土取利行 : ウィキペディア(Wikipedia)

土取利行(つちとり としゆき、1950年9月1日 - )は、香川県出身の音楽家・パーカッショニスト、マルチインストゥルメンタリスト、フリー・ジャズ、演劇音楽(ピーター・ブルック劇団のロングコラボレーター)、古代音楽、民族音楽・民俗音楽など、複数のジャンルに取り組んできた。前衛ギタリストのデレク・ベイリーhttps://www.discogs.com/ja/Derek-Bailey-Improvisation/master/31040とも共演した。近年は添田唖蝉坊の演説歌にも挑戦している。国内だけでなく、国外でも音楽活動を展開した。

来歴

香川県多度津町で幼少の頃から祭り太鼓を叩き、10代より大阪でモダンジャズを始める。

1970年代初頭、前衛ジャズ・ドラマーとして活動を開始。近藤等則坂本龍一阿部薫、高木元輝、音楽評論家の間章らと音楽活動を展開。フリー・ジャズの演奏家、ミルフォード・グレイヴス記録映像にNHK ETV特集「伝説のドラマーミルフォード・グレイヴス ~肉体のビートを聴け~」など。、デレク・ベイリー、スティーヴ・レイシーらと共演を重ねる。また、1976年以来、ピーター・ブルック国際劇団の音楽家となり、『ユビュ王』『マハーバーラタ』『ハムレット』『テンペスト』『驚愕の谷』『ティエルノ・ボカール』『バトルフィールド』など数々の作品の音楽監督、演奏家として世界各地を巡演。アジア・アフリカの民族音楽の渉猟を続けるなか、日本のうたもの、語りものを追求する三味線演奏家・音楽家の桃山晴衣と81年にパリで出会う。1987年に、岐阜県郡上八幡に活動の拠点として茅葺きの芸能堂「立光学舍りゅうこうがくしゃ。」「立光学舎レーベル」を桃山と共同で設立。

1988年から1993年まで、地域の民話・伝説をもとに創造した芸能舞台「立光学舍フェスティバル」を毎夏開催するほか、岐阜(奥美濃)から発信する文化として、国内外の音楽家・舞踊家らの招聘公演のプロデュース・出演を多数手がけた。

同時に、弥生時代、縄文時代、旧石器時代という日本有史以前の音楽の研究と演奏を深め、縄文鼓を復元・演奏した「縄文の音世界プロジェクト」は各方面から注目を集める。一時、アジアの打楽器を中心とした演奏集団「スパイラル・アームズ」も率いた。大野一雄、山田せつ子、田中泯ら舞踊家との共演も多い。

2000年代は、フランスの壁画洞窟の音楽調査・演奏と、ピーター・ブルック国際劇団の世界公演を続けながら、国内での演奏公演やワークショップ活動も多数行う。

現在、添田唖蝉坊をはじめとする明治大正の演歌師の残した歌を研究し、ライブ公演やYouTubeで披露している。また、添田唖蝉坊・知道の演歌を原曲に忠実にレコーディングしたアルバムを、これまでに3枚リリースした。伴侶の桃山晴衣は、添田唖蝉坊の息子である添田さつきの最後の弟子だった。

TV出演

  • 1983年 TBS「銅鐸を打つ」
  • 1989年 NHK BS「鼓武震撼」(中国武術家の松田隆智とのジョイントパーフォーマンス / 銀座セゾン劇場)
NHK ETV8「始源の音を求めて ~対談 土取利行・西江雅之~」
  • 1990年 NHK教育テレビ「縄文の音世界を求めて」(演奏に至るまでのドキュメント)
NHK衛星放送(長野県尖石遺跡での「縄文鼓」の演奏)
NHK衛星放送中継番組「ミステリーゾーン飛騨篠田正浩司会。小林達雄鎌田東二内藤正敏共演。」
  • 2000年 TBS「筑紫哲也ニュース23ミレニアム特集」(吉野ヶ里遺跡での「縄文鼓」の演奏)
  • 2002年 NHKハイビジョンスペシャル「暗闇に残されたメッセージ ~世界最古・洞窟壁画の謎~写真家の港千尋と番組のナビゲーターをつとめ、フランスの先史時代の壁画洞窟にて古代楽器を演奏。考古学者ジャン・クロット、ミッシェル・ロルブランシェ、音響学者ミッシェル・ドウボアらと交流。」
  • 2003年 NHK総合(同上)

受賞歴

  • 1990年 第二回古川町音楽大賞奨励賞受賞(選考委員 武満徹、諸井誠ほか)。
  • 1999年 岐阜県の織部賞(知事賞)を受賞。

ディスコグラフィ(主要作品)

  • 「オリジネーション」土取利行、高木元輝 1975年(ALMレコード)
  • 「Disappointment - Hateruma / 土取利行 & 坂本龍一」1975年(ALMレコード)
  • 「銅鐸」1983年 (ビクターレコード)
  • 「磬石(サヌカイト)」1986年(ビクターレコード)
  • 「夢二絃唱 / 土取利行 & 桃山晴衣」1989年(立光学舎レーベル)
  • ピーター・ブルック「マハーバーラタ」映画版サウンドトラック 音楽監督・演奏:土取利行
  • 「縄文鼓」1990年(ビクターレコード)
  • 「ネイティヴ・ドリーム / 土取利行 & トリブ」1995年(ALMレコード)
  • 「Drum Sky 鼓空 / 土取利行 & スパイラルアームズ」1998年(徳間ジャパン)
  • 「縄文鼓・スピリットダンス」2002年(立光学舎レーベル)
  • 「瞑響・壁画洞窟」2008年(日本伝統文化振興財団)
  • 「添田唖蝉坊・知道を演歌する Original recording」2013年(立光学舎)
  • 「明治の壮士演歌と革命歌 Original recording」2014年(立光学舎)
  • 「添田唖蝉坊・知道を演歌する / 第二集 Original recording」2015年(立光学舎)
  • 「添田唖蝉坊・知道をエンカする/第三集 Original recordinng」2018年(立光学舎)
  • 「水霊の歌」松田美緒、土取利行 2017年
  • 「The Flow of spirit」エヴァン・パーカー、土取利行、ウイリアム・パーカー 2018年

著作

  • 『螺旋の腕』 1988年(筑摩書房)
  • 『縄文の音』 1999年(青土社)2007年増補新版
  • 『壁画洞窟の音 旧石器時代・音楽の源流をゆく』 2008年(青土社)
共著
  • 『軟骨的抵抗者 演歌の祖・添田啞蟬坊を語る』鎌田慧共著. 金曜日, 2017.8

訳書

  • ハズラト・イナーヤト・ハーン『音の神秘』1988年(平河出版社)

関連項目

  • フリー・ジャズ
  • 前衛音楽
  • 前衛

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2023/11/17 06:39 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「土取利行」の人物情報へ