栗原英雄 : ウィキペディア(Wikipedia)

栗原 英雄(くりはら ひでお、1965年〈昭和40年〉7月4日 - )は日本の俳優。栃木県下都賀郡壬生町出身。レ・ブリアン(Les Brillants)所属。

略歴

國學院栃木高校在学時に演劇を志し、1984年、高校卒業後に上京して劇団四季に入団。ミュージカル『ライオンキング』をはじめ数々の演目に出演し、2009年退団。

退団後は舞台や映画を中心に活動を続け、2016年に大河ドラマ『真田丸』(真田信尹 役)でテレビドラマ初出演を果たした。

俳優業

  • 中学時代に役者を目指し始め、國學院栃木高校入学と共に演劇部へ入部。「自分の肉体を駆使する表現がしたい」との思いからシェークスピア作品を読むなどして本格的に演劇を志した。
  • 当時憧れていた俳優(ジェームズ・ディーンロバート・デ・ニーロアル・パチーノ)全員が『アクターズ・スタジオ』で演劇を学んだ経験を知り、更に浅利慶太の「劇団四季は食べられる」というインタビュー記事を読んだことで、劇団四季を受けることを決めたという。
  • 劇団四季にはテスト生として合格。合格理由について浅利慶太に「才能はない。だが素質はある」と伝えられたという。初舞台は19歳『コーラスライン』である。
  • 劇団内でベテランとなってからは、浅利慶太の補助として研究生を指導する側に立つこともあった。
  • 2009年、役者としてより成長したいとの思いから、25年間所属していた劇団四季を退団した。
  • 初映像作品はBABEL LABELの『けむりの街の、より善き未来は』(監督・藤井道人)。若者が作っていく現場に参加したいという意志で自らオーディションに参加し、藤井監督よりオファーをもらったことがきっかけである。以降BABEL LABEL作品には幅広い役柄(ダメ親父・地下アイドルファン・女装する役など)で多数出演している。
  • 『真田丸』出演は、同ドラマ脚本の三谷幸喜が出演舞台『タイタニック』を観劇したことがきっかけである。三谷と親交のあった共演のシルビア・グラブ経由で「映像作品への興味」を尋ねられ、興味がある旨を伝えたところ後日出演オファーが来たという。
  • 『真田丸』クランクインは2015年9月3日乗馬シーンから。30度の急斜面を馬で駆け上がる撮影に備えハードな乗馬訓練を重ねて本番に臨んだが、本編ではそのシーン自体全てカットされてしまった。しかし、撮影終了後も定期的に乗馬訓練場に通い続けている。

演劇論

  • 芝居で大切なのは相手役の反応や出方であり、それを敏感に受けそして返していく演技こそが最上の演技である、と語っている。
  • 「感情は自分で作るのではなく相手役からもらうもの。自分がどうしたいかというのを相手にぶつけた時に、相手役の反応によって初めて感情は生まれる」「自分は自分の色だけでは生きられない役者。カメラマンや演出家の言葉が必要」「自分を常にニュートラルな状態に置くことも重要」とも語っている。
  • 役をもらい役に入ると、普段の生活もその役の感じでしかいられなくなりがちとも話す。

