「台湾巨匠傑作選2023」7月22日から開催 ホウ・シャオシェン幻の作品「少年」、キン・フー「空山霊雨」「大輪廻」など

2023年5月15日 12:00


7月22日より新宿K's cinemaほか全国順次開催
7月22日より新宿K's cinemaほか全国順次開催

特集上映「台湾巨匠傑作選2023~台湾映画新発見!エンターテインメント映画の系譜~」が、7月22日より新宿K's cinemaほか全国順次開催されることが決定。「台湾映画新発見!」と題し、台湾ニューシネマから、近年ブームとなっている台湾ホラー映画や青春映画などのエンターテインメント映画の系譜を紐解き、初公開3作品、日本最終上映2作品を含む、合計27作品を上映する。

「少年」
「少年」

ラインナップのなかには、世界的映画監督ホウ・シャオシェン(侯孝賢)と脚本家のチュー・ティエンウェン(朱天文)がはじめてタッグを組んだ、台湾ニューシネマの原点ともいえる幻の作品「少年」のデジタルリマスター版も。同バージョンは、日本劇場初上映となる。ホウ・シャオシェンが盟友チェン・クンホウの監督作品のために選んだ原作が、気鋭の女性作家チュー・ティエンウェンの短編小説「少年(小畢的故事)」。ホウ・シャオシェンとチュウ・ティェンウェン。この劇的な出会いが、ホウ・シャオシェンと台湾映画を世界の舞台に登場させたのだ。本作はホウ監督の少年期の姿が色濃く描かれ、「風櫃(フンクイ)の少年」「童年往事 時の流れ」に連なる“侯孝賢映画”の中でも記念碑的な作品と言える。

「空山霊雨」
「空山霊雨」
「大輪廻」
「大輪廻」

“武侠映画の神様”とも呼ばれる、キン・フー監督が全編韓国ロケを敢行した「空山霊雨」、3つの時代にわたる輪廻転生を描いた因果応報一大絵巻オムニバスムービー「大輪廻」の2作品は日本劇場初公開。ツイ・ハークアン・リー、ウォン・カーワァイにも多大な影響を与えたといわれる、キン・フー監督のアクションと幻想美を融合させた世界観が堪能できる計5作が揃った。

台湾ホラー映画ブームを生み出した「紅い服の少女」から、白色テロ時代を題材にした大人気ゲームを原作にした「返校 言葉が消えた日」。台湾エンターテインメント映画の傑作「青春神話」や「1秒先の彼女」も。LGBT先進国と言われる台湾で同性愛の母との対話を記録した「日常対話」、台湾ニューシネマの裏側を追った「HHH:侯孝賢」、台湾の「国家電影及視聴文化中心」のフィルムアーカイブで、日々フィルムの保存や修復に勤しむ職員たちの姿を追った「アーカイブ・タイム」など、台湾を多角的に捉えることができるドキュメンタリー映画もラインナップされている。

ラインナップの詳細は、以下の通り。

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●「少年」[デジタルリマスター版] ※劇場初公開
1960年代台湾・淡水。未婚の母シウインは息子アジャのために年の離れた男性ターシュンと見合い結婚する。ターシュンは実の息子のようにアジャを可愛がるが、やがて弟がふたり生まれ、元々やんちゃだったアジャは中学生になる頃にはすっかり不良少年に。そんなある日、アジャの不注意から弟が事故に遭い…。ひとりの少年の成長譚を隣家の少女の視点で語る、台湾ニューシネマの夜明けを代表する珠玉の名作。

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●「空山霊雨」[デジタル修復版]  ※劇場初公開
三宝寺の僧正が後継者選びをするために、大地主のウェン、軍人のワン将軍、そして高僧ウーワイ法師を寺に召集する。寺の将来を案じるふりをしながら、ウェンとワン将軍は、寺の宝・三蔵法師直筆の経典「大乗起信論」奪取を目論んでいた。やがて後継者は意外な人物に決まるが、経典をめぐり争奪戦が繰り広げられる…。『山中傳奇』と同時進行で韓国各地で撮影されたアクション作品。

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●「大輪廻」[デジタル修復版]  ※劇場初公開
明朝、中華民国初期、現代(80年代)を舞台に、魚腸刀という古刀に運命を翻弄されながら輪廻転生を繰り返す3人の男女を、ワイヤーアクションの祖キン・フー、「台湾映画の父」リー・シン、イタリア・ネオレアリズモに傾倒しイタリアで映画製作を学んだパイ・ジンルイのプレ台湾ニューシネマを代表する3人の巨匠が描いたオムニバス作品。

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●「残酷ドラゴン 血斗竜門の宿」[デジタル修復版]
中国・明の時代。暴政を繰り返す宦官のツァオは、無実の罪でユイ大臣を処刑し彼の子供たちを流刑とした。さらに、復讐を恐れたツァオは刺客を送る。刺客が待ち伏せした宿には凄腕の剣客チュウ兄弟が子供たちを助けるためにやって来る。二人は彼らの父の友人シャオとも協力しツァオの企みを阻む。

