タイカ・ワイティティ監督、ホドロフスキーのグラフィックノベル「アンカル」を映画化

2021年11月23日 09:00


タイカ・ワイティティ監督
タイカ・ワイティティ監督

カルト映画界の重鎮アレハンドロ・ホドロフスキーとバンド・デシネ(仏語圏のコミック)界の巨匠メビウスによる「L'INCAL アンカル」が映画化されることがわかった。「ジョジョ・ラビット」で米アカデミー脚色賞を受賞したタイカ・ワイティティ監督がメガホンをとる。

米Deadlineによれば、脚本はワイティティ、盟友のジェマイン・クレメント(「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」)、ピーター・ウォーレンが共同で執筆。バンド・デシネ出版社のユマノイドがプロデュースする初の映画作品となる。

原作「L'INCAL アンカル」は、銀河の命運を握る謎の生命体アンカルを発見した三流私立探偵のジョン・ディフールが、アンカルのパワーと目的を知り、冴えない仲間たちと仕方なく宇宙を守る旅に出るというスペースオペラ。1970年代末にユマノイドから出版されて以来、SFバンド・デシネの傑作として世界中の多くのコミック作家たちに影響を与えている。

このほどユマノイドは、ホドロフスキーとワイティティが出演する「L'INCAL アンカル」映画化発表の動画を公開した。そのなかで、ホドロフスキーは「この作品を私ではないほかの誰かが映画化することを想像してみてください。私が40歳なら激怒し、まるで盗まれたみたいにショックを受けていたでしょう。当時の私には十分な英知がありませんでした。そしていま、私は92歳です。これだけの壮大な作品を作る状態ではありません。年齢のせい? とにかくできないのです。映画において監督は神です。監督は作品に自分のすべてを投入しなければなりません。題材と向き合い、自分で咀嚼して新たな命を吹き込みます。素晴らしいことです。私にとって、優れた芸術家は極めて哲学的で、映画で金儲けしようなどとは考えません。世界を変えたいと考えるのです。世界を変えるつもりがないなら、そんなやつは要らない! 彼はこの作品に最適な人物です。なぜなら、彼は独自の視点で『アンカル』を考察することができるから。彼はホドロフスキーの『アンカル』ではなく、ワイティティの『アンカル』を作るでしょう」と語っている。

今回の企画は、ユマノイドのCEOファブリス・ギーガーからワイティティを提案されたホドロフスキーが、過去の作品を見て彼しかいないと確信したようだ。ワイティティは、ホドロフスキーの映画とグラフィックノベルに長年刺激を受けてきたこと、「L'INCAL アンカル」を監督する機会を与えられとても驚き光栄に思っていると明かしている。

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