堀尾青史 : ウィキペディア(Wikipedia)

堀尾 青史(ほりお せいし、1914年3月22日〈大正3年〉 - 1991年〈平成3年〉11月6日)は、日本の紙芝居作家・児童文学作家。宮沢賢治の伝記研究でも知られる。

経歴

兵庫県加古郡高砂町(現・高砂市)生まれ。1935年明治大学中退、松永健哉と出会い、紙芝居に関わる。その前年、東北大冷害の取材のために岩手県を訪れ、宮沢賢治とその前年の死去を知る堀尾青史『年譜宮澤賢治伝』中央公論社《中公文庫》1991年の著者紹介による。。その後、賢治の実弟である宮沢清六の知遇を得て、賢治の事績について研究を始める。戦後は1948年民主紙芝居集団、1968年子どもの文化研究所に参加。また、農山漁村文化協会や全日本社会教育連合会に勤務した。

1966年、宮沢賢治の編年体伝記『年譜宮澤賢治伝』(図書新聞社)を刊行する。従来の年譜や伝記より詳細な内容であった。すぐに売り切れ、版元から増刷を求められたが、資料が発掘中で賢治全集もまだ不完全として固辞したという堀尾青史「あとがき」『年譜宮澤賢治伝』中央公論社《中公文庫》、1991年、p.466。堀尾の賢治研究は、『校本宮澤賢治全集 第14巻』(筑摩書房、1977年)の「年譜」で集大成され、原稿用紙1000枚・300ページという、より詳細で浩瀚なものとなった堀尾青史『年譜宮澤賢治伝』中央公論社《中公文庫》1991年、p.9、p.466。この「年譜」は1991年に抜粋された単独書籍として刊行された。堀尾の没後に編集された『【新】校本宮澤賢治全集』でも、その後の研究で考証が見直された箇所はあるものの、基本的には堀尾が作成した年譜がベースとなっている『【新】校本宮澤賢治全集 第16巻(下) 補遺・伝記資料 年譜篇』筑摩書房、2001年、凡例xiページ。

文民教育協会子どもの文化研究所の第3代所長を務めた紙芝居資料室 - 文民教育協会。

1970年『こねこちゃん』で高橋五山賞受賞。1991年9月には、花巻市から宮沢賢治賞を受賞したが、その2ヶ月後に亡くなった。

文民教育協会子どもの文化研究所では、2015年に堀尾の生誕100年と業績を記念して、広く紙芝居文化の振興に貢献した個人・団体を対象とした「堀尾青史賞」を創設した。

著書

  • 『いぬ えとおはなし』ヱンゼル社 1957年
  • 『日本の子どもの歴史』お話博物館 5年生 白崎海紀絵 実業之日本社、1957年
  • 『ぺんぎんのおやこ』山田三郎美術 エンゼルブック人形絵本、1957年
  • 『たんぼのなかの一けんや』高田三九三訳詞 エンゼルブック人形絵本、1958年
  • 『こうさぎピンク』杉浦敬民美術 エンゼルブック人形絵本、1959年
  • 『小林一茶 孤独の俳人』佐藤忠良絵 岩崎書店 少国民の偉人物語文庫、1959年
  • フォスター』下総皖一監修 小谷野半二画 童心社、1962年
  • 『うみのたんけん』黒谷太郎画 童心社、1964年
  • 『はりきりぼうやがんばる 意欲のある子にする童話』馬場のぼる絵 実業之日本社、1964年
  • 『年譜宮沢賢治伝』図書新聞社、1966年 のち中公文庫、1991年(増補改訂版)
  • 『おはなしうちゅうめぐり 1年生』広瀬秀雄監修 横田昭次絵 実業之日本社、1968年
  • 『おしゃもじ天狗 わたしの西鶴』童心社 こどもの古典、1969年
  • 『しらさぎとあきひこ』井口文秀画 童心社 日本の動物記シリーズ、1971年
  • 『嵐をゆく勝海舟』武部本一郎画 岩崎少年文庫。1972年
  • 『宮沢賢治』石田武雄絵 ポプラ社 子どもの伝記・カラー版、1972年
  • 『ぎんの川』太田大八絵 フレーベル幼年どうわ文庫、1975年
  • 『「しあわせ号」ゴーゴー』長新太絵 岩崎幼年文庫、1975年
  • 『カンナカムイのたたかい』太田大八絵 フレーベル館、1978年
  • 『保育童話 1 お話づくり』童心社、1979年
  • 『のぎくの咲く道 ちえおくれの子らとともに』山中冬児画 岩崎小学生文庫、1981年
  • 『松葉づえの少女』岩淵慶造画 岩崎小学生文庫、1981年
  • 『夕べの祈り 農民画家・ミレー』藤沢友一画 岩崎小学生文庫、1981年
  • 『こねこのしろちゃん』太田大八絵 ひさかたチャイルド、1983年
  • 『銀河の旅人-宮沢賢治』岩崎少年文庫、1984年
  • 『ぶたのブリアン大かつやく』和歌山静子絵 岩崎書店、1984 あたらしい創作童話年

