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新潟国際アニメーション映画祭 昨年の手ごたえ、今年の見どころをディレクター、プロデューサー陣に聞く

2024年3月6日 19:00

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フェスティバル・ディレクター井上伸一郎氏(中央)、ジェネラル・プロデューサー真木太郎氏(左)、プログラム・ディレクター数土直志氏(右)
フェスティバル・ディレクター井上伸一郎氏(中央)、ジェネラル・プロデューサー真木太郎氏(左)、プログラム・ディレクター数土直志氏(右)

3月15日から、長編商業アニメーションに特化した映画祭「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が新潟市内で開催される。長編アニメ映画のコンペティション部門を持つアジア最大の祭典として、そして国内外のアニメファンや製作者の交流の場となるよう、新潟から世界へアニメーション文化を発信することが狙いだ。

押井守監督が審査員長を務めた昨年の第1回は、りんたろう監督、大友克洋監督、片渕須直監督ら豪華ゲストが新潟を訪れ、自作の紹介とともにトークイベントなどで観客に直接声を届け、大きな注目を集めた。

今年のコンペティション部門への応募数は昨年の倍以上となる29の国と地域、49作品から集まり12本がノミネート。今年は、長編コンペティション審査員長に世界的アニメーションスタジオ・カートゥーン・サルーンのノラ・トゥーミー氏を迎え、高畑勲監督の長編全作品上映、湯浅政明監督の短編特集上映、「機動戦士ガンダム」シリーズの富野由悠季監督の来場、片渕須直監督が制作中の最新作「つるばみ色のなぎ子たち」の一端を語るトークイベントなどが発表されている。

オープニング作の「クラメルカガリ」
オープニング作の「クラメルカガリ」
(C)塚原重義/クラガリ映畫協會

昨年に引き続き、フェスティバル・ディレクターのKADOKAWA上級顧問の井上伸一郎氏、企画制作、ジェネラル・プロデューサーで、「この世界の片隅に」「機動警察パトレイバー」などを手掛けたジェンコの真木太郎氏、そして、プログラム・ディレクターを務めるジャーナリストの数土直志氏に話を聞いた。

▼第1回開催の手応えは?
――本映画祭開催決定時には、カンヌと東京と新潟を結んで同時会見を行うなど、日本発の国際アニメーション映画祭としてのグローバルな展開を強調されていました。昨年の第1回開催の手応え、振り返りをおうかがいします。
井上:昨年は第1回だけに手探りでしたが、ご来場いただいた方々には大変評価していただけました。初めての試みですから、裏の方は常にバタバタしておりました。いつも何か大変なことが起こる感じはありましたが、特に現場、事務局運営スタッフの皆さんがいろいろと気を回して動いてくださいました。アクシデントが起きてもそのリカバリーがとても早かった。ですから、お客様には好評だったと認識しています。その結果は、今年のコンペティション作品のエントリー数の増加にも反映されていると思います。
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真木:お手本になるアヌシー国際アニメーション映画祭や東京国際映画祭もあるので、映画祭そのものは別に新しいことではないけれど、来てくださった方の感想や僕らの感覚でも、1回目にしては相当うまくいったという実感があります。ただ、昨年は告知や宣伝が足りない部分もあって、地元の商店街では、一体ここで何をやっているのか?と思われることもあったので、2回目は新潟市でのお祭りだということを強調して盛り上げたいですね。
井上:そういう意味では、昨年もコスプレイヤーの参加など、様々なアイディアを出したけれど、諸事情で実現しなかったんです。ただ、今回は、同時期に「がたふぇす」(2012年から続く「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」)が開催されるので、新潟市全体でアニメの祭典をやっているという雰囲気が一層出るのではないかと期待しています。
▼新潟に訪れる人との交流が大きなテーマ
――昨年の振り返りから、新潟で開催されて良かったことを教えて下さい。
井上:お酒が美味しかったですね。
(一同笑って頷く)

冗談ではなくて、この映画祭は新潟を訪れる人との交流が大きなテーマだと思うんです。そういった意味では、我々が想定していた以上に、上映作とは関連のないアニメ会社の方々まで来てくださいました。新潟で会ってお話しして、ご飯を一緒に食べる。そういうコミュニケーションができたのが大きいです。東京ではイベントで集まっても終了後は皆さん家に帰るので、ゆっくり飲んで話したり、ご飯を食べに行くってなかなかできないんですよ。

