「火の華」延期を経てついに公開 主演の山本一賢&小島央大監督が「本当に幸せ」
2025年11月1日 20:00

映画「火の華」の公開記念舞台挨拶が11月1日に東京・渋谷ユーロスペースで行われ、山本一賢、柳ゆり菜、松角洋平、伊武雅刀、田中一平、原 雄次郎、新岡潤、ゆかわたかし、今村謙斗、山崎潤、遠藤祐美、YUTA KOGA、小島央大監督が出席した。
実際に報道された自衛隊日報問題から着想を得た本作は、元自衛官の壮絶な体験とその後の宿命を克明に描いた完全オリジナルストーリー。2024年11月に出演者兼プロデューサーの起訴を受けて同年12月に公開延期となった本作。公開延期の原因となった刑事事件が25年4月に終結したことを受け、このほど劇場公開までこぎつけた。

上映後の会場から、熱いスタンディングオベーションで迎えられた登壇者たち。企画・脚本・編集・音楽までを手がけた小島監督は「ようやく、この日を迎えられました。幸せです」と感無量の面持ちを見せ、「作る前、作っている間は、いろいろなことを考えました。なんで花火は美しいんだろう、同時になんで映画が好きなんだろうとずっと考えて。多くのスタッフとキャスト、そして皆さんとこのスクリーンで観るという一体感が本当に幸せで仕方ありません。ありがとうございます」と原点を確かめるように会場を見渡した。主演を務め、共同企画・脚本にも名を連ねる山本は「今日は本当にありがとうございます」と観客にお礼を述べ、「何とも言えないですね。ユーロスペースの支配人、北条(誠人)さんに、本当に感謝しています」と力を込めた。

山本演じる主人公・島田に花火の哲学を手引きする親方の与一を演じた伊武は「この日を本当に待っていました」と切り出し、「初号を観たのは1年以上前。ぜひご覧になっていただきたい映画だなと思って、今日こうして皆さんに観ていただけて幸せです」と喜びをにじませるなど、それぞれが公開を迎えられることは当たり前ではなく、本当に大変なことなのだと噛み締めながら、観客に映画を届けられた喜びをあふれさせた。また花火師・安田役のKOGAが「公開までのたくさんの思いが詰まり、打ち上げることができて感極まっています。実はここに登壇するはずだった、花火師の同僚を演じた高橋克明さんが昨年、亡くなってしまいました」と明かし、「高橋さんにも打ち上げた花火が届くように、応援のほどよろしくお願いします。お祝い事ごとも弔いごとも打ち上げていきましょう」と呼びかけて会場から拍手が上がる場面もあった。
ここまでの道のりを振り返った小島監督は、花火がもともと好きで、「JOINT」でもタッグを組んだ山本と花火を題材に再びものづくりをしたかったと目尻を下げつつ、「火薬の歴史から辿っていった」と回想。「歴史の中で、火薬の利用の仕方が変わっていった。戦争から始まって、江戸時代では、侍たちが暇だから大砲を打ち上げようとして。そこから、打ち上げ花火が始まった。平和だからこそ、始まったもの。そしてまた戦争が始まって、なぜ平和を望んでいるのに繰り返されるんだろうと考えた。今、戦争があったとしたら戦争に行く人間は自衛官というところで、自衛官が花火師になるというところに辿り着いた」と平和への哲学を込めたという。

そして撮影現場の雰囲気について、小島監督が「緊張感がありつつ、すごく楽しくて。みんなが魂を注いで撮っているうちに、映画への期待値や熱がどんどんこもっていった」と充実感を口にすると、山本は「ちゃらちゃらした人間は一人もいなかった。それがこの映画の力強さにつながっている」とコメント。伊武は「ちゃらちゃらしたところを見せないように、努力しました」とお茶目に語り、観客の爆笑を誘った。続けて「これまでたくさんの作品に出ているけれど、これはなかなかいいんじゃないって思った。自分が演じていて初めてじゃないかというくらい、ステキな仕上がりになっている。うれしいですよ、この映画に出られて」と自信をのぞかせつつ、「人と話すときは、『火の華、観た?』という問いかけを。そして『ええ!? 観ていないんだ』という反応で、日常を過ごしていただければ」とアピールして会場を大いに盛り上げていた。
最後に山本は「本当にうれしいです。そして幸せです。これからも一生懸命に頑張っていきますので、みんなのことをよろしくお願いします」と改めて観客に感謝を伝え、小島監督は、笑ったり、楽しんだりと、人間が日々できるすばらしいことを「花火が象徴していると思っている」と述べながら、「刹那の時間ですが、温かく見守っていただけたら」と願った。登壇者たちの熱い思いに場内は再び拍手喝さいだった。
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