ライ・クーダー : ウィキペディア(Wikipedia)

ライ・クーダーRy Cooder、本名:Ryland Peter Cooder、1947年3月15日 - )は、アメリカ合衆国のミュージシャン、ギタリスト、歌手、作曲家。

概要

世界各国のルーツミュージックに対する造詣も深く、アメリカのルーツ・ミュージックを発掘し、世に広めたことは高く評価されている。また、ヴィム・ヴェンダースウォルター・ヒル監督作品の音楽にも携わった。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において、8位にランクイン100 Greatest Guitarists: David Fricke's Picks: Ry Cooder | Rolling Stone、2011年の改訂版では第31位。

来歴

カリフォルニア州ロサンゼルスに生まれる。父親の影響で、3歳の頃に初めて4弦ギターを手にする1990年RY COODER & DAVID LINDLEY日本公演パンフレット。4歳のとき、ナイフによる事故が原因で片目を失明、以後義眼となるEdited Guide Entry: Ry Cooder (BBC)

16歳にして、音楽活動を始める。1960年代半ばには、タジ・マハールらと組んだライジング・サンズ、キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンド、ジャッキー・デシャノン等のバンドで活動。 ローリング・ストーンズのアルバム『レット・イット・ブリード』(1969年)に参加しており、また、同作のレコーディング中に行われたジャム・セッションは、後に『ジャミング・ウィズ・エドワード』(1972年)としてレコード化された。そして、1970年にアルバム『ライ・クーダー・ファースト』でソロ・デビューを果たす。

1978年春、日本のファンが長年待ち望んだ来日公演(単独ライブ)が、虎ノ門・久保講堂ほかで行われる。

1979年秋、デヴィッド・リンドレーと組み再来日公演を行う。リンドレーとは1984年の映画『パリ、テキサス』のサウンドトラックでも共演allmusic ((Paris, Texas > Overview))。以後も1990年、1995年と再度来日公演を行うなど、度々共演を重ねている。

1980年代以降は映画音楽を多く手掛けるようになり、自己名義のスタジオ・アルバム製作からは1987年の『ゲット・リズム』を最後にしばらく遠ざかることとなった。同作収録の"Goin' Back To Okinawa"では沖縄民謡風の音階やフレーズにも挑戦、喜納昌吉&チャンプルーズのアルバム『BLOOD LINE』にも参加している。

1991年、ライは、ジョン・ハイアット、ジム・ケルトナー、ニック・ロウとリトル・ヴィレッジを結成。翌年同名のアルバムをリリースし、ツアーも行った。

1993年には、インドのミュージシャンV・M・バットとの共演作『ア・ミーティング・バイ・ザ・リヴァー』を発表し、同アルバムで第36回グラミー賞の最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞した。翌1994年にはマリのブルースマンと称される、アリ・ファルカ・トゥーレとの共演作『トーキング・ティンバクトゥー』を発表し、第37回グラミー賞において最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞した。

1996年、ライはキューバに赴き、エリアデス・オチョア、コンパイ・セグンドといったキューバのミュージシャンたちとアルバム『Buena Vista Social Club』をレコーディングする。同作は、1997年の第40回グラミー賞において最優秀トロピカル・ラテン・パフォーマンス賞を受賞するなど、欧米を中心に高い評価を受けた。1999年には、ヴィム・ヴェンダース監督による同名の映画も封切られている。

2003年、キューバ人ギタリストのマヌエル・ガルバンと連名のアルバム『マンボ・シヌエンド』を発表し、同作は第46回グラミー賞で最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受章した。2005年、ロサンゼルスのメキシコ系アメリカ人コミュニティーを題材としたコンセプト・アルバム『チャヴェス・ラヴィーン』を発表し、続く2007年の『マイ・ネーム・イズ・バディ』、2008年の『アイ・フラットヘッド』も同様にストーリー性を持ったアルバムで、これら3作は「カリフォルニア三部作」と呼ばれている。

2009年、リトル・ヴィレッジ以来17年ぶりにニック・ロウと組みツアーを行った。2009年11月には、このユニットで日本公演も行っている。

演奏スタイル

スライド・ギターの名手として知られており、多くのギタリストが例外なくライの名を挙げている。フィンガー・ピッキングにも定評があり、指の爪で澄み切った音調を出している。特に両方を織り交ぜたフレーズは、オリジナリティの溢れているものとして評価が高い。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

