熊切和嘉監督＆「ライアーゲーム」脚本家がオリジナルシチュエーションスリラー「#マンホール」を製作

2022年5月12日 12:00

「ライアーゲーム」シリーズ、「マスカレード・ホテル」シリーズの脚本家である岡田道尚氏のオリジナル脚本を基に、「海炭市叙景」「私の男」の熊切和嘉監督が、日本発のオリジナルシチュエーションスリラー作品「#マンホール」（読み：ハッシュタグ・マンホール）を製作することが決定。製作幹事・配給会社のギャガが発表した。公開は2023年2月を予定している。

映画は、結婚前夜に酒に酔ってどこかのマンホールに落ちてしまった男が、限られた手元のアイテムを駆使し、何とかこの穴から這い上がろうと奮闘する一夜の物語となる。

シチュエーションスリラーというジャンルは海外では数多く存在し人気を博しているにも関わらず、日本では海外ほど製作されていない現状がある。スリラーやサスペンス作品は、ハリウッドでは登竜門的な位置づけとされており、スティーブン・スピルバーグ監督は、トラックが追いかけてくるスリラー「激突！」（71）で監督デビューし、クリストファー・ノーラン監督は時系列をシャッフルさせた「フォロウィング」（98）、時間が逆行させるサスペンス「メメント」（00）で観客の度肝を抜き、M・ナイト・シャマラン監督は「シックス・センス」（99）1本で世界一ギャラの高い脚本家となった。原作人気やバジェットの大きさに頼らず、独創的で斬新なアイデアが、作品の面白さ、成功に直結しているジャンルとして、「127時間」（10）、「［リミット］」（10）、「search　サーチ」（18）、「THE GUILTY　ギルティ」（18）など近年に至っても毎年新たな切り口のヒット作が生まれている。

「#マンホール」は、独創的なアイデアで勝負できる日本発のジャンル作品を作り、世界に送り出す新たな企画としてスタート。岡田氏は「ライアーゲーム」シリーズでは、難解なオリジナルゲームを換骨奪胎し、「マスカレード・ホテル」シリーズでは、東野圭吾氏の紡いだ複雑なトリックを2時間の作品の中でサマライズするなど、仕掛けと構造で観客を楽しませることに長けている。今作は“ワンシチュエーション”“主人公は結婚式前夜の新郎”“武器はスマホのみ”“2分に1度訪れる主人公のピンチ”“SNSを駆使した問題解決”“あっと驚くラスト”を条件とし、脚本執筆を進めた。

ジャンルに捉われず多くの作品を世に放ち、国際的な評価を受ける熊切監督は、緊張感のある日常描写に定評があり、人物に光を当てるだけではなく、内面の影をも炙り出す演出が高く評価されている。また、ジャンル映画への造詣と愛が深く、本作のビジュアル・ディレクションにも数々の往年の洋画作品へのオマージュがちりばめられている。

現在撮影を終え、ポスプロ段階に入っている。詳しいストーリー、キャストは追って発表される。

＜あらすじ＞
　勤務先の不動産会社での営業成績はナンバー1、社長令嬢との婚約も決まり、将来を約束された男・川村。結婚式前夜に開かれたサプライズパーティの帰り道、酩酊した彼は一人深いマンホールの底に落ちてしまう。深夜、穴の底で目を覚ました川村は、手元にある唯一の道具であるスマートフォンを駆使し、GPSで居場所を探り、警察や友人知人、さらにはSNS上の人々にまで助けを乞い、脱出を試みる。穴の中で次々に発生する恐ろしい出来事が容赦なく川村を襲う中、時間は無情にも進み、夜明けが迫ってくる。果たして川村は無事に穴から抜け出し、結婚式に出席できるのか？

▼コメント
■熊切和嘉監督
　岡田さんの書かれた脚本は、挑戦的で、油断のならない、さながら「四畳半の迷宮」といった趣で、主人公が地獄を味わうには充分すぎるほど素敵に狂っていました。

ジャンル映画に触れる歓びを日々噛み締めながら、スタッフキャストみんなで夢中になってこの迷宮に挑みました。

■原案＆脚本・岡田道尚
　アイデアで勝負できるオリジナル映画が作りたい！かねてより、その想いで様々な企画を考えてきましたが、現在の日本では原作モノ・企画性・時代性などが優先されるあまり、アイデア重視のオリジナル作品は成立しづらい環境が続いています。その中で、ようやく実現に漕ぎ着けたのが映画「#マンホール」です。熊切監督はじめ、素晴らしいスタッフとキャストと共に作り上げた、日本では珍しい挑戦的な本作を日本だけでなくぜひ世界中の人たちに楽しんでもらいたいと思っています！

（映画.com速報）