いよいよ日本公開!「オデュッセイア」クリストファー・ノーラン監督&マット・デイモンインタビュー
2026年9月3日 07:00

“ノーラン史上最高傑作”との呼び声高いクリストファー・ノーラン監督最新作「オデュッセイア」がいよいよ日本公開を迎える。8月に韓国・ソウルにてノーラン監督と主演のマット・デイモンが日本メディアの取材に応じ、ノーラン監督過去作との共通点、IMAXフィルムでの撮影、オデュッセウス役としての肉体改造や、ノーラン作品初のクリーチャー造形についてなど幅広いテーマで語ってくれた。

イタケのテレマコスとペネロペの物語から始まり、緊張が高まる中、「オデュッセウスはどこにいるのか? どうやって探せばよいのか? 彼は帰ってくるのだろうか?」と問いかけ、そこからストーリーは展開していく。もとの叙事詩の構成にできるだけ忠実に沿うようにしましたが、すべてを盛り込むのは不可能ですから、大切な要素は落とさないように、うまく組み立てていきました。それと同時に、叙事詩を読んだことのない人にも観てもらいたい。だから必要なものとそうでないもののバランスが大切なんです。
編集では、物語を伝える上で必要ないものは、カットしていきました。また脚本を書く際も、それを念頭に置いて、ストーリーを動かす上で必要なものだけを残しました。多少の調整は必要でしたが、叙事詩はすばらしい導きになったし、ストーリーテリングの構成を知ることができました。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS弟はテレビでも活躍していて、より長尺の作品を作るのが好きなのですが、私は、映画が終わる魔法のような瞬間にいつも魅了されるんです。「飛行機を着陸させる」とよく言うのですが、離陸して旅に出て、最後は必ず着陸する。それがうまくいけば、すばらしい体験になるし、理想的な形で物語を伝えることができると考えています。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS今回「オデュッセイア」を映画化するにあたり気づいたのは、私が過去作で扱ってきたテーマが描かれていることでした。「インターステラー」だけでなく、「インセプション」「ダークナイト」の三部作も当てはまります。それは、「オデュッセイア」が物語の原点であることを証明しており、西洋文学にも色濃く反映されています。たとえば「ダークナイト」三部作で、ブルースが扮装して帰宅しますが、私がヒントにしたのは「モンテ・クリスト伯」でした。でもその「モンテ・クリスト伯」は、実はもとは「オデュッセイア」だったんです。つまりすべての物語の土台となっている。
だからこそ「オデュッセイア」には親しみを覚えたし、私が過去作に用いているストーリーテリングの本質的な要素があると感じました。だからこそ、この物語を伝えなければならないと、自信を持って思えるようになったんです。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS私がこれまでに見たことも参加したこともないようなスケールの作品になることは分かっていました。また全編IMAX®で撮影することがいかに大変なことか分かっていましたし、各部門が力を合わせて尽力することが必須なのは、承知の上でした。映画の仕事をしていて、これ以上の環境はありません。
オデュッセウスを演じるにあたっては、やはり大きな肉体改造が必要で、ノーラン監督はたっぷり6カ月という時間をくれました。どのような見た目を求めているかも具体的に教えてくれて、それは非常に助かりました。でも食事、トレーニング、さらに休憩時間の過ごし方など、24時間、気を抜くことができませんでした。
その6カ月の間に何度も衣装合わせがありました。ノーラン監督はとても細かいタイプなので、毎回チェックに来てくれていました。通常監督はそこまでしないものですが、彼は全キャストの衣装合わせに同席して、すべて把握していたのです。
監督とエレン・マイロニックがデザインした甲冑は7~8回、調整をしたと思います。同時に身体も変わりつつあったので、月に一度会って、体形に合わせていました。撮影前のプリプロダクションの時間は貴重でしたね。役者として、役作りのために調べものができるし、考えることもできるからです。また監督とその場で話し合うことで、現場に入って焦ることもなくなります。撮影中、シーンの内容について話し合うことは避けたいですからね。撮影に入ると、“時は金なり”ですから、事前にできる話し合いは済ませておきたいものです。長いプロセスでしたが、監督はコミュニケーション能力に長けているし、不安になるようなサプライズは一切ありませんでした。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS私はテクニカルな挑戦にワクワクしました。スタッフを集めてチームを組み、映画全体のトーンをいかに保つか話し合いました。物語をリアルに描きたかったからです。実際に船に乗って海に出たり、丘を登ったり、キュクロプスの洞窟もギリシャで本物の洞窟で撮影しました。
