を過ごしていた。
しかし、母艦が浮かぶ状況は少しずつ彼女たちの生活に影響を及ぼし始め……
突然の悲劇、思い出される過去の記憶、恋、そして友情。
2人のディストピア青春活劇が今始まる。
『おやすみプンプン』しか漫画は読んだことがないけれど、浅野いにおの描く世界は大好きで、予習しようかと思ってたら結局ギリギリになってしまったので映画から鑑賞。
いや、おもしれー。
こんなに泣ける話だとは思っていなかった。
少女の青春成長譚なんて大好きなジャンルだし、陰謀論とかパロディとか色々挟んでくると思ったら、人間とは?正義とは?みたいな部分まで切り込んでいって、現実と虚構が入り組んでいるようでどこまでもリアルなSFってところ?がねぇ?もう、好き。
「知ってるよ!」でボロボロだったな。
3年前に母艦が現れてから何もかも変わったとは言うものの、日常は表面的には何も変わらず続いている。
なんとしても事態を収束させたい政府、状況に慣れてきている市民、危機を訴える陰謀論者や過剰に反応する一部の人たち。
このギャップがリアルで、まさに東日本大震災やコロナウイルスの蔓延といった未曾有の危機に立たされた日本の姿だなと思った。
小型船の墜落が後を絶たないのに、多くの人はなんとなくこんな状況に慣れてしまっていて、真相に近づこうとする者はいない。
しかし、震災にしろ感染症にしろ、忘れた頃に再びやって来て人々はハッとさせられる。
門出やおんたんたちも、まさに友人の死によってそんな日常からいきなり現実へと引き戻された。
決してどちらが良い悪いではない。
これからも生きていかなきゃいけない我々にとって、都合の悪いことを忘れるのはある意味防衛本能だ。
でも、大切な人を亡くした記憶や悲しい過去はどんなに事態が平和になろうとも消えることはない。
戦争や震災やコロナのこと、どこか遠い昔のように感じて、再び平穏な日常が訪れようとしている今だからこそ、風化してしまいがちな負の歴史をもう一度胸に留めるべきだと、この母艦は我々に警告しているのかもしれない。
アニメーションのことは全然詳しくないから完全に素人目だけど作画は綺麗だし、幾田りらとあのという最強タッグがこんなにピッタリだとは思わず、爽快な主題歌も最高で大満足だった。
キャラクター造形も良く、おんたんのお兄さんとかブサ犬とかもちろんイソベやんもだけど、他の作品には出て来なさそうな濃いキャラクターがクセになる。
前章だけだと、だいぶ回収されてない疑問点が多い。
石川の2人は何なのか全く分からないし、2人の過去と正体は何なのか逆に混乱して終わっている。
ラストの言葉を失うような光景に早く世界を変えなくては(=後章観なくては)と思った。
予想以上に面白くて大好きな作品だったので、後章も原作も早く観たい!!
※
ちなみに今回、シアターギルド代官山という映画館で観たのだけど、ここがなかなか面白いところで、ヘッドホンをつけて椅子やソファに座って見るホームシアターみたいな感じの映画館だった。
夜はバーみたいになるらしく、支払い方法はクレジットか電子決済のみ。
音は聞こえやすいし映画に集中しやすいけど、椅子だと体が疲れたり、段差がないので前の人の頭が気になったり、劇場よりは明るいので思いっきり泣けなかったりとメリットもデメリットもある感じかな。
値段も少しお高めだったが、たまにはこういう映画体験も面白い!
変わりゆく世界の中での、彼女たちの「絶対」
3年前の8月31日、突如街の上空に宇宙からの巨大な母艦が出現したことで、世界は一変した…
そんな世界で「門出」と「おんたん」を含む仲良し5人グループは、高校生活最後の年を謳歌。
大人じゃないけど、決して子供ではなく。
考えていないようで、冷静に状況把握はしていて。
そして、大人になると空気を読んで躊躇してしまうことにも
全力ダイブで飛び込んでしまう勢いがある。
門出とおんたんは、世界と繋がっていながらも
門出にはおんたんが、
おんたんには門出が、
絶対で全力で守るべき存在だった。
友情とか恋愛とか名前を付けることのできる関係でなく
とにかく「絶対」。
絶対がない世の中での絶対。
それが大人になった自分には眩しくて、
彼女たちのわちゃわちゃをちょっとセンチメンタルな気分で眺めてました。
前章・後章一挙上映で2回目観ましたが、やはり良き。
(門出のむっちっと感も良きですね)
しかし、ちょっどズルい男性が多い気がするのは気のせいか…
渡良瀬せんせー、ひろしにいちゃん、大葉くん。へきでしたわ。
日常と非日常の織り交ぜ方が凄い
すごくヤバい事が起きているのだろうけどあくまで日常感を崩さずに描いているのがすごい。
細かいところでわかりやすい小ネタを挟む事で完全に非日常感を出さないようにしている。
前章で回収出来ていない事がたくさんあるが後章で描き切れるのか気になる。
終末論的「セカイ系」に接ぎ木された「日常系」。日本のサブカルの集大成がここに!