  • 1970年 『ライ・クーダー・ファースト』 - Ry Cooder (Reprise)
  • 1972年 『紫の峡谷』 - Into the Purple Valley (Reprise)
  • 1972年 『流れ者の物語』 - Boomer's Story (Reprise)
  • 1974年 『パラダイス・アンド・ランチ』 - Paradise And Lunch (Reprise)
  • 1976年 『チキン・スキン・ミュージック』 - Chicken Skin Music (Reprise)
  • 1978年 『ジャズ』 - Jazz (Warner Bros.)
  • 1979年 『バップ・ドロップ・デラックス』 - Bop Till You Drop (Warner Bros.)
  • 1980年 『ボーダーライン』 - Borderline (Warner Bros.)
  • 1982年 『スライド・エリア』 - The Slide Area (Warner Bros.)
  • 1987年 『ゲット・リズム』 - Get Rhythm (Warner Bros.)
  • 2005年 『チャヴェス・ラヴィーン』 - Chávez Ravine (Nonesuch)
  • 2007年 『マイ・ネーム・イズ・バディ』 - My Name Is Buddy (Nonesuch)
  • 2008年 『アイ・フラットヘッド』 - I, Flathead (Nonesuch)
  • 2011年 『プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン』 - Pull Up Some Dust and Sit Down (Nonesuch)
  • 2012年 『エレクション・スペシャル』 - Election Special (Nonesuch)
  • 2018年 『ザ・プロディガル・サン』 - The Prodigal Son (Fantasy)

ライヴ・アルバム

  • 1977年 『ショー・タイム』 - Show Time (Warner Bros.)
  • 1982年 『ライヴ』 - Live (Warner Bros.)(ヨーロッパ販売)
  • 2013年 Live in San Francisco(Nonesuch)

コンピレーション

  • 1986年 Why Don't You Try Me Tonight ?: The Best of Ry Cooder (Warner Bros.)(アナログLP時代のボーダーラインまでのベスト盤)
  • 1994年 『ベスト・オブ・ライ・クーダー』 - River Rescue: The Very Best of Ry Cooder (Warner Bros.)
  • 1995年 Music by Ry Cooder (Reprise)
  • 2008年 『アンソロジー』 - The Ry Cooder Anthology: The UFO Has Landed (Rhino)
  • 2014年 Soundtracks (Warner Bros.)(CD 7枚組)

映画サウンドトラック

  • 1980年 『ロング・ライダーズ』 - The Long Riders (Warner Bros.)
  • 1981年 『サザン・コンフォート』- Southern Comfort (20世紀フォックス)
  • 1981年 『ボーダー』 - The Border (MCA)
  • 1984年 『ストリート・オブ・ファイヤー』 - Streets of Fire (Warner Bros.)
  • 1984年 『パリ、テキサス』 - Paris, Texas (Warner Bros.)
  • 1985年 『アラモベイ』 - Alamo Bay (Slash)
  • 1985年 『マイナー・ブラザーズ 史上最大の賭け』 - Brewster's Millions (MCA)
  • 1986年 『クロスロード』 - Crossroads (Reprise)
  • 1986年 『ブルー・シティ 非情の街』 - Blue City (Warner Bros.)
  • 1989年 『ジョニー・ハンサム』 - Johnny Handsome (Warner Bros.)
  • 1992年 『トレスパス』 - Trespass (Warner Bros.)
  • 1993年 『ジェロニモ』 - Geronimo: An American Legend (Columbia)
  • 1996年 『ラストマン・スタンディング』 - Last Man Standing (Polygram)
  • 1997年 『エンド・オブ・バイオレンス』 - The End Of Violence (Outpost)
  • 1998年 『パーフェクト・カップル』 - Primary Colors (MCA)
  • 2007年 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 - My Blueberry Nights (Mixed Repertoire)

その他プロジェクト

  • 1967年 キャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンド『セイフ・アズ・ミルク』 – Safe as Milk
  • 1972年 ミック・ジャガービル・ワイマンチャーリー・ワッツニッキー・ホプキンスとの共同名義, 『ジャミング・ウィズ・エドワード』 - Jamming with Edward! (Rolling Stone Records)
  • 1988年 『ペコス・ビル』 - Pecos Bill (Windham Hill) (ナレーション:ロビン・ウィリアムズ
  • 1992年 Rising Sons featuring Taj Mahal and Ry Cooder (Sony)
  • 1992年 リトル・ヴィレッジ名義, 『リトル・ヴィレッジ』 - Little Village (Reprise)
  • 1993年 V・M・バットと共同名義, 『ア・ミーティング・バイ・ザ・リヴァー』 - A Meeting by the River(1992年録音)(Water Lily Acoustics)(第36回グラミー賞最優秀ワールドミュージック・アルバム受賞)
  • 1994年 アリ・ファルカ・トゥーレが主名義, 『トーキング・ティンバクトゥー』 - Talking Timbuktu (World Circuit)(第37回グラミー賞最優秀ワールドミュージック・アルバム受賞)
  • 1997年 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 - Buena Vista Social Club (Nonesuch)
  • 2003年 マヌエル・ガルバンと共同名義, 『マンボ・シヌエンド』 - Mambo Sinuendo (Nonsuch)
  • 2010年 チーフタンズと共同名義, 『サン・パトリシオ』 - San Patricio (Hear Music)

CM

  • パイオニア カーステレオロンサム・カーボーイ(1981年) 『アクロス・ザ・ボーダーライン』がCMソング。
  • パイオニア ステレオラジカセRunaway(1982年) 『GO Home Girl』がCMソング。
  • サントリー アーリータイムズ (1988年)「CM音楽から消えた『時代の音』」『朝日新聞』1988年10月29日東京夕刊、7頁。スライド・ギタリストとして出演。

関連項目

参照文献

外部リンク

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