紙芝居

  • 『やまからうみから』富永秀夫画 童心社、1962年 よいこの十二カ月
  • 『こぐまのクリスマス』脚本 わかやまけん画 童心社、1964年
  • 『おつきさまおんがくかい』水野二郎画 阿部明子展開指導 童心社、1965年
  • 『おねぼうなしょうぼうさん』田中武紫画 上田美代子展開指導 童心社、1967年
  • 『クリスマスのこいぬ』鈴木琢磨画 柴崎恵子展開指導 子どもの文化研究所編 童心社のかみしばい よいこの十二か月、1970年
  • 『こねこちゃん』安泰画 子どもの文化研究所 編集・展開指導 童心社のかみしばい 美しい心シリーズ、1970年
  • 『どうぶつうんどうかい』野々口重画 子どもの文化研究所編 青木きみ展開指導 童心社 よいこの十二か月、1971年
  • 『にじのエスカレーター』長島克夫画 子どもの文化研究所編 柴崎恵子指導展開 童心社のかみしばい よいこの十二か月、1971年
  • 『だんぷ・だんくろう』宮下森画 塩原ゆかり展開指導 子どもの文化研究所編 童心社、1972 よいこの十二か月年
  • 『ぼくちゃんてだあれ』久保雅勇画 青木きみ展開指導 子どもの文化研究所編 童心社、1972 よいこの十二か月年
  • 『わすれんぼうのサンタさん』徳田徳志芸画 北本みなみ幼稚園展開指導 童心社、1981 よいこの12か月年
  • 『みんなでげきあそび』脚本 久保雅勇画 童心社のかみしばい げんきななかまシリーズ げんきなこうちゃん、1990年

共編著

  • 『幼児の喜ぶお話の本』共編 大日本図書、1962年
  • 『日本なぞとふしぎの物語』鈴江淳也共著 実業之日本社、1966年
  • 『日本ユーモア文学全集 5(古典編 2) 怪物のたまご』編 石井健之絵 ポプラ社、1968年
  • 『日本ユーモア文学全集 7(実話編 1) びっくりニッポン物語』編 難波淳郎絵 ポプラ社、1968年
  • 『おはなしりかあそび たのしいじっけんとてじな 1~4年生』浅野貢一共編 実業之日本社、1969年 学年別シリーズ
  • 『宮沢賢治童話集 全1冊版』宮沢清六共編 実業之日本社、1969年
  • 『紙芝居 創造と教育性』稲庭桂子共編 童心社、1972年
  • 『校本 宮澤賢治全集』共編 筑摩書房、1973年 - 1977年
第14巻の「年譜」を担当。
  • いわさきちひろ』編著 すばる書房文庫 絵本作家文庫、1978年
  • 『父が語る太平洋戦争』全3巻来栖良夫・古田足日共編 童心社のちにフォア文庫、1978年
空と海を血にそめて
どろだらけの戦線
燃える日本列島
  • 『宮沢賢治年譜』編 筑摩書房、1991年
校本全集年譜の単独書籍化。
  • 阿部明子・上地ちづ子共著『心をつなぐ紙芝居』童心社、1991年

翻訳

  • マッコルラン作『ゆうれい船』麦書房 雨の日文庫、1958年
  • ソログーブ原作『つばさとてんし』脚本 水沢研画 童心社、1961年
  • ラドヤード・キップリング『ジャングル・ブック』武部本一郎絵 ポプラ社、世界の名著 1968年

関連文献

  • 子どもの文化研究所(編)『「堀尾青史の世界から紙芝居の明日へ」展図録』子どもの文化研究所、2014年

外部リンク

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