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●「侠女」[デジタル修復版]
明時代末期の陝西省。小さな村に母親と暮らし、絵や書を売る書生のグーは美しい女性ヤンと結ばれる。だが、ヤンは政府(東廠)に反旗して処刑された大臣の娘で、一族抹殺された中で唯一生き残った女性だった。政府からヤンの命を狙う刺客を、グーは彼女とその仲間たちを守るために兵法を使って罠にかけるが…。

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●「山中傳奇」[デジタル修復・完全全長版]
11世紀、宋の時代。若い学僧・雲青は、戦乱で死んだ者たちの鎮魂のための写経を頼まれる。写経に集中できる静かな場所を求め、崔という男から案内されたのは、山奥の城跡にある廃屋だった…。宋時代の古典「西山一窟鬼」に想を得て作り上げた、妖しと幻想の世界が交錯する美しい武侠ファンタジー劇。

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●「アーカイブ・タイム』 ※劇場初公開
温度18~22度、湿度55%の環境下でおよそ6、70年間といわれるフィルムの保存期間。台湾のとある工業地区にはおよそ17000もの映像フィルムと100万点にもおよぶ映画にまつわる文物が保管され、フィルム映画のデジタル修復という時間との闘いに挑む者たちがいる。「空山霊雨」デジタル修復作業を含む、彼らの日常を追うドキュメンタリー。

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●『HHH:侯孝賢』[デジタルリマスター版]
批評家時代から台湾ニューシネマを積極的に世界に紹介し、監督デビュー後もホウ・シャオシェンからの影響を公言して憚らない、フランスを代表する映画監督の一人オリビエ・アサイヤスがホウ監督とともに台湾を旅しながら、彼の素顔に迫る貴重なドキュメント。

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●「あの頃、この時
金馬奨50周年記念作品として制作されたドキュメンタリー。往年の映画監督やスターの姿を通して、台湾映画の歴史が明らかにされる。

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●「擬音 A FOLEY ARTIST
40年にわたり第一線で映画に効果音を付ける「フォーリー・アーティスト」として活躍するフー・ディンイーにフォーカスしたドキュメンタリー。70本を超える彼の仕事を通して台湾ニューシネマ以前からの台湾映画史が、また台湾、香港、中国の映画人との交流からフー・ディンイーの人となりが語られる。

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●「風が踊る」[デジタルリマスター版]
CMの撮影で澎湖島を訪れた女性カメラマン・シンホエは、事故で視力を失った青年チンタイと知り合う。その後ふたりは台北で偶然再会を果たすが…。1980年代初頭の、民主化へと向かいつつある戒厳令下の台湾社会を背景に、伝統的な家族観や結婚観と自由恋愛の間で揺れ動く自立した女性の心理を、澎湖島、台北、鹿谷を舞台にキャッチーな歌謡曲と共に、軽やかに描いたホウ監督初期作品。

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●「風櫃の少年
澎湖島の風櫃に住むアチンと彼の友人たちは悪戯や喧嘩をして日々を過ごしていた。ある日、対立するグループとの争いが警察沙汰となり、家に戻れなくなった彼らは高雄に行くことを決める。世界の映画作家に多大な影響を与えた一作。

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●「童年往事 時の流れ
少年の成長の年代記を、彼と家族の日常をめぐるささやかな出来事で綴る。主人公の阿孝は、1947年広東省に生まれ、一歳のときに一家で台湾に移住した。ガキ大将的存在の阿孝だったが病弱な父は、阿孝に小さな影を落としていた…。ホウ・シャオシェン初期の代表作。

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●「青春神話
台湾の首都、台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を通して、現代の台湾社会を独特の抑制された形式で描いた青春群像劇。ツァイ・ミンリャン監督衝撃のデビュー作。

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●「熱帯魚」[デジタルリストア版] ※日本最終上映
90年代台北。小学生のタウナンが誘拐される事件が発生。空想好きで落ちこぼれの中学生ツーチャンもひょんなことから同じ犯人に誘拐されてしまう。ところが主犯の男が交通事故であっけなく死に、困り果てた共犯のアケンは…。「1秒先の彼女」のチェン・ユーシュン監督による傑作コメディ。

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●「ラブ ゴーゴー」[デジタルリストア版] ※日本最終上映
パン職人アシェンの店にやってきたのは、かつて憧れた同級生リーホアだった。アシェンの妹リーリーは、路上で拾ったポケベルがきっかけで男と知り合った。美容師として働くリーホアの元には、恋人の妻がやってきた…。「熱帯魚」のチェン・ユーシュン監督がポップなタッチで描く、切なくもどこか滑稽な「愛」の物語。

