舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」厳しいオーディションの裏側をデルフィー役・宝意紗友莉が語る

2022年5月20日 09:00

10月~12月公演のチケットが、5月21日午前10時より先行発売
10月~12月公演のチケットが、5月21日午前10時より先行発売

J.K.ローリングによるベストセラーファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ。映画も製作され、世界中を熱狂させた同シリーズの「8番目の物語」にあたる舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」が今夏、ついに日本で開幕する。

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は、ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後の物語。かつて、闇の魔法使いヴォルデモートが支配した暗黒の時代を想起させる不穏な事件が相次ぎ、魔法使いたちは不安に襲われていた。魔法省で働くハリーは、いまや3人の子の父親。ホグワーツ魔法魔術学校への入学を控えた次男アルバスは、英雄の家に生まれた自身の運命に抗うように、父に反抗的な態度をとる。幼い頃に両親を亡くしたハリーは、父としてうまく振舞えず、親子関係を修復できずにいた。時空を超え、過去と現在が不気味に交錯するなか、新たな暗い影が忍び寄る――。

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日本は世界で7番目、アジアでは初の開催地となる。日本オリジナルキャストは、複数回にわたる映像オーディションを経て、来日した海外スタッフとの対面オーディションに臨み、厳しい審査を勝ち抜いてきた。映画.comは、ハリーの息子アルバスとともに冒険を繰り広げる新キャラクター、デルフィー役を勝ちとった「文学座」の宝意紗友莉に、インタビューを敢行。オーディションや稽古の内幕、舞台で描かれる魔法ワールドの魅力について、話を聞いた。(取材・文/編集部)


デルフィーを演じる宝意紗友莉
デルフィーを演じる宝意紗友莉

――まずは、オーディションへの挑戦を決意された理由と、厳しいオーディションの裏側を教えてください。

私は「ハリー・ポッター」世代なので、本も映画も全て触れていて、なじみのある作品だったこともあり、「絶対に受けたいな」と思ったんです。すごくレベルの高いオーディションになると思ったので、自分の実力を試す場としても挑戦したいと思いました。

オーディションでは、イギリスから来日されたオリジナルの舞台スタッフの皆さんの前で、演技とムーブメントのオーディションと、体力審査を受けました。オーディションで、デルフィーを初めて演じたときは、「ハリー・ポッター」の世界観だから芝居を大きく、派手に演じた方が良いと思って力んでいたんです。ですが、スタッフの方から「普通の人間だから、もっと自然にやって良いよ」と言われて、やりやすくなりました。その場では、「デルフィーを演じようとしなくて良いから、君はどんな芝居をするのか見せてほしい」ということが求められていたと思います。デルフィーを初めて演じたときのフレッシュな気持ちは、いまもずっと覚えています。これから稽古を重ねて、演技や動きなどを探っていって、芝居が濃くなってくると思うんですが、最初の感覚は忘れないようにしたいなと思います。

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ムーブメントと体力審査は、かなり大変でした。ミュージカルの場合は、ダンス審査を受けることもありますが、体力審査は、いままであまり受けたことがなかったんです。ただ稽古を迎えて、毎朝1時間必ず、全体で筋トレやウォームアップの時間があって、本当に筋肉と体力を使う芝居なので、何よりも体力が大事な要素なんだなと思いました。

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――物語は、原作者のローリングさんと、演出家のジョン・ティファニーさん、脚本家のジャック・ソーンさんによるオリジナルストーリー。脚本を読んだ感想を教えてください。

私は小学2年生くらいの頃に、「ハリー・ポッター」を知りました。ハーマイオニーが大好きで、しょっちゅう呪文を真似していました(笑)。自分も魔法を使えるんじゃないかと思っていました、いまもそう思ってしまいますが(笑)。舞台には、「ハリー・ポッター」を知っている人なら誰でも「懐かしい」と思うシーンが次から次へと出てくるので、ファンにはたまらないですし、原作全巻の良さがあると思います。

ニューヨーク公演のデルフィー
ニューヨーク公演のデルフィー

――演じるデルフィーは、アルバスとともに、冒険を繰り広げる魔女。役づくりの様子や、意識しているポイントは?

