【ネタバレあり】「オールド・ボーイ」4Kリマスター版公開記念! 作品をより深く堪能するためのトリビア&場面写真

2022年5月17日 21:00

鬼才パク・チャヌクの傑作復讐サスペンス
鬼才パク・チャヌクの傑作復讐サスペンス

2004年、第57回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作で、審査委員長のクエンティン・タランティーノ監督が激賞し、国内外の映画賞で高い評価を得た鬼才パク・チャヌクの傑作復讐サスペンス「オールド・ボーイ 4K」。4Kリマスター版の全国公開を記念し、伏線が張り巡らされた脚本、緻密に作り込まれた映像世界……というパク・チャヌクの手腕がいかんなく発揮された本作の世界観をより深く堪能するためのトリビア、場面写真を映画.comが入手した。

土屋ガロン狩撫麻礼)&嶺岸信明による日本の同名コミックを原作に、「JSA」で国際的に注目を集めていたパク監督が映画化した本作は、ある日突然何者かに拉致監禁され、理由も明かされぬまま15年後に突如解放されたオ・デスの壮絶な復讐劇を描く。予想を超えるストーリー展開と、スタイリッシュかつ容赦なきバイオレンス描写が注目を集め、今もなお多くの映画ファンに愛されている。

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■原作にまつわるトリビア

・原作コミックを最初にパク・チャヌク監督に薦めたのは、日本の漫画やアニメに造詣が深いポン・ジュノ監督。その1年後、偶然にもプロデューサーから監督のもとに映画化の企画が持ち込まれた。

・タイトルの「オールド・ボーイ」はいわゆるOB、同窓生を意味する。

■脚本にまつわるトリビア

・原作では監禁された年数は10年間だが映画では15年に、監禁の理由や物語のラストも大きく異なっているが、結末の解釈を観客に委ねるという点で原作のエッセンスを踏襲していると言える。

・劇中デスが恨みを持たれている可能性のある人物として挙げる名前は、パク・チャヌク監督の作品に携わった助監督やプロデューサーの実名だと言う。「もしかしたら、無意識のうちに彼らを傷つけていることがあったかもしれない」という監督の心情から生まれたセリフである。

・ウジンの「~自らを救え」というセリフは旧約聖書の第6章4節に由来するが、6と4という数字がある場所にアクセスするためのパスワードとして設定されているなど、劇中特別な意味をもった数字がいくつか登場する。

・作中、雨や水路、ダムなど水のモチーフが多用される。ミドが働く日本料理店は「地中海」、デスが手がかりを求め辿り着く美容室の名前は「水車」である。

・ミドがインターネット上でやりとりをする“エバーグリーン”というIDの人物から「モンテ・クリスト伯」と称されたデス。世界的に有名な復讐譚とも言えるアレクサンドル・デュマ・ペールの同名小説で無実の罪で14年監獄で過ごした主人公の名である。

・ウジンの主治医だという“ドクター・ホプキンス”の名は、レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスから来ている。

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■キャストにまつわるトリビア

・オ・デスになりきるため10カ月間の準備期間を要求したチェ・ミンシク。体重を10kg増減させ、平凡な男が15年の監禁を経て復讐の怪物へと変わるさまをリアルに体現した。また、ボクシングジムに通ってフォームを完璧に習得し、ハードなアクションシーンもすべてスタントなしで演じた。

・デスのボサボサヘアは5時間かけて作り上げたもの。チェ・ミンシクは「生まれて初めてのパーマをかけた」という。モデルや舞踏家としてのキャリアを持つユ・ジテ。たった一カットのヨガシーンのために3カ月かけて専門家でも難しいという「バッタのポーズ」を完璧にやってのけたというエピソードに身体能力の高さがうかがえる。

・オーディションで300人の中から選ばれたミド役のカン・へジョンは、オーディション会場に刺身包丁と体温計、解熱用の座薬を持って現れ、パク・チャヌク監督やチェ・ミンシクを驚かせた。