人物

  • 最初の演劇体験は幼稚園のお遊戯大会で「おにぎり」役だった。
  • 好きな俳優は「嘘のない演技が出来る人」としてハーヴェイ・カイテルを挙げている。他にもロバート・デ・ニーロアル・パチーノフィリップ・シーモア・ホフマンなど。
  • 好きな映画は『ユリシーズの瞳』・『スモーク (映画)』・『バグダッド・カフェ』など。主にロードムービーや群像劇を好む。
  • 真田信尹役を演じたことがきっかけで、信尹が祀られている山梨県北杜市の龍岸寺にはたびたび参拝し、訪れるたびに「おかえりなさい」と声を掛けられているという。
  • 劇団四季時代は「自分に厳しく、他人に厳しく」のスタンスだったが、退団後は「自分に厳しく、他人に優しく」のスタンスにシフトしたという。
  • ミュージカル『タイタニック』『パジャマゲーム』の演出家、トム・サザーランドから、「幸せというのは色んなところにあるじゃないかというのが、あなたを見ていたら滲み出ている」と評価されている。
  • 役者を志した高校時代から地元の方言(栃木弁)は封印してきた。
  • 野外イベントやロケなどでは晴れることが多く、晴れ男を自負している。
  • 日常にルーティーンがあり、必ず出かける2時間前には起床している。仕事や撮影のある日などは出かける4時間前には起床し準備しているという。
  • 動物園と水族館のどっち派という質問に対し「居酒屋派」と答えるほどのお酒好き。基本的には何でも飲むが、特に日本酒が好み。ただし撮影前日などは焼酎に切り替えるなど気を遣っている。休肝日は設けておらず、時に二日酔いすることもあると語っている。
  • 「メンクイ」と自称するほどの麺好きで、三食麺類でも大丈夫という。一番好きな麺類は「蕎麦」。中でも十割に近いものを選ぶようにしている。蕎麦屋で天ぷらを肴に焼酎のそば湯割りを飲み、せいろで締めるのがいいと語っている。ラーメンも好きだが食べるタイミングには気を付けており、なるべく無化調の(化学調味料を使わない)ものを食べるようにしている。他にもパンは全粒粉、ごはんは玄米食とするなど、食生活にはかなり気を遣っている。
  • 苦手な食べ物はタマネギである。形が残っていないほど煮込んであれば大丈夫とも話す。長ネギは食べられるという。
  • 愛犬家で犬を2匹飼っている(ぽろん・ワイリー)。ツイッター等のSNSで時折登場するが、ぽろん(ロングコートチワワ・雌)はひらがなでしかしゃべれない設定で、自分のことを「ちちー」と呼ばせている。ワイリー(パピヨン・雄)はカタカナも使える設定で、自分のことは「パパー」と呼ばせている。
  • 三谷幸喜とは舞台『不信〜彼女が嘘をつく理由』オファー後に初めて連絡先の交換をしたという。最初のやりとりが(「本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」「こちらこそよろしくお願いします」という内容で)「まるで付き合い始めの思春期のカップルみたいなやりとりだった」と述懐している。
  • 舞台『不信〜彼女が嘘をつく理由』初日直前会見の場では、共演者である戸田恵子に「思いのほか天然なところがある」と評されている。
  • 朝日新聞夕刊に連載されているエッセイ「三谷幸喜のありふれた生活844(2017年4月13日掲載)」にて、『不信~彼女が嘘をつく理由』の現場で見せた素顔の一端を三谷幸喜から「大人の雰囲気がある」「たまに見せるおちゃめな部分が非常にキュート」と評されている。同エッセイで三谷は、共に仕事をしたかった役者として岸田森成田三樹夫(いずれも故人)を挙げた上で、最後に「叶わぬ夢に、少し淋しい気持ちになってしまうのだが、もう大丈夫。/僕には栗原英雄がいる」と締めくくった。この言葉はそのままエッセイの表題になっている。

出演作品

舞台

劇団四季時代

  • コーラスライン - リチー役
  • アスペクツ・オブ・ラブ - マルセル・リチャード役
  • 人間になりたがった猫 - ライオネル役
  • ウェストサイド物語 - シャーク団チノ役
  • ふたりのロッテ - パルフィー役
  • はだかの王様 - ペテン師スリッパ役
  • 九郎衛門 - ひろめ屋役
  • キャッツ - ラム・タム・タガー役
  • クレイジー・フォー・ユー - ベラ・ザングラー役
  • ライオンキング - スカー役
  • マンマ・ミーア! - ビル・オースティン役
  • コンタクト - マイケル・ワイリー役
  • ウィキッド - オズの魔法使い役
  • エクウス - アラン役
  • ヴェニスの商人 - バサーニオ役
  • ブラックコメディー - ピーター・シエファー役
  • 夢から醒めた夢 - 夢の配達人役

