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相続した屋敷が養老院に…入居者が浴槽で溺死、「まだ死んでいない」と耳元で囁く老人 タランティーノが評価する80年代ホラー「悪夢の系譜」予告

2026年2月13日 17:30

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オーストラリア映画で特異な輝きを放つ一本
オーストラリア映画で特異な輝きを放つ一本
© 1982 Film House/SIS Productions

「悪夢の系譜/日記に閉ざされた連続殺人の謎」としてビデオリリースされた1982年製作のオーストラリア、ニュージーランド合作ホラー「Next of Kin」が4Kデジタル修復され、4月17日から「悪夢の系譜」の邦題で公開される。日本での初の劇場公開に合わせ、日本オリジナルのポスタービジュアルと予告編が披露された。

70年代後半から80年代にかけて、オーストラリア映画界では低予算ながら大胆な表現とジャンル横断的な姿勢を特徴とする作品群が次々と生まれ、暴力、エロティシズム、アクション、ホラーといった刺激的な要素を武器に国際市場へ打って出た。「パトリック」 (78)や「ロング・ウィークエンド」(78)といった今なおカルト的な人気を誇る作品から、果ては「マッドマックス」(79)のような傑作まで、数々の個性的な名作が生まれたが、その潮流の中でも特異な輝きを放つ一本として語り継がれてきたのが本作だ。

リンダ(ジャッキー・ケリン)は、疎遠だった母の死をきっかけに、一族が代々所有してきた田舎の屋敷〈モンクレア〉を相続する。現在は高齢者向けの養老院として使われているその建物に到着した矢先、入居者のひとりが浴槽で溺死しているのが発見され、屋敷は不穏な空気に包まれる。残されていた母の日記を読み始めたリンダは、母がこの家に潜む“何か”の存在を疑っていたことを知る。次々と積み重なる謎、屋敷にうごめく説明のつかない気配、そして誰も信じてくれない孤独。リンダはモンクレアに隠された一族の秘密と、屋敷で続いてきた不可解な死の真相に、否応なく向き合うことになる。

ポスタービジュアル
ポスタービジュアル
© 1982 Film House/SIS Productions

予告編では、主人公のリンダが、高齢者向けの養老院として使われている屋敷を訪れ母の日記を見つける場面が切り取られている。日記には、「屋敷から奇妙な音が聞こえて夜も眠れない」という記述があり、この屋敷では勝手に電気が消える、急に水が流れ出すといった奇々怪々な現象が起こっている事を知る。そして風呂場のシャワーの水が溢れている場面に遭遇しシャワーカーテンを開くと…、水面に沈む老人の水死体を発見する。「この屋敷には邪悪な“何か”がある」という母の日記を読みながら、何らかの不気味な存在の気配をリンダが感じていることが伺い知れる。屋敷に住む老人が耳元で「まだ死んでいない」という奇妙なメッセージを残すと、リンダの悲鳴が轟く場面と共に、身の毛がよだつシーンが連続する。母からいったい何を継承してしまったのか、顛末が気になる映像だ。

監督のトニー・ウィリアムズは、同時代の作品がセンセーショナルな表現を競い合う中で、観客の心理にじわじわと侵入する静かな恐怖を追求した。本作を最後に長編劇映画から離れたが、その一作が放つ“孤高の恐怖”は後年になって世界の映画作家や批評家から高く評価され、クエンティン・タランティーノが「『シャイニング』に最も近い映画」とその愛を語ったことで更なる再評価の機運が高まった。

音楽を担当したのは、電子音楽のパイオニアとして数々の先駆的な作品を発表し、「アングスト 不安」(83)のサウンドトラックを手掛けたことでも知られるドイツ出身の音楽家、クラウス・シュルツェ。そのスコアは映像の静けさと呼応しながら、不可視の恐怖を増幅させる“もうひとつの主役”として本作をカルト的名作へと大きく押し上げている。

静謐な映像美と縦横無尽なカメラワーク、そして終盤に向けて一気に加速する狂気の展開――。「悪夢の系譜」は、長らく“知る人ぞ知る”存在でありながら、後年になって世界中の映画作家や批評家から熱狂的な支持を集めるようになった異色作である。80年代ホラーの文脈にありながら、ジャンルの枠を超えて映画体験そのものを研ぎ澄ませた、今なお新鮮な驚きをもたらす唯一無二のサスペンスホラーだ。

4月17日よりシネマート新宿、池袋HUMAXシネマズほか全国で公開。

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