若干観に行くのが億劫で、ずるずると先に引き伸ばしていたが、そろそろ後編が始まってしまうので、重い腰を上げて視聴。
うーん、これはたしかに「くそヤバい」!!!
控えめにいっても、傑作だ……。
なんだろう、この圧倒的な情報量と語り口の巧さは。
2時間引きずり回されて、いっときも間断するところがなかった。
観に来て良かった!!!
セカイ系としての非日常+『けいおん!』に由来する日常系。
祖型としての『ドラえもん』と『インデペンデンス・デイ』と『SF/ボディ・スナッチャー』。
創作背景としての「3.11」と「コロナ禍」、そして「安保」。
なんだか、日本のサブカル、日本のアニメの「総決算」を見せられてる感じがする。
(ない要素は、時間の巻き戻しと異世界転生くらいだが……後編にあったりしてw)
浅野いにおの原作は未読。
題材を聞くかぎり、観る前はつくみずの『少女終末旅行』(2014~18、あれのアニメもまあまあの傑作でした)みたいな内容なのかな、と思っていた。
なんにせよ、昔だったら『月刊アフタヌーン』で連載されてたようなやつ(笑)。
壊れ果てた世界と生き生きとした少女たちが対比されていて、しんみりとしていて、静謐で……みたいな。
だが実際は、だいぶ違っていた。
宇宙人が侵略(?)してくるヤバい戦時状況下で、当たり前の青春を送る学生たちという意味では、『輪廻のラグランジェ』(2012)や、『ゼーガペイン』(2006)、さらに古いのだと『学園戦記ムリョウ』(2001、出だしのノリが良く似ている)や『宇宙のステルヴィア』(2003)あたりにむしろ近い感じか。
宇宙人が交じり込んでいても、ラノベ的なわきゃわきゃした日常が展開されるという意味では、『電波女と青春男』(2011、似たような宇宙服来た宇宙人w 入間人間や日日日あたりのラノベとは、世界観もなんとなく近い感じがする)とか、『かしまし』(2006)、さらに古いのだと『お願い』シリーズとか。
なんにせよ、思っていたよりは、かなりみっちりしていて、粘っこくて、えぐみがあって、脳に焼き切れるような負荷のかかる、猛烈に「濃ゆい」アニメだった。
原作者自身は、『けいおん!』(2009)を観て本作を企図したとのこと。
要するに、『新世紀エヴァンゲリオン』(95)や『ぼくらの』(2004~09、アニメ2007)のような、宇宙から侵略者がやって来るシリアスな「セカイ系」に、少女たちの軽やかな「日常系」を接ぎ木したらどうなるのか。そういう実験だろう。
僕は、とくに後半の展開に度肝を抜かれた。
「信用できない話者」の要素を噛ませてくる、意想外の小学生編。
ここで、こういうふうに仕掛けて来るのか。
いやおうなく、主人公たちのキャラクターが二重、三重にぶれて複層化する。
こうであるはずだった物語が反転し、油断のならない語りに緊張が走る。
話を思わぬ方向にツイストさせてきたアニメスタッフの力量に感服。
パンフによれば、小学生編って、原作では終盤になって明かされる内容らしくて、映画版前章の終わりにくっつけることを提案したのは、脚本の吉田玲子らしい。
さすがは吉田玲子先生。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のTV版と映画版のホンの出来があまりにひどかったので、正直この人の神通力ももう失せたかと思っていたが、やっぱり構成感への嗅覚はすごいな。
主人公ふたりの強烈なキャラクター。
一癖もふた癖もある周辺の人物。
ギャグとシリアスの抜群の塩梅。
当たり前の日常と大量死の対比。
セカイに翻弄されているかと思えば、
セカイを翻弄している転調の落差。
圧倒的な技術力で到来した宇宙人が、
武力でまったく地球人に勝てない不思議。
すべてのバランスがヘンテコに崩れていて、
崩れたままに、奇跡的な均衡を保っている。
うーむ。今年観たなかでもダントツで面白い。
先が気になる。主人公の運命が気になる。
地球の未来が気になる。
― ― ―
すべてに納得がいっているかというと、そうでもないのだ。
たとえば、とある人物が死んだときの主人公たちの反応を描いたシーン。
あれは僕のセンスからすると、どうしようもなくダサい。
狙っているギミックがあからさま過ぎて、思わず赤面してしまう。
あるいは、自衛隊や軍需産業の描き方。さすがにあれは図式的にすぎないか。
少なくとも、僕が仕事で出会った士官クラスの自衛隊員は、本当に優秀な人達だった。
てか、攻撃してこない対象に対する攻撃命令はそう簡単に下りないと思うし、周りに被害が出るような撃墜指示を避難誘導なしに行なうとか、実際にはあり得るんだろうか?
