ロベール・ブレッソン、日本未公開作「湖のランスロ」「たぶん悪魔が」3月11日公開

2021年12月28日 15:00


「湖のランスロ」
「湖のランスロ」

フランスの映画監督、ロベール・ブレッソンの日本未公開作「湖のランスロ」(1974)と「たぶん悪魔が」(77)が、3月11日から公開される。

抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より」「スリ」「やさしい女」などで知られるブレッソンは、プロの俳優をキャスティングせず素人を起用するなど、過度な演出を徹底的に排除する映像表現「シネマトグラフ」を標榜。ゴダールらヌーベルバーグの作家たちからも称賛され、寡作ながら唯一無二の傑作を生み出してきた。

74年製作の「湖のランスロ」はブレッソンが長年映画化を夢見ていた企画で、中世のアーサー(アルテュス)王伝説に登場する王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋を中心に、騎士道精神が崩壊していく様を現代的視点で描いた時代劇。77年製作の「たぶん悪魔が」は、環境破壊が進み、社会通念が激変しつつある中で、当時のニュース映像などを挟みながらひとりの若者の死を見つめる終末論的な作品だ。

「たぶん悪魔が」
「たぶん悪魔が」

ブレッソンのフィルモグラフィーの中でも、特に際立ってユニークな2作で、前者はカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、後者はベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)を受賞した傑作でありながら、日本では特集上映などを除き、初の劇場公開となる。また両作とも最新の技術を駆使したデジタル・リマスターが施された最新版で、「ロミオとジュリエット」(68)、「ベニスに死す」(71)などの撮影監督パスクァリーノ・デ・サンティスが手がけた美しいビジュアルが見事にリニューアルされ、40年以上前の映像とは思えないクオリティで鑑賞できる。3月11日から、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開。

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