李鳳宇 : ウィキペディア(Wikipedia)

李 鳳宇(リ・ボンウ、1960年 - )は、日本の映画プロデューサー。

株式会社スモモ 最高執行責任者(CEO)。株式会社シネカノンの元代表。

来歴

1960年、京都府東山区生まれ。朝鮮大学卒業後、フランスのソルボンヌ大学に留学。帰国後、徳間ジャパンを経て89年に配給会社シネカノン設立。

アジア・ヨーロッパの秀作を中心に配給活動を行い、93年、初製作の『月はどっちに出ている』(崔洋一監督)で第67回キネマ旬報ベストテン第1位、第3回日本映画プロフェッショナル大賞、毎日映画コンクール映画大賞、ブルーリボン賞作品賞など国内外で50を越える映画賞を受賞。興行的にも大成功し、新宿ピカデリーで26週間ロングランという記録を作った。94年に韓国映画『風の丘を越えてー西便制』を配給し、続く2000年には『シュリ』『JSA』『殺人の追憶』『スキャンダル』等を配給し韓国映画ブームの火付け役となる。

特に『シュリ』は韓国映画として初めて130万人を超える動員を記録して業界に衝撃を与えた。

05年には『パッチギ!』(井筒和幸監督)を製作し毎日映画コンクール日本映画大賞、キネマ旬報ベストテン第1位、ブルーリボン賞作品賞など多数受賞。続く06年には、『フラガール』(李相日監督)を製作、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。インディペンデントで製作・配給した映画としては史上初の受賞となる。翌年には映画文化への貢献を評価され、第16回淀川長治賞を受賞、日本アカデミー協会特別賞、第1回SARVH賞最優秀プロデューサー賞、韓国釜山映画祭アジア映画貢献賞などを受賞。

その後、震災後の東北沿岸を拠点に移動映画館MOMO(Moving out Movie oasis)を展開し、福島、宮城、岩手の各県で移動映画館を開館した。

2011年には株式会社スモモの最高執行責任者(CEO)および株式会社マンシーズエンターテイメントの代表取締役に就任。

高倉健の人生を描いたドキュメンタリー映画『健さん』をプロデュースし、第40回モントリオール世界映画祭の最優秀作品賞を受賞。14年には自らの企画、脚本で『イン・ザ・ヒーロー』(武正晴監督・東映配給)を製作。17年に『リングサイド・ストーリー』(武正晴監督)の企画・脚本・製作総指揮、19年に『あの日のオルガン』(平松恵美子監督、戸田恵梨香大原櫻子ダブル主演)の企画・製作総指揮を担当した。

映画の製作、配給の他にも、劇場の経営(シネアミューズ、シネカノン有楽町、ヒューマントラスト銀座、渋谷、他)や世田谷もの作り学校でスクーリングパットを開設し次世代の映画人、俳優の育成など、多方面にわたり日本の映画界を牽引してきた、日本映画界のキーパーソン。

最近では長年親交のあるポン・ジュノ監督の米アカデミー賞受賞作『パラサイトー半地下の家族』の演劇化を世界初で手掛けると発表して話題を呼んだ。映画、演劇、配信ドラマのプロデュースにも活動の領域を広げている。