真木:新潟のような地方都市で開催するから、皆さん泊まりで来るし、同じホテルになったり、飲み屋に行くと誰かに会うとか……東京だとそれはありえない話です。地方都市という小さい商圏の中ならではの映画祭の楽しさがありました。
井上:今回来ていただく方々にもそういうところを楽しみにしてもらいたいと思います。去年のグランプリ発表の前日の晩に、海外から招いた監督やプロデューサーらを集めた懇親会を開いたところ、みなさんすごく楽しそうでした。世界の様々な場所で活動されていて、普段は出会わない人たちが交流できる、そういう場が作れてよかったと思っています。今年こそ新潟に来たいと言う方も結構いらっしゃいますから。
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真木:そういうところから何かが生まれますよね。新しい人間関係や企画も。映画祭として、人が交わる場を提供することは、大きな意味があることです。だから、その場を利用してほしいというか、そこである種の化学反応を起こしてほしいという気持ちがあります。それはクリエイター同士でも、ファン同士でも可能だと思います。「Anime Japan」がビジネス寄りであればこちらはクリエイター寄り。クリエイター同士のつながりが深まってほしいですね。
▼日本で国際アニメーション映画祭を開催することの重要性と独自性
――昨年第1回を取材し、コンペティションノミネート作品監督ら海外のゲストが口を揃えて「日本のアニメを見て育ってきた」と話していたのが印象的でした。国際的なアニメーション映画祭を日本で開催することはやはり重要だと感じました。
真木:改めてそう感じましたね。みなさん審査員長を務めた押井守さんへのリスペクトもあり、コンペに出品した監督たちは「押井さんに見て審査してほしかった」と言っていました。そういう言葉をリアルで聞くと、日本のアニメーションの強み、層の厚さを感じます。
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数土:今回、審査員長をお願いしたノラ・トゥーミー監督はお子さんがいらっしゃって、日本のアニメの大ファンだそうで。あの大監督のお子さんも日本のアニメが好きなんだ、と知るとうれしくなりますね。
――作品上映だけでなく、ワークショップやフォーラムなど、作り手から学ぶイベントも行われますね。
真木:例えば去年の押井さん、今年もいらっしゃる片渕さんのような方々の生の話を聞けるチャンスなんてそうそうないですからね。海外の方も業界を目指している若い人にとっても、それはものすごい刺激となって、深い思い出になると思います。
井上:大学の講義や講演だと距離が遠いですが、新潟はゲストとの距離が近いのもいいんですよね。
数土:去年は大友克洋さんがご自身でフライヤーを配ってらして。都心でやったら大騒ぎになると思うんですよ。あれは新潟だったからできたことだと思います。
片渕須直監督が制作中の最新作「つるばみ色のなぎ子たち」の一端を語るトークイベントも
片渕須直監督が制作中の最新作「つるばみ色のなぎ子たち」の一端を語るトークイベントも
(C) つるばみ色のなぎ子たち製作委員会/クロブルエ
▼今年のラインナップについて 世界のアニメーションに触れられる貴重な場
――今年も豪華なラインナップです。井上さん、真木さんは日本のアニメーション業界を代表するプロデューサーとしてもご活躍ですが、昨年の映画祭を通して、海外の作品から刺激を受けたり、新しい発見もあったのでしょうか?
井上:すべての作品は見られませんでしたが、とても刺激になりました。コンペティションだけではなく、世界の潮流部門もいくつか拝見しました。日本の影響もありつつ、日本とは全く異なる価値観で作られている作品が多いですね。アイルランドの神話を描いた「ウルフウォーカー」のように、日本の作品と同じくストーリー重視で画が綺麗なタイプの作品もありましたし、ブラジルの「父を探して」はとても社会批評的な観点で作られていて、メッセージ性が強かった。日本ではテーマをオブラートで包んで見せる表現が多いですが、世界には様々な見せ方があると印象に残りましたね。
審査員長のノラ・トゥーミー監督、審査員の齋藤優一郎氏、マイケル・フクシマ監督
審査員長のノラ・トゥーミー監督、審査員の齋藤優一郎氏、マイケル・フクシマ監督
真木:世界のアニメーションを見られる機会が貴重なんです。アニメーションってものすごく多様性があって、こんなテーマで、こんなストーリーで作るのか……と発見があったのが驚きでした。日本のアニメはすごく限られた中で進化していて、どちらかというと縦に伸びているイメージ。でも、多様性の表現として横にも広がってほしい。この映画祭で刺激を受けた日本のクリエイターに、これまでとは違うものを作ってほしいんです。いずれにせよ、クリエイターは進化して、変わっていかなきゃいけない。この映画祭はそんなきっかけになると思うんです。作品を見たら、みんなびっくりすると思います。
