クリストファー・ノーラン、ワーナー・ブラザースの劇場公開&配信同時戦略を非難「不信感がある」
2020年12月10日 12:00

Photo by Rachel Murray/Getty Images for Kodak
クリストファー・ノーラン監督が、米ワーナー・ブラザースが2021年に公開予定のすべての新作映画を、米劇場公開と同時に配信すると決定したことに対し、非難する姿勢を示した。
ワーナーは12月3日(現地時間)、「マトリックス4(原題)」「DUNE デューン 砂の惑星」「ゴジラVSコング(仮題)」などを含む新作17本を、アメリカ国内での劇場公開日にあわせ、ワーナー系列の動画配信サービス「HBO Max」で配信を開始するという方針を明らかにしていた。
ノーラン監督は、米ハリウッド・レポーターに寄せた声明で、ワーナーを偉大な映画スタジオであると称賛する一方で、「HBO Max」を「最悪のストリーミングサービス」と呼び、今回の決定を批判した。「ワーナー・ブラザースは、映画館でも家庭でも、あらゆる場所で映画監督の作品を披露できる素晴らしいシステムを持っていますが、今まさに、それを解体しようとしています。彼らは、何を失いつつあるのか理解していません。彼らの決断は経済的にも無意味であり、多くのウォール街の投資家でさえ、“崩壊”と“機能不全”の違いが分かるでしょう」と語った。
また、米エンタテインメント・トゥナイトのインタビューでは、関係者に事前に相談をしなかったワーナーの進め方に、「不信感がある」と述べたノーラン監督。「彼らは21年に、世界でトップの映画製作者やスターたちが数年にわたって情熱を注ぎ、大きなスクリーンでの上映を前提としたプロジェクトを抱えていました。可能な限り幅広い観客層に見てもらうことを想定していた作品です。それが今では、何の相談もなく、生まれたばかりのストリーミングサービスのための客寄せ商品として使われています」と胸中を明かした。そして同社の戦略を「おとり商法」と表現し、「(今回の事態は)プロジェクトに力を注いできた人々に対するやり方ではありません。彼らは自らの作品がどのような状況に置かれるのか、相談を受け、話してもらう権利があります」と訴えた。
ノーラン監督は、「インソムニア」(2002)以来すべての作品でワーナー・ブラザースとタッグを組んできた。今夏は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、「TENET テネット」を劇場公開し、全世界累計興行収入は3億5900万ドルを記録している。
(映画.com速報)