東映・岡田裕介会長と2000人が最後の別れ、吉永小百合「心から感謝」

昨年11月18日に大動脈解離で急逝した東映グループ会長の岡田裕介さん（享年71）のお別れの会が3月10日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで営まれた。吉永小百合、西田敏行ら俳優、山田洋次ら監督をはじめ映画関係者、財界関係者ら約2000人が参列。抜群のリーダーシップで映画界をけん引してきた岡田さんの早すぎる死を改めて悼んだ。

祭壇はトルコキキョウやカーネーションなど1万2800本の花で東映映画のオープニング「荒磯に波」をイメージ。両サイドには「動乱」（80）、「華の乱」（88）、「北の零年」（05）などプロデュース作品のポスターが並び、その中央に17年にプロフィル用に撮影された岡田さんの遺影がほほ笑んでいた。

受け付けを済ませた参列者が通された待ち合いでは、岡田さんの俳優、プロデューサーとしての足跡をたどる映像が上映された。初主演映画「赤頭巾ちゃん気をつけて」（70）や「魔の刻」（85）の映像や高倉健さんとのツーショットなど貴重な写真で彩られ、吉永、西田、岩下志麻、小林稔侍、水谷豊が「贈ることば」を添え、岡田さんの「生涯を映画に捧げた人生」を称えた。

岡田さんが製作総指揮を務め、5月21日に公開される「いのちの停車場」に主演するなど40年の親交がある吉永は「あまりにも突然で、もうお会いできないという実感が湧かないのです。でも、現実なのですよね……。40年間も映画づくりをご一緒させていただき、心から感謝しております」と追悼。同作に出演の西田も、「裕介さんは風のように林のように涼やかな個性をお持ちで多くの人に愛され、また日本映画を語る上で欠かせない存在と思います」としのんだ。

祭壇へ進む通路の両側にも、「いのちの停車場」や同じく製作総指揮の「神・鬼・麗　三大能∞2020」（21年公開）をはじめ携わった作品の場面写真などを展示された。「魔の刻」で共演、「霧の子午線」（96）などに出演した岩下は「いつもユーモアたっぷりの冗談を言って、私を和ませてくださいました。もっともっと映画を作っていただきたかったです」と胸中を吐露した。

「北の桜守」などに出演の佐藤浩市は、「活気ある劇場を取り戻すことが岡田会長への手向けであると信じ、我々は専心します」と誓った。「ふしぎな岬の物語」などに出演した笑福亭鶴瓶は、「大変な世の中やから、会長はまだ死んだらあかん人や。多分、本人は死んだと思ってないやろ。コロナが収束する頃に戻ってきてほしい」と願った。

戒名は東映や本名の剛などが入った「東裕院殿天山剛映大居士（とうゆういんでんてんざんごうえいだいこじ）」。喪主で妹の高木美也子さんは、「『いのちの停車場』の打ち合わせ中に急死したという人生は、映画を愛した兄にはふさわしい生きざまだったのかもしれません。しかし我々、残された家族にとってはこれからも一緒に過ごせる時間が欲しかったです」と無念さをにじませた。

主な参列者：阿部寛、石田ゆり子、五木ひろし、岩下志麻、大後寿々花、かたせ梨乃、上川隆也、岸部一徳、北大路欣也、工藤遥、國村隼、笹野高史、佐藤浩市、佐藤友美、里見浩太朗、篠原涼子、笑福亭鶴瓶、竹中直人、舘ひろし、田中義剛、田山涼成、内藤剛志、中山忍、仲村トオル、名取裕子、西田敏行、橋本マナミ、原日出子、東山紀之、堀内孝雄、萬田久子、三田佳子、松平健、美木良介、水谷豊、森高千里、南野陽子、由紀さおり、柳葉敏郎、　吉永小百合、渡辺裕之、大森一樹、木村大作、阪本順治、周防正行、滝田洋二郎、堤幸彦、成島出、平山秀幸、山田洋次、行定勲、豊川悦司、吉田栄作（順不同、敬称略）