どのようにしてリアリティを出すか考えた結果、あらゆるトリックを使うことになりました。詳しくは説明しませんが、パペットリーやアニマトロニクス、CGを用いました。そしてすべての原動力となっていたのが、友人ビル・アーウィンのパフォーマンスです。彼は「インターステラー」にも出演していて、「インターステラー」ではロボットのTARを操り、声優も務めました。彼は道化師でもあり、身体的表現に長けており、身体を使って感情を表すのが、非常に上手なんです。ビルは何カ月も作品に関わってくれました。洞窟で撮影も、ポストプロダクションの最中も立ち会ってくれました。
デザインに関しては友人のギレルモ・デル・トロに、「怪物はただの怪物ではない」と学びました。とてもシンプルなことですけどね。クリーチャーに個性、つまり感情や性格を与えることで、さらに恐ろしい存在になる。リアリティが増してくるからです。その結果、登場シーンはより魅力的になり、より恐ろしくなるのです。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS全編IMAX®で撮ると監督から説明を受けた時、最初に尋ねたのは「目線はどうするのか?」ということでした。カメラに大きな箱(ブリンプ)を被せたら、どこに目線を向けたらいいか分からないですからね。するとカメラに鏡をつけて、目線が分かるようにすると言ったんです。そうやって工夫を凝らして、細かい問題を解決してくれました。
撮影が始まるまで、実際にどうなるか分からず不安はありましたが、楽しみながら臨むことができましたし、すべてうまくいきました。撮影を続けるうちに、中盤くらいで、「これは最後までいけるかもしれない」という確信に変わったんです。映画制作史上初めてのことですから、あの時は興奮しました。その一方で、現場の全員に忍耐力が求められました。通常のフィルムの11分に比べて、IMAX®フィルムは2分半から3分ほどしかもたないので、エモーショナルなシーンの途中でフィルム交換が必要になると、静かに素早く行わなければならないのです。しかも、役者の演技を邪魔しないように。それはチームワークがあったからこそ、成功したとも言えます。フィルム交換は、撮影を中断してしまうし、1シーンを撮るのに25分かかったこともありましたが、史上初という喜びは感じていました。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS哲学やモットーは特にないですね。フィジカルなメディアだから多くの人の協力が必要になります。どの映画でもそうですが、特に「オデュッセイア」のような作品は早朝や深夜に働くこともあるし、疲労を伴うし、私生活が乱れたりする。数々の犠牲のもとに成り立っているんです。緊張したり、苛立ったりすることもありますが、そう感じるたびに、映画に関われていることがいかに幸運なことか、自分に言い聞かせるんです。そうすると自然とスイッチが切り替わり、笑顔になれるんです。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOSでも実際に役者として働きはじめて、映画制作全体が見えるようになったのです。それぞれの仕事がいかに大切で、彼らにいかに助けられているか、また彼らの仕事内容を知れば知るほど互いを支え合うことができると。協力体制のもとに成り立っている芸術であり、役者は一人では何もできないということです。
ストーリーテリングに参加できるのは、すばらしいスタッフと監督の存在があってからこそなんです。結局は監督の作品であり、物語を伝えているのは彼らなんです。若い頃は一部しか見えていなかったけど、今ではもっと広い視野で物事が見えるようになりました。
© 2026 UNIVERSAL STUDIOSこの次に関しては、まったく何も分かりません。まだこの現実を消化している最中なんです。今でもこうして作品について話しているし、もっと多くの人に見てもらえるように努力しています。それももうすぐ終わるので、終わったらしばらく休みを取り、今後について考えたいと思います。
基本的に私は目の前にある作品のことしか考えていないので、このような撮り方ができるのだと思います。次の作品が最後という覚悟でいつも取り組んでいます。そして、それはいつか現実になるはずですから。
登場人物に共感して、あらゆることを感じ取ってほしいです。アメリカでも多くの興味深いコメントを耳にしましたが、日本の皆さんの感想が楽しみです。どう感じるかは人それぞれ。深い人間ドラマですから、皆さんにどう響くかを心待ちにしています。
手に汗握る冒険とアクション、心揺さぶる人間ドラマ…と、普遍的かつ壮大な物語のエッセンスがテンポよく繋がれた本作は、観る者に172分という上映時間の長さを忘れさせるほどの圧巻の映像作品に仕上がっている。ぜひノーラン監督のこだわりが細部まで堪能できる大スクリーンで、「オデュッセイア」の旅を体感してほしい。
「オデュッセイア」は9月4日(金)~10日(木) IMAX先行上映、9月11日(金)全国公開。2D(字幕/吹替)、IMAX®(字幕)、Dolby Cinema®(字幕)、4DX(字幕/吹替)、MX4D® (字幕/吹替)、35mm(字幕)の全6種9バージョンで公開される。
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