熊切和嘉ら大阪芸術大学の卒業生・現教員が監督「メイソウ家族」8月29日公開
2025年5月16日 11:00
芸術・芸能をはじめとした多彩な分野で活躍する人材を輩出してきた西日本最大級の総合芸術大学である同大学の映像学科では、学生たちが映像業界のプロとタッグを組んでドラマや映画を作る「産学協同プロジェクト」を実施しており、「メイソウ家族」はその11作品目のプロジェクトだ。
大学に所蔵されていた学生作の秀逸な3本のシナリオ在学生たちがアレンジし、「YUI」「MONOS」「UMI」の3つのストーリーをオムニバス作品として映画化。大阪芸術大学の卒業生・現教員であり、「658km、陽子の旅」(23)などで知られる熊切和嘉が、第1話「YUI」、第3話「UMI」を監督。そして第2話「MONOS」を、数多くの現場で助監督を担うなどして経験を積み、商業映画「青いうた のど自慢 青春編」(06)では確かな演出力で濱田岳ら当時の若手俳優たちの成長を後押しした金田敬が務める。製作統括を務めるのは、大阪芸術大学映像学科の学科長であり、「海難1890」にて第39回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した田中光敏。
撮影に参加した学生たちは演出・撮影・照明・美術などのセクションに分かれ、各分野の第一線で活躍する教員の指導のもとで映画づくりの現場を体感。さらに映像学科だけではなく放送学科、舞台芸術学科などの学生も参加し、プロの俳優陣とともに映画を作り上げた。
学生とプロが共に作り上げた本作は、交わるはずのなかった3つの物語が、1つの世界として緻密かつ大胆に構成され、ひとつの映画作品として結実した。特報映像では、謎の男が「あなたの生活が劇的に良くなりますよ」という一言から始まり、日に日に崩壊していく家族の様子が映し出される。この家族が迎える、想像を超える結末が気になる映像となっている。8月29日からヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル梅田ほか全国順次公開。
学生時代、大阪芸大周辺で毎日のように自主映画を撮っていました。あぜ道と町工場の続く灰色の風景でしたが、映画を志す我々にとってそこは夢の工場、言わば撮影所みたいなものでした。そんなあの地で30年ぶりに映画が撮れることに感慨を覚え、学生時代に撮り残した「想い」みたいなものをやっと撮りきれたような気がしています。自分にとって原点に立ち返ることができた作品ですし、何より現役の学生たちが映画を発見していく瞬間に立ち会えたことをとても光栄に思います。ぜひ劇場でご覧ください。
極寒の夜に雨降らしとMONOSの操演。そんな撮影時の三重苦の中、びしょ濡れになった学生たちの背中から濛々と湯気が上がっている。作品に対する自分の熱量を見られた気がしたのか、恥ずかしそうにお互いを笑い合いハニかんでいた。「一生懸命は当たり前!努力なんてしてませんよとさり気なく観客に届いてこそ価値があるんや」そう学生たちを叱咤激励している天邪鬼な監督の背中からも湯気が……。恥ずかしいやら誇らしいやらの撮影期間だった。
メイソウ家族三部作は、学生が書いた脚本を基に、学生と先生が一丸となって作り上げた、エンターテイメント作品です。現場での学生たち、そして先生達やプロの俳優陣が、まさしく一つの作品を一緒に作る映画のプロの目になっていた事が、とても印象的でした。笑えて、ドキドキして、泣ける作品です。是非ご覧下さい。
1話「YUI」
ごくありふれた日常を送っているように見える、吉田家。しかし母親の梨恵が作った朝食に手をつけるのは、息子の優輝だけ。娘の由依は梨恵の何気ない一言に腹を立てて食卓から離れ、父親の雅史にいたっては朝食に見向きもせず会社へ向かう。そんなある日、優等生だったはずの優輝がペンキまみれで学校から帰宅し、そのまま部屋に引きこもるように。やがて、なんとか家族関係を良くしようとしていた梨恵も思わぬ方向へ壊れていく。
人類の火星移住計画のニュースを聞き、大喜びで運転する山田恵一。一方、助手席の吉田由依は「うちの話も聞いてや」と妊娠を告げようとするが話を聞こうとせず恵一の態度に不満いっぱい。「家に帰ったら聞いたるわ」と言う恵一に、由依が約束のキスをせがんだそのとき、“なにか”を轢いて死なせてしまう。そこに横たわっていたのは、見たことがない姿をした生物。恵一はそれが数億円の価値を持つUMA(未確認生物)だと確信し、「MONOS」と名付けて自宅へ持ち帰る。妊娠の話を聞いてくれない恵一に怒った由依はアパートを飛び出し、彼を追った恵一は事故で死亡する。後に由依は女の赤ん坊を出産し...。
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(C)大阪芸術大学
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