いま(インタビューを実施した4月末時点)、稽古場では1幕を作り終えて、1幕の通し稽古が終わりました。2幕はこれから……という段階です。デルフィーは、アルバスに優しく魔法を教えてあげて、冒険の手助けになるような良きアドバイザー、良きお姉さんの立場です。1幕と2幕の変化をしっかり出せたら良いなと思っています。演出家からも、「殻に閉じこもっているアルバスの心を開かせてくれるような存在であるべきだ」と言われています。デルフィーの役づくりをしていくというよりは、アルバスにとってデルフィーがどういう存在だったら心を開いてくれるか、研究しています。

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――脚本を読むと、魔法のシーンが実際の舞台ではどう表現されるのか、全く想像がつかなくて、とても楽しみです。シリーズとしては初の舞台作品ですが、舞台ならではの魅力を教えてください。

私も稽古に入るまでは、魔法のシーンをどうするのか全然分からなくて。役者自身が演技のなかで装置や小道具を使って、魔法を見せていくので、実際にやってみるとすごく難しいです。今回イリュージョン担当のイギリスのスタッフの方のほかに、日本でマジックをされている方も助手としていらっしゃるんですが、「いかに何も仕掛けがないように見せるか」という演技力が試されています。映画だとCGで消すことができる部分が、舞台だと役者の力量で、何も仕掛けがないように見せないといけない。ですが、演技でどこまでも表現できるので、舞台と魔法は相性が良いなとも思いました。

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セリフのタイミングやちょっとした動きで、魔法に見えなくなってしまうので、イリュージョンの稽古はすごく難しくて大変です。イリュージョンを学びつつ、同時に演技をちゃんと足していかなければいけない。イギリスのスタッフの方が、「ただイリュージョンだけをやっていたら、マジックショーになってしまうから、ちゃんと役と演技を絡めてほしい」とおっしゃっていました。人が考えて練って作った装置を、いかに役者がうまく扱えるか、という部分がポイントですね。

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――まさに役者の演技力、独創的な舞台装置、観客の想像力によって、舞台で魔法が生まれるわけですね。カンパニー全体の雰囲気や、稽古の様子はいかがですか。

カンパニーは、アンサンブルキャストを含めると40人以上で、かなり多いですね。まずは朝、全員で集合して、筋トレやヨガやダンスなど、ウォーミングアップをするんです。朝一で一緒に体を動かすと、「全員でこれからものづくりをしていくんだ」と認識できるので、良い時間になっていますし、一体感が生まれています。

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――19年後のハリー役は、藤原竜也さん、石丸幹二さん、向井理さんのトリプルキャスト。それぞれの“ハリー”の印象はいかがでしょうか?

お三方とも全然印象が違うんです。ほかの舞台の場合は、アンサンブルキャストは同じ雰囲気を持っている方になることが多いんですが、こんなにも3人が違い、それぞれの良さがある作品は、なかなかないなと思います。この物語を引っ張っていく主役のハリーによって、作品が全然違うものになる点が面白いです。ハリーは、魔法界ではすごく有名人で、誰もが彼の名前を知っている存在。お三方とも日本のスターなので、そういう意味でも役と結びついて面白いなと思いました。

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――本作はトリプルキャスト、ダブルキャストの役が多く、さまざまな組み合わせで、それぞれ違う味わいが生まれると思います。デルフィー役も、宝意さんと岩田華怜さんのダブルキャスト。おふたりは、どのようなコミュニケーションをとられたのでしょうか。

岩田さんとは、かなりお話をさせて頂いています。私は、(14年に入所した)文学座付属演劇研究所では、ダブルキャストで役を演じることが多かったんです。ひとりで役を作っていくことも、もちろん素晴らしいんですが、ふたりでお互いを見て勉強して、二人三脚で作っていく時間はすごく有益なんです。ずっとひとりで作っていると煮詰まってしまったり、発見がなかったりするんですが、ダブルキャストは刺激し合えるし、不安要素も共有できるので、岩田さんはすごく心強い存在ですね。私は岩田さんよりも6つ年上で、岩田さんの方が実際のデルフィーの年齢(20歳過ぎ)に近いんですが、その年齢差も見どころかなと思います。

――本作で、ご自身にとっての挑戦はありますか。また、今後のキャリアの夢や目標を教えてください。

初めてのフライングですね。稽古はしていて、まだ芝居と絡めてはいないんですが、デルフィーの見せ場なので、「いかに優雅にフライングするか」を追求しています。今回は、イリュージョンや動きなど、いろいろなことを経験させてもらっていて、「やってみて」と言われたら、あまり考えずにとにかくやってみるという現場。これからもお芝居に限らず、いろんなことができるマルチな俳優になりたいなと思います。

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は、プレビュー公演は6月16日~7月7日、本公演は7月8日から東京・TBS赤坂ACTシアターで上演される。なお10月~12月公演のチケットは、5月21日午前10時より、ホリプロステージ(https://harrypotter.horipro-stage.jp/)で先行発売される(どちらも事前に会員登録が必要。予定枚数に達し次第、販売終了)。


■宝意紗友莉 プロフィール

1992年11月24日生まれ、東京都出身。趣味・特技は、歌、ジャズダンス、英語。2014年に文学座附属演劇研究所に入所し、19年に座員となり、舞台、映画、ドラマ、ラジオドラマなどで活躍中。映画「最高の人生の見つけ方」や、舞台「クイーン・エリザベス -輝ける王冠と秘められし愛-」に出演した。

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