というか、自宅警備員、陰謀論者、トランスヴェスタイト、テロリスト、脳筋の軍人など、時代の要請する「香ばしい人々」の類型をひとところに集めようとし過ぎて、ちょっと物語として飽和している印象がある。
そういや、小学生時代編の門出の変貌ぶりも、さすがに展開が急すぎる気がした。
もともとそうなりそうな気配はあったといえばあったんだけど、妊婦さんを見てのいきなりのアレは、唐突過ぎて個人的にドン引きしてしまった(門出に、というよりは演出に)。
他にも、小学生編での「デーモンズ」の掌の返し方は不自然じゃないか?とか、先生のキャラ付けはこれでいいのか?とか、顔だけアンチ「萌え」の方向に振りながら身体やスカート回りの描き方が結構性的なのはどうなの?とか、まあ、文句を言い出せばいろいろあるわけだ。
宇宙人回りに関しても、本当に無抵抗主義についての説明が後編でちゃんと綺麗につくんだろうか?とか、なんで虐殺されてる調査員たちは「隠れ蓑(透明マント)」を有効に使わないんだろう?とか、ラストのアレが無数に降って来るシーンとか(映像イメージとしては素晴らしいけど)どうやったら実際に起こし得るのか?とか、気になるところは結構ある。
でも、そんなことはどうでもいいくらいに、僕は物語に強烈に引っ張りまわされたし、門出とおんたんのキャラクターに圧倒的に惹きつけられたし、終盤の転調に思い切り愕然とさせられた。
まさに、これぞ「日常系」を包含した「セカイ系」。
日本の磨き上げてきた最強ギミックを、宮崎駿とも富野由悠季とも新海誠とも異なる方向で、きちんとまっとうなSFとして仕上げてきている。
しかも本作は、社会的な批評性にも事欠かない。
話の出だしはまんま『インデペンデンス・デイ』(巨大宇宙母艦の襲来と居座り)だが、そこに関東大震災で起きた諸問題(放射能汚染の恐怖、通信インフラの遮断、進まない被災地復興などなど)や、ネット世界で跋扈する陰謀論(環境汚染、仮想敵、お花畑友愛論)と感情的なレスバトル、近づく軍事的危機(ロシア、中国、北朝鮮の外圧)と日米安保の功罪、コロナ禍、いじめ問題、ネグレクトなど、ありとあらゆる日本を取り巻く重大事が、ヒロインたちの周辺事象として引用されてゆく。
今そこにある危機。
でも、敢えてそこから目を背けて、少女たちは青春を謳歌する。
ひりひりするような終末の予感がまぎわに迫っているからこそ、とりとめのない日常が光り輝く。少女たちの何気ない交流が、特別でかけがえのない瞬間となる。
何度も作中で予告される、「人類終了まであと半年」のカウントダウン。
いやおうなく、緊迫感が高まる。
いつまで、このたおやかで親密な友情のやり取りは続けることができるのか。
過去の記憶が戻ったとき、いまの幸せな時間は喪われてしまうのか。
いやあ、本当に、後章が楽しみだ。
あと、やっぱり触れておかないといけないのが、幾田リラ(イクラ)ちゃんとあのちゃんの演技だろう。
プロの声優たちにまじって、まったく遜色がない。
ふつうに演技が出来ているどころか、喧嘩のシーンとかガチ度が半端ない。
ぶっちゃけ、めちゃくちゃうまい。
ちょ、これ、どういうことなん???