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●「運命のマッチアップ
バスケの才能に恵まれた兄ショウユーと弟トンハオは、それぞれ別の高校にスカウトされる。やがてふたりは最大のライバルとして運命の試合に挑むことになり…。台湾アマチュアスポーツ最大のイベント「高校バスケットリーグ(HBL)」。そこで活躍した実在の兄弟に着想を得た青春ストーリー。

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●「親愛なる君へ
老婦シウユーとその孫ヨウユーの面倒を見る青年ジエンイー。彼がふたりに尽くすのは、ふたりが最愛のパートナー、リーウェイの家族だからだ。だがシウユーの急死をめぐりジエンイーに疑いがかけられ…。同性婚が法制化される前の台湾・基隆を舞台に「太陽の子」のチェン・ヨウジエ監督が描く感動のヒューマンドラマ。

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●「1秒先の彼女
せっかちな郵便局員のシャオチーが朝起きると、デートを約束していたはずの日が消えていた!どうやら毎日のように郵便局を訪れるバス運転手のグアタイも「消えた1日」の秘密を握っているらしい…。『熱帯魚』『ラブ ゴーゴー』のチェン監督が贈る、笑って泣けるラブストーリー。山下敦弘監督×宮藤官九郎脚本による日本リメイクが今夏公開。

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●「アメリカから来た少女
2003年。米国育ちの13歳のファンイーは母のがん治療のために父の暮らす台北にやって来た。家にも学校にも馴染めないファンイーだったが、やがて教師のすすめでスピーチコンテストに出ることになり…。新進気鋭のロアン・フォンイー監督がSARS禍にのまれる台湾を舞台に、少女の繊細な心の動きを映像美で描く、半自伝的映画。

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●「紅い服の少女 第一章 神隠し
祖母と暮らすジーウェイ。祖母の友人が失踪し、祖母とジーウェイも相次いで姿を消す。映像に映り込んでいた“紅い服の少女”を手掛かりに、ジーウェイの恋人イージュンは深い森へと導かれ…。台湾を震撼させた都市伝説をモチーフに、台湾ホラー映画ブームを不動のものにしたチェン・ウェンハオ監督の記念すべき長編第1作目。

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●「紅い服の少女 第二章 真実
社会局家庭内暴力センターで働くリーは高校生の娘ヤーティンが妊娠を知り中絶させようとするが、ヤーティンは姿を消してしまう。学校の監視カメラには “紅い服の少女”に連れ去られるヤーティンの姿が映っていた…。「第一章 神隠し」の前日談へつながる、「紅い服の少女」誕生のきっかけとなった一組の母娘の愛情と悲しみの物語。

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●「返校 言葉が消えた日
1962年台湾。女子中学生ルイシンが目覚めると教室には他に誰もいなかった。外は暗く、雨風が激しい。校舎の中で美術教師の姿を見かけるがすぐに見失ってしまう。ルイシンは誰もいない校内で後輩のチョンティンと会い、ふたりは異様な雰囲気に包まれた校内で美術教師を捜そうとするが…。同タイトルの大ヒットホラーゲームを映画化。

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●「哭悲 THE SADNESS
台湾で蔓延していた風邪症状を引き起こす謎のウィルス「アルヴィン」が、ある日突然変異を起こす。ウィルスは感染者の凶暴性を剥き出しにし、残虐行為へと駆り立てるのだった。感染爆発が起きた市中に暴力が溢れる中、一組の男女が再会を果たそうとするが…。カナダ出身台湾在住のロブ・ジャバズ監督が徹底したゴア描写で放つ、世界のジャンル系映画祭を席巻したエクストリーム・ホラー。

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●「日常対話
ひとつ屋根の下、他人のように暮らす母と私。ある日私は勇気を振り絞り、カメラを回しながら母と対話することにした。同性愛者である母の思いを記録し、そして私も過去と向き合い、心に秘めた思いを母に伝える…。ホウ・シャオシェン監督製作総指揮による、家族の傷を癒すドキュメンタリー。

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●「私たちの青春、台湾
2011年、フー・ユーは魅力的なふたりの大学生、台湾ひまわり学生運動の中心人物チェン・ウェイティンと、台湾の社会運動に参加する人気ブロガーで中国人留学生のツァイ・ボーイーと出会う。彼らの活動を目の当たりにして「社会が変わる」ことを期待するフー・ユーだが…。「民主主義」の理想と残酷さを描くドキュメンタリー。

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●「緑の牢獄
沖縄県西表島に暮らす90歳の橋間良子。彼女は日本統治下の台湾から養父とともにこの島にやってきた。彼女の記憶、そして記録映像や歴史アーカイブを交え、西表炭鉱とそこにやって来た台湾人労働者たちの知られざる物語が明らかになっていく。沖縄を拠点に活躍する台湾出身の黄インイク監督が、台湾から八重山諸島に渡った移民たちの今を描くドキュメンタリー。

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