井上:そういう意味では、昨年グランプリを獲った「めくらやなぎと眠る女」は、海外のクリエイターが日本の村上春樹原作を撮っていることが逆にショックというか。ちょっと俺たち怠けてたんじゃないか?みたいな気持ちになりましたね。ああいう視点があるって気づけたことが新鮮でした。
数土:日本人から見るとちょっと違う日本じゃないですか。そこが面白いなと思いました。でも、その方がむしろ村上春樹ワールドっぽく見えるんですよね。
井上:海外の人が見たい東京や日本の風景のフィルターを通したというか、我々が知っているのとは違う日本が垣間見えましたね。
「めくらやなぎと眠る女」
「めくらやなぎと眠る女」
C)2022 Cinema Defacto – Miyu Prodcutions – Doghouse Films – 9402-9238 Quebec inc. (micro_scope – Prodcutions l’unite centrale) – An Origianl Pictures – Studio Ma – Arte France Cinema – Auvergne-Rhone-Alpes Cinema
真木:谷口ジローさんのマンガが原作の「神々の山嶺」も、フランス人が監督していますが、東京でロケハンは一切していないんですよね。日本のアニメ好きが作っているけれど、どこか視点が日本人とまた違う。その違いは良い悪いじゃない。
井上:こういう視点があって、こんな風に見えているんだな……というのが一つ一つ勉強になるというか、面白いところ。日本のアニメ制作者も刺激になると思います。
真木:日本で行う映画祭だから当然日本のアニメが多く上映されて、影響を受けた海外クリエイターが来て、作品にどこか日本からのルーツがあるというのはもちろんいいのですが、今はもうそうではなく、世界中にアニメがあふれていて、いろんな国の人がいろんなメッセージを発信して、そして受け取っている。で、そういうことを日本のアニメ業界も知る大きなチャンスの一つだと思います。
――今回の海外作品のラインナップの特徴や見どころを教えてください。
数土:今回タイの作品がコンペに1本、世界の潮流部門に台湾の作品が入っています。両方とも監督が来日してトークを行います。日本やアメリカ、ヨーロッパだけでなく、タイや台湾というアジアの地域でもこういった豊かな長編が生まれていることを知ってほしいですね。日本でやる映画祭だからこそ、今後アジアの作品を積極的に紹介していきたい気持ちもあります。
真木:食わず嫌いなことかもしれませんが、日本はほぼ国内のニュースばかりやっていて、日本人は海外のことをあまり知らないじゃないですか。だから、例えばタイのアニメを見て、今のタイの社会状況やアニメの製作技術も上がっていることを知る、そんな新しい発見があると思うんですよね。
「マントラ・ウォーリアー ~8つの月の伝説~」
「マントラ・ウォーリアー ~8つの月の伝説~」
監督:ヴィーラパトラ・ジナナビン(タイ)
井上:ヨーロッパやアジア、中南米から来た作品もあるし、世界のいろんな地域から集まっているのがすごいですよね。
数土:全12本のうち日本から2作出ているので、国の数は11カ国です。その地域が見事に散らばって、結果的に良いセレクションになりました。10本はジャパンプレミアなので、本当に貴重な上映機会になります。
真木:短編アニメーションはどちらかというとアート系ですが、長編になるとストーリー性、そしてエンターテインメント性が必要となってきて、その考え方も各国違うんですよね。あと、日本では絶対アニメにしないよねっていう題材を扱う作品には、びっくりします。このテーマは実写でやるよりアニメでやったほうがいいよねと、気がつくこともある。
井上:村上春樹のかえるくんを、実写にしたら怖いですからね(笑)。
世界の潮流部門、台湾の作品「PIGSY」
世界の潮流部門、台湾の作品「PIGSY」
▼日本の伝説的アニメーション作品群を再発見
――国内のアニメ界からも、日本アニメの歴史を作った豪華ゲストが来場します。年始に公開された「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」がガンダム映画史上最大興収というヒットを記録していますが、シリーズ生みの親である富野由悠季さんも来場し、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」が上映されます。
井上:「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」のヒットには歴史があって。当時小さかったファンが20年経って大人になって、今回の劇場版を待ってました!という喜びを聞いています。そういうファンの成長もうれしいですし、当時すでに大人だった人も家族で見ている。そういう意味で見やすい環境になっていると思います。