今までも北村 匠海とか 賀来賢人とか吉沢亮とか、やらせてみたらバリバリに声優演技が出来る若手がいたのは確かだが、彼らはそれでも「俳優」であり、演技は一応本職だった。
イクラちゃんも、あのちゃんも、本職は歌手だ。
それも紅白とか出てる、売れっ子の一線級の歌手。
あのちゃんは結構ドラマには出てるけど、声優やるのは初めてっぽい。
イクラちゃんに至っては、ほとんど演技経験すらなさそう。
なのに、なんでこんなにできるのん??? おかしくない???
結局、今の若い子たちって子供の頃から、萌えアニメとか見まくって血肉にしてて、二人とも歌手といっても、アニメやアイドルに近しいところで「作り込んだ声演技」を聴きまくって生きて来て、耳がめちゃくちゃ良いから、最初からああいうアニメ特有のしゃべり方をちゃんと「耳コピ」出来てるってことなんだろうなあ。
なんか、醜い感情だけど、その才能にいささか嫉妬しちゃう(笑)。なんだよ、やってみたらさらっと声優まで出来ちゃうとか、お嬢さんたち世の中に対してちょっとは申し訳ないとか思わないの??みたいな。
ほんと、恐れ入りました。
まあそんなこんなで、週末に封切られる後章に大いに期待したい。
― ― ―
以下、備忘録。
●中川ひろしお兄ちゃんにガチ笑う。なんだよ、その地獄のミサワか『監獄学園』のアンドレみたいなアゴ(笑)。池上遼一絵でもなんかそんなキャラいたな。中村悠一かと一瞬思ったが、良く聴いたら諏訪部だった(笑)。
●門出ちゃんが「デーモン」の綽名つけられるの、よくわかる。僕も小学校の頃は問題児童で、松木宣子ちゃんが自分のことを「のこ」って呼んでたので、黒板に「まつきのこ」のマタンゴみたいな絵を一面に描いておちょくってたら、終わりの会でぎゃあぎゃあ泣かれて、教師にボコボコに殴られたのを思い出した。
●いそべやんの造形がどうも桜玉吉っぽいと思ってたら、家に帰ってからWikiの「浅野いにお」の項を見てて、生涯ベスト漫画に桜玉吉の「幽玄漫玉日記」を挙げているとあって草。
●いそべやんって、藤子プロの許可って得てるのかな?(笑)
●小学生編の後編は後章で扱われることになると思うが、いかにうまく高校生編に話をつなげてくるかは楽しみ。現状ではあまりにキャラや状況に齟齬があるので。
●映画の最後で、TARAKOさん(デべ子役)追悼のテロップが流れる。ご冥福をお祈りいたします。
言える映画館スタッフ・言えない映画館スタッフ
SFアニメ。
女子高生の話で、東京上空に謎の巨大宇宙船が滞在しているという背景がある。
絵柄や演出は良い出来で、後章を除いた前章だけのストーリーとしては悪くはない。
テンポ加減も遅すぎず早すぎず、他の作品が見習うべき作品と言える。
合う合わないはあるかも知れないが観る価値あり。
良い点
・ナチュラル
・声も合っている
悪い点
・キャラデザが一部ギャグに寄りすぎている
長いタイトルにも意味があるのだろうか?
浅野いにおの原作は未読。予告から気になっていたけど前・後編とのことで、最近記憶力のなさには自信がある中高年としては、なるべく2作の間が空かないところで…と、やっと鑑賞。スクリーン数が減ってることもあるが、平日のレイトにしては客足がよかった。人類史上どえらいことの起きている傍らでゲームや買い物や恋愛に興じる世界、友人の死すらも相対化されそうな日常が個性的なキャラとともに描かれていておもしろい。
現実世界のメタファーと創作世界のオマージュというかパロディというか、それらがごちゃ混ぜになって大量にぶち込まれる、いわゆるサブカルっぽさはあざとい感じがするし、声をあてている幾田りらもあのちゃんとかも特に知らんのだが、前半の話をひっくり返すような後半の展開といい新たなキャラの登場といい、いろいろフラれているネタがどのように回収されていくのか、とにかく続きが気になる…。
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