女子高生がSNSで世直し!? 熊坂出監督作「プリテンダーズ」公開決定＆PFFでクロージング上映

「パーク アンド ラブホテル」が第58回ベルリン国際映画祭で日本人初となる最優秀新人作品賞に輝いた熊坂出監督の最新作「プリテンダーズ」が、10月16日から全国で順次公開されることになった。また併せて、9月11～25日に開催される第43回ぴあフィルムフェスティバル（PFF）のクロージング上映作品に選出され、同23日にプレミア上映されることも明らかになった。

今作は、「右にならえ」「空気を読め」を美徳とする日本社会に、ふたりの女子高生がSNSを駆使しながら物申し、フィクションの力で世界を変えようと突き進むシスターフッドムービー。テレビドラマなど活躍の場を広げていた熊坂監督が「映画を撮りたい！」と一念発起して撮り上げた。かつて自主映画「珈琲とミルク」が、PFFアワード2005で審査員特別賞、企画賞、クリエイティブ賞を受賞した原点回帰の場で新作をお披露目する。

主人公となるのは、社会からスルーされ続けたゴッホに自らを重ね、社会に反抗する17歳の花田花梨。「おじいちゃん、死んじゃったって。」の好演が記憶に新しく、2021年後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」への出演が決まっている小野花梨が同じ名前の花梨に息吹を注ぎ、長編映画初主演を飾る。

花梨の親友・仙道風子に扮するのは、NHKドラマ「きれいのくに」や菅田将暉とFukaseが初共演を果たし話題になった「キャラクター」に出演する見上愛。そして、熊坂監督作ならばと古館寛治、奥野瑛太、吉村界人、柳ゆり菜、佐藤玲、加藤諒、浅香航大、村上虹郎、津田寛治、渡辺哲、銀粉蝶ら豪華な面々が友情出演している。

物語は、父との言い争いをきっかけに風子の家に転がり込んだ花梨はある日、電車内で病人に席を譲った際の得も言われぬ感覚からひらめいてしまうところから一気に動き出す。アイデアとSNSが武器の「プリテンダーズ」を結成したふたりは、満員電車での諍いを喜劇に変えたり、ゾンビを街に出現させたり、次々とドッキリを仕掛け、フィクションの力で世界を変えようと突き進む。日に日に協力者は増え、リツイートされまくるが、ふたりを待っていたのは社会からのしっぺ返しだった……。

監督、キャスト、PFFの荒木啓子ディレクターのコメント全文は、以下の通り。

■監督・脚本・編集／熊坂出
1999年の夏にPFFと出会い僕は映画作りを始めました。原点でお披露目できる事に深く感謝します。
これは、フィクションで世界を変えていこうとする少女の青臭い物語です。小野花梨さんを筆頭に、無二のスタッフキャスト一人一人のお力を丸ごと尽くして作りました。
皆さんへこの映画が深く到るよう、力を尽くします。

■小野花梨
撮影真っ只中で世界が変わって撮影が出来なくなり、再開の目途もたたなかったあの頃を思い出すと公開出来る事が奇跡のように思えます。この作品に出演することで、ひとつの映画に沢山の人の思いや人生が詰まっていることを改めて教えて頂きました。難産だったからこそ愛おしいプリテンダーズが、大好きな熊坂さんの原点PFFでお披露目できることが堪らなく幸せです。ひとりでも多くの人に愛が届くように祈っています。

■見上愛
コロナで撮影がストップし、撮り終えられるかも不安だった作品が、皆様にやっと届けられるということで、とても嬉しいです。クロージング作品に選んで頂いたということで、『プリテンダーズ』が、第43回PFFの素晴らしい締めくくりになりますよう、願っております。○○っぽい、とか、○○風、なものが増えている中で、この作品は『プリテンダーズ』でしかないものになっているんじゃないかなと思います。特に、生きづらさを感じている、あなた、に観て欲しい作品です。

■PFFディレクター／荒木啓子
「自主で長編映画を撮る」と聞いたとき、「映画をつくろうとしている高校生が登場する」と聞いたとき、熊坂監督が生み出す映画の予想は、さっぱりつかなかった。おそるおそる参加した試写で、驚きました。なんだこの切迫感と緊張感とやる気の横溢は～～！
どしどしこちらに向かってくる、映画をつくる、映画をみせる、その強烈な欲望に応えたく、上映させていただきます。スクリーンで観て、語る。9月23日にたっぷり！是非ご来場ください。