また、これはあまり知られていない話ですが、「逆襲のシャア」の頃、実はあの作品で「ガンダム」は終わりと言われていたんです。当時「SDガンダム」というデフォルメされたキャラクターが人気で、そちらにシフトしていくような流れがあって。でも、「逆襲のシャア」の評価が高かったので、その後も「ガンダム」は続きました。そんな起死回生の作品だということを知ると、感慨深くご覧になっていただけるのではないでしょうか。

富野由悠季監督が来場し「逆襲のシャア」を語る
富野由悠季監督が来場し「逆襲のシャア」を語る
(C)創通・サンライズ
数土:僕はずっと富野監督の代表作といえば「逆襲のシャア」だと思っていました。富野さんの気合が相当入っていましたね。
井上:そうですね。「逆襲のシャア」の前に「Ζガンダム」というテレビシリーズがありました。その企画開発テーマが「逆襲のシャア」なんです。当初富野さんは「Ζガンダム」でシャアの話をやりたかったはずなんですが、諸々あってストーリーからシャア(・アズナブル)がいなくなっちゃうんです。そういう経緯もあって、満を持して作ったストーリーが「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」です。テレビシリーズでやりきれなかったことを全部ぶち込んでいるので、やっぱり面白いんです。
――高畑勲監督の全作品上映にも注目が集まっていますね。
井上:おかげさまですべて揃えることができました。
数土:新しい作品、海外の作品を紹介する一方で、過去のいい作品を掘り起こして、もう一度評価の俎上に載せるのも映画祭の役割だと思っています。
真木:劇場公開当時と年数が経って価値が変わってくることはよくあることです。「ガンダム」もそうだと思うんだけど、映画祭で上映することは、普通のリバイバルと違うと思うんです。
「太陽の王子 ホルスの大冒険」
「太陽の王子 ホルスの大冒険」
(C)東映
井上:なかなか見られない作品もあるので、いっぺんに見ていただける貴重な機会だと思います。高畑さんの作風の変遷を追えるのが楽しいと思いますね。私は改めて「太陽の王子 ホルスの大冒険」がすごかったと感じました。子供の頃テレビ放映時に初めて見て、一体これはなんだ……と驚いたんです。オリジナルの劇場アニメですし、それまで見てきたアニメ映画と全く違う感じがしたんですよね。
数土:東映動画で50年代から長編を作られてますけど、それは昔話の語りや紙芝居的なところもありました。そこに「ホルス」という重厚なストーリーテリングが放り込まれた。
井上:原作や昔話的なものとか、元ネタがある劇場アニメしかない時期に、いきなりこんなオリジナルを作れてしまう。そこが高畑さんのすごいところなんですよね。
――今回、どういった理由で高畑勲さんを特集することになったのですか?
数土:前回は大友克洋さんでした。大友さんは日本のいわゆるサイバーパンク、エッヂの効いた作品の源流にある作家です。海外で評価をされる日本のアニメの原点ですが、そのもうひとつがスタジオジブリです。例えば「アルプスの少女ハイジ」のように、テレビ放映され、ファミリーで誰でも見られる、という評価軸で評価されているラインの源流は誰なのか? そう考えると、「太陽の王子 ホルスの大冒険」があり、スタジオジブリにつながっていく。その起点にいたのが高畑さんです。片渕監督をはじめ、多くのアニメーション監督が高畑さんからの影響を受けています。
劇場版「赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」
劇場版「赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」
(C) NIPPON ANIMATION CO., LTD.“Anne of Green Gables” ™AGGLA
井上:富野さんも「ガンダム」を作られる前に、「赤毛のアン」など高畑さんの作品の各話演出で参加して、多くを学ばれたと思うんです。「無敵超人ザンボット3」以降の、最終的に「ガンダム」に行く作風にフィードバックされていると思います。それまでのロボットアニメは、ほぼ主人公にクローズアップされてきました。それ以降の群像劇になっているところなどは高畑さんの影響だろうと。それぞれのキャラクターを丁寧に描いていく、なんかそういう意味でも起点の方ですよね。
――オールナイト上映では時代劇を取り上げますね。
数土:僕が「ストレンヂア 無皇刃譚」が大好きで、ラインナップに「ストレンヂア」を入れたいと考えたときに、その切り口を時代劇としました。(アニメ制作会社の)ボンズが作っている唯一のオリジナル原作の長編映画なんです。「機巧奇傳ヒヲウ戦記」もボンズですね。「少年猿飛佐助」と「劇場版 戦国奇譚妖刀伝」については、今回トークをお願いした會川昇さんがいくつか候補を出してくださいました。50年代の東映動画の長編作品、そしてOVAの全盛期の代表作、テレビアニメの時代として2000年の「ヒヲウ戦記」が、最後に2000年代の半ば以降「ストレンヂア」と時代も追えるラインナップです。虚淵玄さんは新たに時代劇アニメ「REVENGER」を手がけられたそうなので、會川さんと虚淵さんのトークも楽しみです。
