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ビジネスでも強い日本アニメの存在感 急成長するアヌシー映画祭国際見本市「MIFA」レポート

2026年8月16日 08:00

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見本市「MIFA」日本ブースにて(映画.com編集部撮影)
見本市「MIFA」日本ブースにて(映画.com編集部撮影)
▼話題を集めた「攻殻機動隊」イベント

2026年6月にフランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭は、世界最大のアニメーション映画祭として今年も大きな盛り上がりを見せた。華やかなコンペティション部門や招待上映の一方で、アヌシーは近年、ビジネス分野でも影響が拡大していることはあまり知られていない。

そしてこのビジネスシーンでも、日本の存在感が増している。「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」新シリーズのワールドプレミアは、今年の映画祭の目玉のひとつだった。これまでハリウッド作品がやってきたプレミアの招待上映の一角を日本アニメが占める。グローバルでの話題作りは、ビジネスの側面が強い。

アヌシーのビジネス部門は、MIFA(Marché international du film d'animation)と呼ばれる国際見本市が中心だ。映画祭より遅れること25年、1985年にスタートした。当初は小規模で、2000年代でもグローバルにはほど遠かった。状況が変わったのは2010年代に入ってからで、映画祭の拡大と合わせて急成長した。展示会場となる仮設テントが毎年、湖に向けてどんどん伸びていくのは壮観でもある。いま世界で最も活気がある映像マーケットと呼ばれる様子が感じられる。

サイン会も大盛況だった「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」新シリーズのワールドプレミア
サイン会も大盛況だった「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」新シリーズのワールドプレミア
▼ビジネス分野に進出する日本アニメ企業

MIFAの成長は、世界的なアニメーション市場にある。日本では長らくカルチャーとして見られていたアニメーションが、近年になって産業として注目されたことが世界でも起きている。エンタテイメント産業が巨大な市場と可能性に目をつけた時に活用する場所としてMIFAが注目された。

また世界から参加者が集まったことも大きい。MIFAにプログラムには、ディズニーやワーナー、Netflix、アマゾンといった企業が並び、多数の企画を実施する。ハリウッドの巨大企業がアヌシーに来るメリットは、やはり人だ。多くのビジネスパートーナーと同時に会え、作品やスタジオの宣伝になる。海外企業の増加が、スパイラル的にさらに人を集めるようになっている。

日本からも映画祭とMIFAを積極的に活用する企業、団体が現れている。今年のMIFAのレセプションは、東映アニメーションがスポンサーだ。「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」のプレミア上映は講談社の働きが大きかった。映画祭では長編映画だけで10本近い新作が上映された。MIFAの制作中の作品を紹介するワーク・イン・プログレスでも、「KILLTUBE」「Monkey Quest」が取り上げられている。

それでも約1万6000人のバッジ登録者人のなかで、日本からは300人弱、2%にも満たない。日本の存在感のひとつは、長編だ。アニメの量産国であることで、作品が多い。今年はテレビ作品コンペに5作品が選ばれた。映画祭にとっても、日本アニメはハリウッド映画と同じくようにグローバルなイベント演出できるメリットがある。

日本にとっては、作品の宣伝の活用が一番大きい。大衆的よりは個性を際立てた作品は、米国のアニメエキスポやフランスでもジャパンエキスポと相性がいい。映画祭で上映され、アワードを目指すことが世界に向けたマーケティングとなる。商業大作の枠に収まらない作品がアヌシーを目指す。

日本アニメを扱う外資系企業の役割も大きい。Netflixが主催した「Netflix ANIME」で「THE RIBBON HERO リボンヒーロー」をメインタイトルとして、五十嵐祐貴監督を招きトークした。アニメ配信のクランチロールもビジネストークの場を設けていた。

「MIFA」東京都ブース
「MIFA」東京都ブース
▼日本からの未発表企画の人気と課題

日本関連で今年、盛り上がったのはピッチ企画である。ピッチでは、企画・制作中の作品のプロジェクトを紹介する。コンセプトアートのみから、ポストプロダクション中の作品まで段階は様々だが、要はビジネスパートーナーの募集である。完成品の販売でなく、企画段階からビジネス関係を築くもので、近年、アヌシーでも急増中だ。

日本からは今年で11年目を迎えた東京都の「The Tokyo Pitch」、映像産業振興機構の「Japan Animates the Future」、文化庁の支援事業「グローバル・アニメ・チャレンジ」「New Way, New World」、さらにユニジャパンの「Finding a Shared Vision: Co-Production with Japan」、日本アニメーション「50 Years of Storytelling and Beyond」でも新作企画が用意されていた。

ピッチするスタジオやクリエイターは、期間中のスケジュールはかなりぎっしり埋まっていたようだ。アニメ大国である日本は、強いアドバンテージがある。実際日本と一緒にビジネスをしたいと話す海外の関係者にはよく出会う。

一方で、課題も大きい。ひとつはファイナンスだ。ヨーロッパ企業が求める共同製作は助成金を前提にした企画が中心で、助成金の少ない日本とは上手くすり合わない。米国の大手企業は権利買い切りビジネスを志向する。著作権を手元に残したい日本側と対立する。

もうひとつは製作体制である。制作フローや現場の技術の違いから、協業の範囲の振り分けが大変だ。またかつてよりヤングアダルト志向の作品のニーズは増えているが、強い原作があることが求められるケースが増えているのは日本と同じだ。

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▼実写映画祭と戦いだしたアヌシー

映画祭、MIFAの両方で勢いを増すアヌシーだが、実際は全てが順調というわけでない。綻びも見え始めている。

アニメーションがメジャーになってきたことで、実写映画祭がこの分野に進出している。アヌシーでコンペに入った日本作品「我々は宇宙人」はカンヌ映画祭の監督週間がワールドプレミア、「花緑青が明ける日に」はベルリン国際映画祭のオフィシャルコンペ作品である。 目玉作品の取り合いが始まっている。

マーケットでも同じフランスで1カ月前のカンヌ国際映画祭のマルシェ・ドゥ・フィルムでアニメーション企画が設けられている。ベルリン国際映画祭のマーケットでもアニメーション企画が始まっている。アヌシーはプログラム協力としてかかわるが、諸刃の剣だ。いい作品、いい企画をそちらに取られて、残ったものアヌシーとして、セカンドラインに落とされる危険もある。さらに映画祭の作品、企画、ビジネス機能を高めることで実写映画祭に対抗する必要がある。

しかし問題は規模の拡大に地元のインフラが追い付かなくなっている点だ。ホテルやインフラの不足、あまりにもタイトで濃密なスケジュールに批判も起こり始めている。映画祭とMIFAの分離開催の要求する声もでている。しかし、文化とビジネスの両面をカバーすることで求心力が働き、アヌシーの最大の強みにもなっている。アヌシーの悩みは深い。(数土直志)

世界各国のアニメーション関係者が一堂に会した
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