カン・ヘジョンは撮影現場で常にスタッフや関係者への差し入れを持ち歩いており、“歩くセブンイレブン”と呼ばれていたという。

・デスが鮨屋でタコに食らいつくシーンでは、活きのよいタコを撮影するため4匹も食べることになったチェ・ミンシク。カンヌの授賞式で「タコに感謝」するほど強烈な体験だった模様。

ユ・ジテは非常に手脚が長かったため、衣装チームは彼のスーツやシャツなどを新たに仕立てざるを得ず「現代を舞台にした映画の中でもっとも衣装をたくさん作った作品だ」とコメントしていたという。

・監督は二つの理由でイ・ウジン役に劇中の設定よりもかなり若いユ・ジテをキャスティングした。「成長が止まってしまった男」として描くため、もう一つは中年男性を若いユ・ジテが演じる視覚的効果を狙うためという。

・カンヌ国際映画祭のレッドカーペットで、ハリウッドリメイクされるとしたら自身の役柄を誰に演じて欲しいかと問われ、チェ・ミンシクショーン・ペンユ・ジテエドワード・ノートンと答えている。

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■公開にまつわるトリビア

・口外無用の衝撃の結末が待ち受ける本作。公開後、スタッフは特別チーム「サイバー捜索隊」を編成し、結末に言及する書き込みの削除に暗躍した。

・第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した本作。当初はコンペ外での上映予定だったが審査委員長であるクエンティン・タランティーノ監督の推薦と作品の質の高さから直前に正式出品が決定した。

・カンヌの公式上映では、エンドロールが始まった瞬間、大拍手が湧き上がりスタンディング・オベーションは10分以上鳴りやまなかった。

■撮影にまつわるトリビア

・オ・デスが18名のチンピラ相手に廊下で立ち回る2分40秒のアクションシーンはもともと絵コンテでは100余りの細かいカットに分かれていたが、監督は「孤独な戦いを強調するために」急遽現場でロングショットでの1カットに変更した。

・廊下のアクションシーンの撮影日には、「復讐者に憐れみを」主演のソン・ガンホが陣中見舞いで現場に訪れていた。

・最終的に撮影がクランクアップしたのは韓国国内で公開される2003年11月21日の50日前、10月2日のことだった。

・ラストの雪原シーンはニュージーランドの山岳で撮影された。最小限のクルーで臨んだ撮影ではカメラのレンズ一式を紛失するなどトラブルが相次いだが、当日は奇跡のように雪が降った。

・細部までこだわった完成度の高い映像表現で有名なパク・チャヌク監督。本作では美術、照明、撮影スタッフとともに3か月で練り上げられた1万枚のラフカットが描かれ、その中から実際に撮影する900カットが絞り込まれた。

・紫と黒の幾何学模様は、ウジンの痕跡を表すものとして劇中様々なシーンで繰り返し登場する。デスとウジンが対決する後半パートだけではなく、物語の早い段階から同柄を発見することが出来る。

・解放されたオ・デスが街中で若者と乱闘するシーンは釜山大学で撮影された。大勢の野次馬に囲まれる現場となったが、パク・チャヌク監督の完璧な画作りへのこだわりによって撮影には長時間を要した。

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■スタッフにまつわるトリビア

・撮影当時新人だった撮影監督のチョン・ジョンフンは、本作以降パク・チャヌク組の常連となり、現在では「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」など世界をまたにかけ活躍をしている。

・本作の色彩表現において重要な役割を果たしたのは「復讐者に憐れみを」も手掛けた照明技師のパク・ヒョンウォン。ウジンのペントハウスから見えるソウルの夜景は照明のパク・ヒョンウォンがなんと1から創り上げたものだという。

・ウジンの住むペントハウスは108坪もの巨大なセットが組まれ撮影が行われた。予算内で大富豪の住む部屋を表現するため、プロダクションデザイナーのリュ・ソンヒは“ミニマル&ストレンジ”のコンセプトでセットを編み出した。

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