前田実 : ウィキペディア(Wikipedia)

前田 実(まえだ みのる、1954年3月24日 - )は、日本のアニメーター、キャラクターデザイナー。北海道出身。血液型はA型。別名義として前田 みのるがある。

略歴

1970年、スタジオジュニオ(以下ジュニオ)の第1回のアニメーター募集で入社。アニメーターの前田庸生大塚康生から技術を吸収して、ジュニオが下請けを行なっていた東映動画作品、東京ムービー(Aプロダクション)作品の動画からキャリアをスタート。テレビアニメ『はじめ人間ギャートルズ』などの原画を経てジュニオの中核アニメーターに成長し、特に1980年代は、キャラクターデザイナーのデビューになったテレビアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981年)を皮切りに、『タッチ』、『ドラゴンボール』といった大ヒット作のキャラクターデザインと総作画監督を歴任した。

1988年の『それいけ!アンパンマン』開始後は、長く続けた東映動画の『ドラゴンボールZ』も1993年で降板して、アンパンマンシリーズが前田の仕事の中心となった。他にも、杉井ギサブロー監督とは『ナイン』以来の長い付き合いとなっており、コンビを組んでグループ・タック作品などにも参加することも多い。

1998年には、我妻宏、岡崎稔らと共に、シナジージャパン(現:SynergySP)の設立に参加し、同社の取締役に就任した。

人物・エピソード

  • 前田が業界に入った当時のアニメ化作品のキャラクターデザインが原作と異なることが多かった状況について漫画家の絵は下手糞という認識のあったアニメーターの傲りだったとし、前田のポリシーとしては「たとえ画が下手だったとしても、下手なりにファンがいるわけだから、そっくりそのまま表現しないとおかしい」という見解からキャラクターデザインするようになってからは、線1本まで似せるようにしているというDRAGON BALL DVD BOX DRAGON BOOK p15 PCBC-50482 2004年7月7日発売。そのような意識の中で様々なエピソードがあり、若手時代に原作のコマに着色して喋っているだけの「忠実な」映像化を行い演出家に激怒されたことがあるという、これに関しては後年前田自身が失敗だったことを認めている『アニメージュ』2012年6月号。また、長年キャラクターデザインを務めていた『ドラゴンボール』では亀仙人の頭のラインを描くのが苦手で原作者の鳥山明を訪ねて目の前で亀仙人を描いてもらい、それを見て「描き方が違うから、描きにくかったんだ」と気づいたといい、「普通、右利きの人は右上から左下に線を引くじゃないですか。だけど、鳥山君は左下から右上に線を引いてたんですよ。それだけの違いだったんです。」としている『DRAGON BALL 金色の戦士 ドラゴンボール アニメイラスト集』2010年4月16日刊行、ホーム社、54頁。。
  • 現場の経歴としてはキャラクターデザインを務めた『Dr.スランプ アラレちゃん』、『それいけ!アンパンマン』で何度か絵コンテを経験した程度で、一貫してアニメーターの道を歩んでいるが、宮本茂と親交があるため、1980年代には任天堂から発売されているゲームソフト『ゼルダの伝説』シリーズの初期のイラストレーションも請け負っていた。前田の名前は、1998年発売の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のスタッフクレジットでも「Illustration Support」(監修協力)として表記されている。
  • 佐藤正樹は『ドラゴンボールZ』に参加した際、前田から前日の夕方に連絡を受けアイキャッチ部分の作画を「明日の昼までにあげろ!」と無茶振りを要求され絵コンテの内容に尺が合わず苦労の末完成させたものの、放映を見た前田に「正樹! 何だ、あれは!」と激怒されたという。だが放送中、このアイキャッチが『ドラゴンボールZ』数年にわたって一番多く使われ、後年このアイキャッチの絵のカードダスがまんだらけで買い取り額が百万円だったことを知り驚いたという佐藤正樹インタビュー
  • 若手時代に前田と仕事をした清水保行によると若手のアニメーターと仕事をする際、描いた絵は直すものの、動きのタイミングは絶対に直さなかったといい、その結果必ず自分らしさが残ることから若手のモチベーションも上がったという清水保行さんスペシャルインタビュー

参加作品

テレビアニメ

劇場アニメ

OVA

ゲーム

  • エキサイトバイク(グラフィックデザイン)
  • ふぁみこんむかし話 遊遊記(絵コンテ)
  • 謎の村雨城(ディレクター・グラフィックデザイン)
  • ゼルダの伝説 時のオカリナ(イラスト監修協力)

出典

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