主な製作・企画・脚本・配給作品

映画

タイトル監督役職
1993年月はどっちに出ている崔洋一製作・配給
1994年月より帰るじんのひろあき企画・配給
風の丘を超えて〜西便制〜林権澤配給
苺とチョコレートトマス・グティエレス・アレア配給
1995年平成無責任一家 東京デラックス崔洋一製作・企画
1996年ビリケン阪本順治製作・配給
ウオレスとグルミットニック・パーク配給
カップルズエドワード・ヤン配給
恋愛時代エドワード・ヤン配給
1997年デカローグククシュトフ・キシェロフスキー配給
ブラス!マーク・ハーマン配給
フープドリームススティーブ・ジェームス配給
1998年マルセイユの恋ロベール・ゲディギャン配給
1999年のど自慢井筒和幸企画・製作・配給
ハピネストッド・ソロンズ配給
ビッグ・ショー! ハワイに唄えば井筒和幸企画・製作
セカンドチャンス水谷俊之、富岡忠文製作・配給
地雷を踏んだらサヨウナラ五十嵐匠配給
2000年太白山脈林権澤配給
MONDAYSABU製作・配給
サンピエールの生命パトリス・ルコント配給
グリーン・フィッシュイ・チャンドン配給
スプリング・イン・ホームタウンイ・グァンモ配給
シュリカン・ジェギュ配給
2001年JSAパク・チャヌク配給
風花相米慎二配給
チキンランニック・パーク配給
シーズンチケットマーク・ハーマン配給
ファニーゲームミヒャエル・ハネケ配給
ダンボールハウス・ガール松浦雅子製作・配給
光の雨高橋伴明配給
2002年KT阪本順治企画・製作・配給
バスを待ちながらJ・C・タビオ配給
友へ〜チングクァク・キョンテク配給協力
ブレッド・アンド・ローズケン・ローチ配給
2003年さよなら、クロ松岡錠司製作・配給
ゲロッパ!井筒和幸企画・製作・配給
殺人の追憶ポン・ジュノ配給
北京バイオリンチェン・カイコー配給
パイランソン・ヘソン配給
ホテル・ハイビスカス中江裕司配給
永遠のモータウンポール・ジャストマン配給
2004年誰も知らない是枝裕和企画協力・製作・配給
お父さんのバックドロップ李闘士男製作総指揮
オアシスイ・チャンドン配給
スキャンダルイ・ジェヨン配給
2005年パッチギ!井筒和幸企画・製作・配給
恋は五・七・五!荻上直子製作・配給
オオカミの誘惑キム・テギュン配給
復讐者に憐れみをパク・チャヌク配給
スカーレットレターピョン・ヒョク配給
Dear フランキーショーナ・オーバック配給
マカロニウェスタン〜800発の銃弾アレックスD・イグレシア配給
南極日誌イム・ピルソン配給
マラソンチョン・ユンチョル配給
2006年ゆれる西川美和配給
転がれ!たま子新藤風製作・配給
青いうた〜のど自慢 青春編〜金田敬企画・製作・配給
フラガール李相日製作・配給
明日へのチケットエルマンノ・オルミアッバス・キアロスタミケン・ローチ配給
麦の穂をゆらす風ケン・ローチ配給
ジダン〜神が愛した男ダグラス・ゴードン配給
みえない雲グレゴール・シュニッツラ配給
2007年魂萌え!阪本順治企画・製作・配給
キトキト!吉田康弘製作・配給
ミルコのひかりクリスティアーノ・ボルトーネ配給
サディスティック・ミカ・バンド滝本憲吾企画・製作・配給
パッチギ! LOVE&PEACE井筒和幸企画・製作・配給
アフターウエディングスザンヌ・ビエール配給
ある愛の風景スザンヌ・ビエール配給
2008年歓喜の歌松岡錠司企画・製作・配給
歩いても 歩いても是枝裕和製作・配給
ラストゲーム 最後の早慶戦神山征二郎製作・配給
2009年ハルフウェイ北川悦吏子製作・配給
真夏の夜の夢中江裕司製作・配給
2010年ハナー奇跡の46日間ムン・ヒョンソン配給
2011年預言者ジャック・オディアール配給
2012年EDEN武正晴企画・脚本・製作・配給
2013年チスルオ・ミヨル配給
ローマに消えた男ロベルト・アンドー配給
2014年イン・ザ・ヒーロー武正晴企画・脚本・製作総指揮
グレート・ビューティ〜追憶のローマパオロ・ソレンティーノ配給
2015年セバスチャン・サルガドヴィム・ヴェンダース配給
グロリアの青春セバスチャン・レリオ配給
2016年健さん日比遊一製作総指揮・配給
パコ・デ・ルシア〜灼熱のギタリストクーロ・サンチェス配給
2017年リングサイド・ストーリー武正晴企画・脚本・製作総指揮
僕と世界の方程式ダニー・コーエン配給
2018年ロープフェルナンド・レオン・デ・アラノア配給
2019年あの日のオルガン平松恵美子企画・製作総指揮・配給

著書

  • 1994年 「月はどっちに出ている」をめぐる2、3の話(社会評論社)
  • 1998年 先に抜け、撃つのは俺だ(アスペクト社、四方田犬彦との共著)
  • 2003年 日本映画は再興できる(ウェイツ)
  • 2005年 パッチギ!対談編(朝日新聞社、四方田犬彦との共著)
  • 2007年 愛、平和、パッチギ!(講談社、井筒和幸との共著)
  • 2007年 パッチギ!的-世界は映画で変えられる(岩波書店)
  • 2015年 民族でも国家でもなく: 北朝鮮・ヘイトスピーチ・映画(平凡社、四方田犬彦との共著)

受賞歴

  • 2006年 日本アカデミー賞協会特別賞
  • 2007年 第16回淀川長治賞
  • 2007年 第1回SARVH賞最優秀プロデューサー賞
  • 2008年 釜山映画祭アジア映画貢献賞

主な教育現場と出講大学

  • 世田谷もの作り学校スクーリングパッドにて
  • 映画プロデューサーコースと俳優コースを創設、運営
  • 早稲田大学大学院国際情報通信研究科
  • 東京大学大学院情報学環
  • 京都精華大学人文学部
  • 立命館大学映像学部
  • 日本大学芸術学部映画学部、他

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/03/27 23:07 UTC (変更履歴
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