【第93回アカデミー賞】主要部門スピーチまとめ ユン・ヨジョンが韓国人俳優初のオスカー受賞

2021年4月26日 16:26


画像1

第93回米アカデミー賞の授賞式が4月25日(現地時間)、米ロサンゼルスで開催され、「ノマドランド」が作品賞、監督賞、主演女優賞の主要3部門を制し、最多受賞作品となった。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、従来のドルビー・シアターに加えダウンタウンのユニオン駅を会場に行われた今年のアカデミー賞を、主要部門受賞者のスピーチで振り返る。


画像2

■作品賞「ノマドランド

クロエ・ジャオ監督
 フランシス(・マクドーマンド)らプロデューサー陣を代表してアカデミーに感謝申し上げます。そして、ほかのノミニーたちにもお礼申し上げます。多くの人たちのおかげでこの作品を製作することができました。サーチライト・ピクチャーズ、素晴らしい本を書いてくれた(原作者の)ジェシカ・ブルーダー、(撮影・美術の)ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ、そしてリンダ・メイさん、スワンキーさん、ボブ・ウェルズさん、そして私たちが出会ったノマドのコミュニティのすべての方に深い感謝の意を表したいと思います。苦境から立ち直り、希望を持つことの力を教えて下さってありがとうございました。

フランシス・マクドーマンド
 私たちの映画を、できる限り大きなスクリーンで見てください。そしていつか、とても近いうちに、仲間たちと映画館で肩を並べ、その暗い空間で、今夜ここで紹介されたすべての映画を見てください。この映画をウルフに捧げます。

画像3

■主演女優賞:フランシス・マクドーマンドノマドランド

ここにカラオケ・バーを設けるべきですね。おれは言葉では言わぬ、おれの声はすなわち剣(「マクベス」のマクダフのセリフから引用)、ということです。その剣とは仕事であり、私は仕事が好きなのです。それを理解してくださること、そしてこの賞を下さったことに感謝します。

画像4

■監督賞:クロエ・ジャオノマドランド

ノマドランド」に携わったみなさま、一生に1度の経験をともにすることができました。最近よく、困難な状況に陥ったときにどう前進すればいいのかと考えます。そこで、子どもの頃に学んだことを振り返っています。

私が中国で育った頃、父と古典的な詩や文章を暗記して、お互いの文章を完成させるゲームをしていました。中国の古典「三字経」に出てくる言葉で「人之初、性本善」というものがあります。「人は生まれながらにして善良である」という意味です。幼い頃にこの6文字にとても大きな影響を受け、ときにまったく逆のことが起こっていると思えるときでさえ、この言葉をいまでも心から信じています。

世界中どこに行っても、善良な心があると信じています。私はいつも、出会った人々のなかに善意を見出してきました。この賞を、たとえそれがつらくても、善意を持ち続ける信念と勇気を持つ人たちに捧げます。あなた方のおかげで、私は前進し続けることができます。

画像5

■助演男優賞:ダニエル・カルーヤJudas and the Black Messiah

なんて素晴らしい人だ。彼(フレッド・ハンプトン)が存在した時代に生きる私たちは、なんて恵まれているのでしょう。あなたがくれた光に感謝します。彼は亡くなるまでの21年間で、子どもたちに朝食を食べさせる方法を見つけ、教育を与え、無料で医療を提供し、あらゆる困難に立ち向かいました。彼とヒューイ・P・ニュートンボビー・シール、つまりブラックパンサー党が、私に自分自身を愛する方法を教えてくれました。そしてその愛を、黒人のコミュニティやそのほかのコミュニティに注ぎました。そして彼らは、団結することの力を示したのです。分断するのではなく団結する強さを語ってくれました。

この男(ハンプトン)の存在を知らない人がたくさんいます。この映画のなかで彼が言っている言葉も、その言葉が存在すること自体もです。この映画を撮影している間に、ジョージ・フロイドさんの事件で、ブラック・ライブズ・マター運動で、いろいろなことが起こりました。この映画は、今年起こった感情を明確に表現しています。

どんなことがあっても人生を祝福しましょう。生きているって素晴らしいではないですか。“人生”というものに感謝します。

画像6

■助演女優賞:ユン・ヨジョンミナリ

ブラッド・ピットさん、やっとお会いできて嬉しいです。どうしてもっと早くお会いできなかったのかしら。光栄です。ご存じの通り、私は韓国出身です。(ピットが名前をヨジョン・ユンと読み上げたことから)ヨジョン・ユンでもユンジョンでも、今夜はなんと呼んでいただいても構いません。許します(笑)。いつもはテレビでこの賞を見ていました。私にとってはテレビ番組だったんです。ここにいるなんてとても信じられません。ちょっと落ち着きますね(笑)。

アカデミーに、そして私に投票してくださった方々に感謝します。そして素晴らしい「ミナリ」の家族たち。スティーブン(・ユァン)、(リー・)アイザック(・チョン)、(ハン・)イェリ、ノエル(・ケイト・チョー)、アラン(・キム)、私たちは撮影を通して家族になりましたね。なんと言っても、リー・アイザック・チョン監督。彼がいなければ私はここにいません。私たちのキャプテンでした。心から感謝申し上げます。私は競争を好みません。どうすればグレン・クローズに勝てるというのでしょう? 何度も彼女の演技を拝見してきました。ノミニーである5人全員が、それぞれの作品の勝者です。みんな違う役を演じたのですから、これを競争にするのはふさわしくないでしょう。私は少し運が良かっただけです。もしかしたら、アメリカの韓国俳優に対するおもてなしかしら(笑)。

