薩谷和夫 : ウィキペディア(Wikipedia)

薩谷 和夫(さつや かずお、1935年7月20日 - 1993年1月6日)は、日本の映画美術監督。東京都出身。

来歴

永田町小学校(現麹町小学校)、麹町中学校、東京都立明正高等学校を経て、青山学院大学文学部入学後、中退。中退後に東宝撮影所美術課に入社。入社後、最初の仕事は怪獣”ラドン”の翼の操演だった。

黒澤映画の美術監督である村木与四郎のもとで美術を学ぶ。兄弟子は竹中和男。

初美術監督作品は加山雄三の「若大将シリーズ」の『俺の空だぜ!若大将』。

お酒は”サントリー角瓶”を、ミュージカル映画は『イースターパレード』(1948)が最も好き、と公言。

主に大林宣彦の美術監督として知られるが、大林とは『HOUSE ハウス』の頃に知り合い、東宝退社後フリーとなってからも『転校生』『転校生』は薩谷がフリーとなってからの第1作目にあたる。以降、『青春デンデケデケデケ』までの大林映画の美術監督を務める。

『水の旅人 侍KIDS』も本来は薩谷が美術を担当する予定だったが、同作の九州ロケの準備中に病に倒れ、尾道まで帰ってきて入院するが、1993年1月6日、帰らぬ人となった(『水の旅人』は薩谷亡き後、兄弟子である竹中和男が美術を引き継いだ)。

仕事の傍ら、こよなく愛した尾道のスケッチ12枚の絵葉書制作2012年現在も購入が可能。墨の5色塗りというこだわりの絵はがきに取組んでおり、これが遺作となってしまった。

本来は美術担当だが、『HOUSE ハウス』から『ふたり』まで脇役の役者としても登場。没後の今でも大林映画の中で姿を見ることができる。また大林の配慮で『あの、夏の日』では写真の遺影も。担当した美術監督作品数は50を越える。

墓は自らが美術を担当した『さびしんぼう』の舞台となった尾道の西願寺にある生前「僕が死んだら、東京から母のお骨もこっちに移して、あの西願寺で眠りたい」と言い続けていた。。

主な代表作

  • 1966年5月28日 - クレージーだよ奇想天外 - 美術助手
  • 1967年4月29日 - クレージー黄金作戦 - 美術助手
  • 1970年8月14日 - 俺の空だぜ!若大将
  • 1970年11月14日 - 学園祭の夜 甘い経験
  • 1971年1月9日 - 若大将対青大将
  • 1971年4月15日 - 夕日くん サラリーマン脱出作戦
  • 1972年5月25日 - 白鳥の歌なんか聞えない
  • 1972年9月2日 - 恋の夏
  • 1973年2月10日 - 卒業旅行 Little Adventurer
  • 1973年9月22日 - 夕日くん サラリーマン仁義
  • 1973年11月17日 - 野獣狩り
  • 1973年12月1日 - 修羅雪姫
  • 1973年12月29日 - グァム島珍道中
  • 1974年3月21日 - ゴジラ対メカゴジラ
  • 1974年7月20日 - 急げ!若者 TOMORROW NEVER WAITS
  • 1974年7月20日 - 血を吸う薔薇
  • 1975年2月1日 - 告訴せず
  • 1975年6月21日 - 阿寒に果つ
  • 1975年7月12日 - がんばれ!若大将
  • 1977年1月22日 - アラスカ物語
  • 1977年7月30日 - HOUSE ハウス
  • 1977年12月17日 - 惑星大戦争
  • 1978年4月29日 - 愛の嵐の中で
  • 1978年12月16日 - ピンク・レディーの活動大写真
  • 1979年7月14日 - 金田一耕助の冒険
  • 1981年2月11日 - 帰ってきた若大将
  • 1982年4月17日 - 転校生
  • 1983年7月16日 - 時をかける少女
  • 1985年4月13日 - さびしんぼう
  • 1988年9月15日 - 異人たちとの夏
  • 1991年5月11日 - ふたり
  • 1992年10月31日 - 青春デンデケデケデケ
  • 1993年2月20日 - はるか、ノスタルジィ

受賞歴

  • 第12回日本アカデミー賞優秀美術賞

出典

  • 『映像メディア作家人名事典』(日外アソシエーツ)

参考文献

  • 『新版 大林宣彦のa movie book尾道』(たちばな出版 2001年) P194-195
  • 『4/9秒の言葉―4/9秒の暗闇+5/9秒の映像=映画』(大林宣彦 創拓社 1996年)P224
  • 『映画 おかしなふたり』パンフレット(1988年)

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/09/21 06:32 UTC (変更履歴
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