のん×林遣都「私をくいとめて」撮影現場に潜入!大九明子監督が重視した“30歳になるということ”

2020年10月19日 07:00

初共演を果たしたのん&林遣都
初共演を果たしたのん&林遣都

のんが主演し、林遣都と初共演を果たす映画「私をくいとめて」の撮影現場が3月、報道陣に公開された。

勝手にふるえてろ」に続き、大九明子監督が再び芥川賞作家・綿矢りさ氏の著作を実写映画化。脳内の相談役「A」とともにおひとりさまライフを満喫する31歳の女性・黒田みつ子(のん)と、年下男子・多田くん(林)の不器用な恋模様を描く。大九監督にとって“綿矢りさ作品”の魅力は「言葉の強さ」だという。「一読者として、ファンとして、読ませていただくことも勿論ありますが、映画にすると思いながら読むとゾクゾクします」と説明する。

大九監督「こういう風に、こんな言い方で言ってもらおうかなとか、色々と想像させられます。セリフだけでなくモノローグの方にも強く出ていて。綿矢さんが書かれるセリフというのも、すごく鋭利な練られた言葉ですけど、映画でいうト書きにあたるような部分が私は綿矢さんの魅力だと思っていて大好きです」

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取材の場となったのは、汐留・芝離宮ビルディング近辺の路上だった。大九監督が作り上げていったのは、食事を終えたみつ子と多田くんが帰路についている最中のシーン。言葉を交わしながら歩くのんと林の姿が、東京の街に溶け込んでいく。カラフルに光り輝く東京タワー、時折2人の横を過ぎ去っていく新幹線、頭上を行き交うゆりかもめ、髪をなびかせる夜風――大九監督は的確に指示を出し、引き&寄り、ドリーを駆使したショットを丁寧に収めていった。

大九監督が、原作と出合ったのは「勝手にふるえてろ」の撮影中のこと。「『綿矢さんの次の作品読んだ?』と勧められたんです。すでにAという人が脳内にいる状態で物語が始まると思うと、それは面白いと思いました。映画にするにはどうしたら良いかとすぐに考えました」と映画化のスタートを切ったようだ。

大九監督「『勝手にふるえてろ』の時は、言葉の良さをどうやって映像にするかを考え、アフレコのモノローグは嫌だったので、全部会話劇というかたちで作っていったのですが、今回は原作の中できちんとAと喋ってくれているので、そこの面白さはそのまま生かそうと。あとはとにかく読んでいる間ずっと脳内がカラフルだったので、色を大量に使いたいなと思いました。綿矢さんの作品の魅力は言葉だというのは揺るぎないですが、これを映画にするときは、さらに脳内に思い浮かんだ色をもう一回再現するようなことができたら今まで撮ったことのないような映画が撮れるかもなあと思ったので、やらせていただきました」

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原作のみつ子は33歳という設定だ。そのため「みつ子に関しては、誰にやってもらえばいいのだろうすごく迷いました。OLに見える人でと、ずっと悩んでいて」とキャスティングは難航したようだが「プロデューサーに『のんさん』と言われた時に、バチっときたんです」と告白。そして「ただ実際の年齢がまだ26歳(撮影当時)なので、『これは30歳を超えていないと成立しない映画だ』ということを説明して、31歳ということを気をつけて演じてもらいました」と意図を伝えたようだ。

大九監督「のんさんも、みつ子が30代であるということをすごく意識してやってくれていたし、多田くんとの距離感もたくさん質問されました。例えば多田くんが家に来るシーンでは、みつ子のほうが年上なので『そこはお姉さんなので、家に多田くんが来ている時もおずおずするというよりは、堂々としてていいんだよ』と話しました。みつ子という人は、同じ会社に10年近く勤めていて、ちゃんと社会生活を営めている、ごく普通の立派な社会人なので、生き下手だとか、小心者とか、そういう表現は避けるように心掛けました。そこをのんさんも分かってやってくださったと思います。ごく普通の31歳のOLさん、お洒落も好きだし、楽しいことも好きだけど、人と付き合うことに少々疲れ始めていて、1人でも楽しいことを開拓していこうというごく普通の31歳の女性」

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また、自らの体験した出来事を通じて、みつ子への理解を深めさせようとした大九監督。「私が30歳になった時は、あまりの恐ろしさに家を飛び出して、一人旅をしたんです。みつ子の上司の澤田が、昔バックパッカーで1カ月ヨーロッパを旅していたというのは、私のエピソード。『何かしてないと何一つ成し遂げないまま朽ち果てていくなこりゃ!』という不安でいっぱいでした。特に、就職しているわけでもなく、自主映画は1本撮りましたが、とにかくまだ何者でもない自分が嫌で、アルバイト代だけで貯めたお金が嫌で、それを清めるつもりで、一気に使ってやろうと思って海外で使いました。30になる時が一番恐ろしかったです。それを『経験している者』と『していない者』という違い、30になるということは、女性にとっておそらく特別なことだから、それを経験している人ということを想像しながらやってくださいと、説明しました」と打ち明けてくれた。

林とは「前からご一緒したいと思っていて、すると偶然プロデューサーからご提案いただいて」と念願のタッグだったようだ。「多田くんも、普通の29歳の男の子で、何年かに一度彼女がいて別れたりもしているだろうけど、今は彼女がいないという状況。特に林くんとは演技についての話はしませんでしたが、わかってやってくれていたと思います」と厚い信頼を寄せていた。

さらに「時おり元気すぎる多田くんをやってくれることがありまして。みつ子の家にはじめて招待されるシーンの段取りで、『6時に行きますね!』と嬉しくてダッシュで走って行ってしまったので、笑っちゃって、『心はヤッホーだろうけど、普通に去って行く感じでお願いします』と言いました(笑)。ちょっと恥ずかしそうに『はい』って言って、下を向いていてかわいかったです(笑)」と裏話を明かす。

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時折自身の芝居をモニターで確認していたのん、休憩中にはそんな彼女に気さくに話しかけていた林、納得のいかない場面はスピーディにリテイクの決断を下す大九監督。傍目から見ても、大九組の撮影はスムーズだ。撮影における印象的な場面を問うと、大九監督は「アウトレットモールでみつ子と多田くんが買い物をするシーン」と答えてくれた。

大九監督「好きに喋ってもらって2人に自由にやってもらいました。段取りで、2人がちょっとふざけだしたので『本番でもそれやってね』と。(水着を選んでいるシーンで)“変な水着をあてがってふざける”っていうト書にしていたのですが、林くんに『多田くん、ふざけて自分に当てちゃいましょうか』と女性物の水着を持つように言ったら、最初は『え、女物ってことだったんですか!?』って驚いていました。男物の変な水着をあてがうって思っていたみたいだったので。そしたらみつ子側も乗ってくれちゃって。私は、ロケ場所やその日の天候、その日たまたま来ているスタッフなどいろんなものに影響されて演出を思いついたりするんです。アウトレットモールでは、ロケハンの時、売り場が女性物の水着で埋め尽くされていたので、いつの間にか脳内で多田くんが女性用水着をあてがっているというつもりになっていたんです」

私をくいとめて」は、12月18日から全国公開。

(映画.com速報)

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