ふたりの息子に感謝します。そう、私を働きに行かせる子たちにね(笑)。これが、ママが一生懸命働いた結果よ。そしてこの賞を、私が初めて出演した映画の監督であるキム・ギヨンにも捧げます。天才的な監督で、私にとって最初の映画にともに取り組みました。きっと誇らしく思ってくれているはずです。

画像7

■脚本賞:エメラルド・フェネルプロミシング・ヤング・ウーマン

なんてこと! スピーチを用意していないのに……。こんなことが起こるなんて! (オスカー像は)すごく重たくて冷たいのね(笑)! 私が言えることは――そもそもイギリス人は泣かないからこれって難しいことなのですが、いま泣かないようにすごく頑張っています――この作品は、世界でもっとも素晴らしい人たちが23日間で作り上げたもので、彼らの完全な天才性と愛とユーモアが詰まっています。

いまここには私一人が立っていますが、本当に多くの方の協力があって作られた作品です。キャリー・マリガン、世界でもっとも才能豊かで、もっとも優しく、もっとも楽しい人です。

画像8

■脚色:フロリアン・ゼレールファーザー

この作品の脚本は、アンソニー・ホプキンスの為に書きました。私にとって彼は現存するもっとも偉大な俳優です。彼と一緒に仕事ができるということだけでも夢のようでした。簡単にかなえられる夢ではないと分かっていました。私はフランス人ですし、今作が初の長編映画でした。でも、誰かが“不可能だ”と証明するまで、可能性はあると信じていました。

何が可能で何が不可能か、ときに、その可能性の扉を閉めるのは私たち自身です。「ファーザー」に関しては、その扉を閉めずに、自分のインスピレーションや願望、夢を追いかけたいと思いました。だから、あの脚本にイエスと言ってくれたアンソニーに感謝申し上げます。そして今作にすべてを捧げて下さってありがとうございました。エネルギー、品性、才能を捧げてくださいました。人生最高の経験でした。

画像9

■国際長編映画賞:「アナザー・ラウンド(英題)」トマス・ビンターベア監督/デンマーク

この映画は、私自身がそうしたように、人生におけるコントロールから解放されることを描いています。

マッツ・ミケルセンに感謝申し上げます。最高の演技をしてくれました。人生を祝う映画を作りたかったのです。撮影が始まって4日目に娘のアイダが事故に巻き込まれました。娘がとても恋しいです。

彼女は数カ月前にこの脚本を読んだとき、とても興奮して圧倒されていました。この映画に出演することになっていたのです。もし、みなさんがどうにかしていま彼女が私たちと一緒にここにいると信じてくだされば、私たちと一緒に拍手したり応援してくれたりする彼女の姿が見えることでしょう。私たちは結局、彼女のために、彼女の記念碑としてこの映画を作ることになりました。

アイダ、たったいま奇跡が起こったよ。そしてきみはその奇跡の一部なんだ。もしかしたらきみが糸を引いているのかな。もしそうだったとしても、これをきみに捧げるよ。

ディズニープラス
ノマドランド
をディズニープラスで今すぐ見る

PR

©2024 Disney and its related entities

Amazonで今すぐ購入

DVD・ブルーレイ

Powered by価格.com

関連ニュース

映画ニュースアクセスランキング

本日

  1. 目黒蓮×佐野勇斗「トリリオンゲーム」映画化決定!次なるステージは“日本初のカジノリゾート” 公開は2025年

    1

    目黒蓮×佐野勇斗「トリリオンゲーム」映画化決定!次なるステージは“日本初のカジノリゾート” 公開は2025年

    2024年4月22日 05:00
  2. 市原隼人「おいしい給食」映画第3作で中学校のリアル給食に舌鼓 「うらやましい」を連呼

    2

    市原隼人「おいしい給食」映画第3作で中学校のリアル給食に舌鼓 「うらやましい」を連呼

    2024年4月22日 18:30
  3. この“おもてなし”何かが嫌…… 最狂映画「胸騒ぎ」違和感だらけの不穏な会話をとらえた映像公開

    3

    この“おもてなし”何かが嫌…… 最狂映画「胸騒ぎ」違和感だらけの不穏な会話をとらえた映像公開

    2024年4月22日 10:00
  4. 韓国で「パラサイト」超えの大ヒット! ファン・ジョンミン×チョン・ウソン共演で衝撃の事件を映画化「ソウルの春」8月23日公開

    4

    韓国で「パラサイト」超えの大ヒット! ファン・ジョンミン×チョン・ウソン共演で衝撃の事件を映画化「ソウルの春」8月23日公開

    2024年4月22日 09:00
  5. クリス・ヘムズワース、ケビン・コスナーに主演を直訴して断られたと告白

    5

    クリス・ヘムズワース、ケビン・コスナーに主演を直訴して断られたと告白

    2024年4月22日 11:00

今週