劇団四季退団後

  • アンタッチャブル - カルロ・ニコラ役(アル・カポネの部下)
  • ミーグウイッチ
  • ディートリッヒ - ゲッベルス役(ナチス党宣伝大臣)
  • 2 -two-(トリプルtime)
  • 12〜twelve〜(OOBJ)- No4役※2011年初演版
  • SEMPO -日本のシンドラー 杉原千畝物語- - グッシェ 役
  • ふと、立ち止まり、語り出す(2013年10月10日-10月14日、So Creativeプロデュース公演・演出:志真健太郎
  • タイタニック - エドガー・ビーン 役
  • しあわせのかたち
  • 太平洋食堂
  • 不信〜彼女が嘘をつく理由
  • ミュージカル『パジャマゲーム』 - ハインズ役 ※2017年All Aboutミュージカル・アワード助演男優賞受賞
  • ミュージカル『メンフィス』 - シモンズ役
  • ミュージカル『マタ・ハリ』-パンルヴェ役
  • 日生劇場『リトル・ナイト・ミュージック』-カールマグナス伯爵
  • 大地(Social Distancing Version)(2020年、PARCO劇場・サンケイホールブリーゼ) - ホデク 役
  • Romeo and Juliet ―ロミオとジュリエット―(2021年、東京グローブ座・梅田芸術劇場)
  • ミュージカル「October Sky -遠い空の向こうに-」(東京公演:2021年10月6日 - 10月24日、シアターコクーン/大阪公演:2021年11月11日 - 11月14日、森ノ宮ピロティホール)- ジョン・ヒッカム 役 ミュージカル October Sky-遠い空の向こうに- オフィシャル
  • レイディマクベス(2023年10月1日 - 11月12日、よみうり大手町ホール / 11月16日 - 27日、京都劇場) - ダンカン 役
  • エウリディケ(2024年2月4日 - 18日、世田谷パブリックシアター / 2月24日 - 25日、梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ) - エウリディケの父 役
  • ミュージカル「イリュージョニスト」(2025年3月、日生劇場 / 4月、梅田芸術劇場 メインホール) - ウール警部 役

映画

  • けむりの街の、より善き未来は(2012年)
  • 男たちの楽園(2013年)
  • ドキュメント(2013年)
  • 寄り添う(2014年)
  • めちゃくちゃなステップで(2014年)
  • 私糖尿病ですって(2015年)
  • 猿たちの舟(2015年)
  • TOKYO CITY GIRL(2015年)
  • あなたがここにいてほしい(2016年)
  • ホテルコパン(2016年) - 段来示 役
  • TOKYO CITY GIRL -2016-(2016年)
  • 沈黙 -サイレンス-(2017年)
  • 記憶にございません!(2019年) - 高級レストラン店長 役

テレビドラマ

  • 大河ドラマ(NHK)
    • 真田丸(2016年) - 真田信尹 役
    • 鎌倉殿の13人(2022年) - 大江広元 役
  • スペシャルドラマ「LEADERS II(リーダーズ2)」(2017年3月26日、TBS) - 池田 役
  • ドラマ24「孤独のグルメSeason6」第11話「東京都文京区茗荷谷の冷やしタンタン麺と回鍋肉」(2017年6月23日、テレビ東京) - 常連客・斉藤 役
  • 風雲児たち〜蘭学革命(れぼりゅうし)篇〜(2018年1月1日、NHK) - 奥平昌鹿 役
  • 連続テレビ小説(NHK)
    • わろてんか(2018年) - 工藤隆一郎 役
    • なつぞら(2019年) - 虻田登志夫 役
  • 半沢直樹(2020年、TBS) ‐ 府川義則 役
  • 危険なビーナス(2020年10月11日 - 12月13日、TBS) - 矢神康治 役
  • オールドルーキー 第1話(2022年6月26日、TBS)- 吉広幸司 役
  • クロサギ 第3話(2022年11月4日、TBS) - 西岡崎誠二 役
  • ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜(2023年10月9日 - 12月18日、フジテレビ) - 蛇の目菊蔵 役

ラジオドラマ

  • 特集オーディオドラマ 「アシマの銃、セギルの草笛」(2017年1月2日、NHK-FM)アシマの父 役
  • 青春アドベンチャー (NHK-FM)
    • 「帝冠の恋」(2017年1月30日 - 2月10日) - ナイペルク伯 役
    • 「また、桜の国で」(2017年8月28日 - 9月15日) - 後藤副領事 役
    • 「暁のハルモニア」(2018年8月27日 - 9月7日) - オクセンシェルナ伯爵 役
    • 「紺碧のアルカディア」(2019年10月21日 - 11月1日)
    • 「ハプスブルクの宝剣」(2020年3月9日 - 4月3日)
    • 「軽業師タチアナと大帝の娘」(2022年8月29日 - 9月16日)
  • FMシアター 「乾杯ワインは 時を超えて」(2022年12月3日、NHK-FM) - 丸谷町長 役

外部リンク

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