オールナイト企画のテーマは時代劇
オールナイト企画のテーマは時代劇
(C)東映、(C)フライングドッグ、(C)BONES・會川昇 (C)ヒヲウ製作委員会(C)BONES/ストレンヂア製作委員会2007
――ラインナップが豊かで、どれを見てよいか迷ってしまいそうです。
数土:去年はプログラムが重なって、見られなかった作品があったという批判はありました。今回も会場が少し広がり、同様の可能性があります。でも、僕がアヌシーやアニメ関連の国際的なイベントに行っていつも思うのは、全部は見られないな、どれを見よう、と。そうした悩みも含めてでもそれが多分こういう大きなイベントに参加することなんだろうな、と思っていただけるとありがたいですね。
井上:限られた時間の中で何を自分が選択するか……それも映画祭の楽しみの一つになると思います。
▼映画祭の今後の展望は?
――今後の展望や施策として、どのようなアイディアがありますか?
数土:まず一番は、続けることだと思うんです。毎年このシーズンになると、新潟で映画祭があって、そこのため世界、日本各地からアニメを愛する人が集まる、そう認識してもらえるようになりたいですね。あとは、開催地の新潟の方々に見てもらいたい作品もきちんと用意する。
井上:そして、来ていただいた方に「新潟楽しかったよ」って広めてほしいですね。有名な海外のアニメイベント、例えばパリの「Japan Expo」も最初は小規模でした。20年ぐらい前にオーストラリアに行った時は、ここではアニメは流行らないと言われたんです。オーストラリア人には絶対無理、なんて。でも今は「SMASH!」などのイベントが大賑わいで。こんな風に各地でアニメファン、アニメイベントのファンは増えているので、新潟も国際的にだんだん大きくなっていくといいなと思っています。
国際的にも高い評価を受ける湯浅政明監督が来場、短編特集や「犬王」の応援上映も
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(C)2021 “INU-OH” Film Partners
――ここ数年、訪日観光客が増えています。海外向けに宣伝もしていますか?
数土:一般の観光客向けではありませんが、アニメの専門誌やアニメのファンの為のウェブサイトなどに情報は載っています。去年は、アメリカで日本の映画祭を主催する人に、新潟を紹介してほしいと言われたこともあったので、注目されているのだなと思いました。
真木:理想だと、インバウンドの観光客のツアーの一つに入ったら面白そうですよね。新潟で日本酒を飲むというのと同時に、日本のアニメ映画祭を体験する。というように。どちらも文化に触れるということですから。
井上:今後はわかりませんが、今年も大きな東京のイベント「Anime Japan」と近い日程となっているので、来日される海外の方が新潟にも足を延ばせると、楽しいんじゃないかなと思いますよね。
数土:世界最大のアニメーション映画祭、アヌシーが一つのモデルになっていますが、むしろ日本でやることで、その独自性をどうやって出すかが重要だと考えています。アニメーションの文脈ももちろんですが、コスプレなど日本独特のわちゃわちゃしたものも一緒に出していこう、あるいはアジアの作品をもっと取り入れていこうなど、そういう差別化をしっかりできたらいいなっていう思いがあります。
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(C)新見伏製鐵保存会 (C)2023 Studio Ghibli (C)2022「かがみの孤城」製作委員会 (C)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会
――最後に、この映画祭に興味を持っているアニメファンに向けてメッセージをお願いします。
数土:今年も相当幅の広い作品を取り揃えているので、まずはアニメの豊かさを感じてほしい、それが僕の願いですね。
井上:普段見られない世界の長編アニメーションが見られる映画祭は日本では今のところここだけだと思います。ぜひ新しい発見をしていただきたい。あと個人的に、高畑勲特集は頑張って全作集めましたので、新潟でその魅力を再発見していただければなと思っています。
真木:この映画を見たいということだけでなく、特に目的を持たないで来てほしいです。映画祭は場所も含めて参加することですから、目的なく来てもその空気に浸れるんです。それを味わうためには、本当に来てみないとわからないものなんですよ。
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第2回新潟国際アニメーション映画祭は3月15日~20日開催、チケットは絶賛発売中。公式HP(https://niaff.net)でのクレジットカード決済、または上映会場にて現金でも購入可能(※一部例外もあり)。チケット販売、プログラム、会場など詳細は公式HP、SNSで随時告知する。


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