最重要ナチス戦犯アイヒマンを見張る刑務官の重圧 当事者から聞いたエピソードを忠実に再現
2023年9月4日 13:00

最重要ナチス戦犯のアドルフ・アイヒマン処刑までの最後の日々を、史実を基に描いたヒューマンドラマ「6月0日 アイヒマンが処刑された日」から、本編映像の一部が披露された。
第二次世界大戦時、ナチス親衛隊中佐としてユダヤ人の大量虐殺に関わったアドルフ・アイヒマンは、終戦後逃亡しブエノスアイレスに潜伏していた。しかしイスラエル諜報特務庁により、1960年に捕らえられ、61年12月に有罪が確定。全ての訴状で有罪となったアイヒマンの処刑は、イスラエルの死刑を行使する唯一の時間の定めに基づき、1962年5月31日から6月1日の日が変わる真夜中に執行された。
処刑後アイヒマンの遺体を焼却するため、秘密裏に焼却炉の建設が進められる。宗教的・文化的にも火葬を行なわないイスラエルで、この世界史の大きな節目に深く関わることとなった焼却炉を作る工場の人々、そこで働く13歳の少年、アイヒマンの刑務官、ホロコーストの生存者である警察官。市井に生きる人々を通して、これまで描かれることのなかったアイヒマン最期の舞台裏がドラマチックに描かれる。
本作で監督・脚本を務めたのはグウィネス・パルトロウの弟のジェイク・パルトロウ。共同脚本にイスラエル出身のトム・ショバルを迎え、ヘブライ語で脚本を完成させた。パルトロウ監督の強いこだわりにより、スーパー16ミリフィルムで撮影されている。
披露されたのは、アイヒマンの処刑がいかに大きな出来事かを物語るシーン。パルトロウ監督がイスラエルで実際に当事者にインタビューをしたエピソードがもととなって描かれたこのシーンは、刑務所でアイヒマンが散髪をしている何気ないはずの場面を切り取ったものだが、刑務官はハサミを持つ美容師がアイヒマンに襲い掛からないか気が気でならず、その張り詰めた緊張感が、画面からヒシヒシと伝わってくる。
立ち上がった美容師に銃を向け「立つな!」と声を荒げる刑務官の極度の緊張は、ハサミを持つ手を震えさせる。刑務官自身も耳鳴りが始まり、顔には脂汗が滲み、見えないものまで見え始め、今にも発狂しそうな形相で美容師を追い出してしまう。タバコをくゆらせレコードで音楽を聴きながら散髪されるアイヒマンとは対照的な刑務官に、追い出された美容師も「どっちが囚人だ」と捨て台詞を浴びせる。
これまで描かれることが無かった“アイヒマン最期の日々”に関わっていた刑務官の尋常じゃないストレスとプレッシャー。アイヒマンの処刑がいかに歴史的に重要なことだったかを改めて感じさせる本編映像となっている。
9月8日からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
(C)THE OVEN FILM PRODUCTION LIMITED PARTERNSHIP
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