TOHOシネマズ、東京ほか関東3県23劇場が営業再開!新型コロナ感染予防措置を確認してきた

2020年6月5日 16:51


営業を再開したTOHOシネマズ日比谷
営業を再開したTOHOシネマズ日比谷

[映画.com ニュース] シネコン大手・TOHOシネマズは6月5日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請を緩和する東京都のロードマップが「ステップ2」に移行したことを受け、東京、千葉、神奈川、埼玉の23劇場(計267スクリーン)の営業を再開した。映画.comは、同社の“お膝元”ともいえるTOHOシネマズ日比谷を訪れ、新型コロナウイルス感染予防措置について取材した。

都内の映画館が6月1日、続々と営業を再開するなか、同社は同2日に全国興行生活衛生王業組合連合会(全興連)が定める「映画館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を踏まえた、感染予防措置を発表している。そしてこの日、万全を期して都内および関東近県23劇場での営業再開に踏み切った。

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取材に向かったのが午前中、ましてや営業再開初日ということもあり劇場ロビーは閑散としていたが、フェイスシールドを装着して立ち働く劇場スタッフの表情は明るい。自動券売機やvit発券機は、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保で1台置きの稼働となったが、持参したメジャーで測定してみたところ約1.7メートルの間隔を確認することができた。

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劇場入口、ロビーなどには消毒液が設置してあり、入退場時に利用することが可能。トイレは清潔な状態が保たれているが、ハンドドライヤーは使用中止になっていた。また、入場時のチケットはスタッフが受け取ることはなく、目視のみで確認するなどの措置が取られている。ドリンクなどを購入する売店の列には床にシールが貼ってあり、きっちり2メートルの間隔が取られている。

0.5秒で測定
0.5秒で測定

そして、入場時に実施するAI検温システム「SenseThunder(センス・サンダー)」が配備されていた。これは、ソフトバンクの子会社である日本コンピュータビジョンが開発したシステムで、AI顔認証技術と赤外線カメラにより、従業員や来場者の体温を0.5秒でスピーディーに測定することができる。

映画.comスタッフのOとKも試してみたが、瞬時に36.3度、36.5度と表示された。同システムは、対象者と1.2メートル離れていても所要時間0.5秒で検温を行い、体温をプラスマイナス0.4度の精度で測定することが可能。最適化されたアルゴリズムによって、マスクやメガネを着用したままでも測定ができるという。

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また客席は、飛沫感染防止のため前後左右に1席ずつ間隔を空けたチェスボード盤方式で座席指定券を販売することで、ソーシャルディスタンスを確保する。再びメジャーで測定してみたところ、1席ずつ空けた横の並びで約1.1メートル、後部座席とは約1.2メートルの間隔が開いていた。

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5月28日に全興連の佐々木伸一副会長が会見した際、上映終了後の退場時に多くの人が数少ない出口に向かうことで、いわゆる“3密”が発生する恐れがあるという懸念を表明していた。同社の平松義斗氏は、「座席稼働が50%であること、幕間の時間を長く確保することで入退場の時間も必然的に長く取れますので、混乱することはないと思います。仮に混みあう回があったとしても、その時はスタッフがご案内に入らせていただきますからご安心ください」と明かす。

きっちり2メートル
きっちり2メートル

この日、同館を訪れ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を鑑賞する来場者に話を聞いた。3月18日に「Fukushima50」ほか3本を一気に見て以来の劇場鑑賞だと語った女性ファンは、「これだけのことがあったので、万全の対策が練られているはずですし、映画館への恐怖心はありません。これまで月に3~4本は劇場で見ていたのですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は初めてなので楽しみです」と笑みを浮かべる。一方、伊豆大島在住の男性は、2月以来の映画鑑賞。劇場に対する恐怖心についても、「僕はないです。電車のほうがよほど怖いですよ。今日は『ANNA アナ』を見に来たのですが、時間まで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見て時間をつぶします」と営業再開を喜んでいた。

英語版ポスターも至急作成するという
英語版ポスターも至急作成するという

なお、同館サイドからも発熱や咳などの症状がある場合は来場を控えるよう促しているが、その場合、購入済みチケットの払い戻しに応じる。また、現時点では日本在住の外国人来場者へのケアのガイドラインが整備されていない状態だというが、館内に掲出されている「紙兎ロペ」を使った感染予防対策に関する「お客様へのお願い」のポスターの英語版を至急作成するという。

TOHOシネマズ日比谷の福井嘉輝支配人
TOHOシネマズ日比谷の福井嘉輝支配人

最後に、営業再開を受けて同館の福井嘉輝支配人は「本当に長かったです。ようやくお客様をお迎えできることを本当に嬉しく思っています。映画館がどれだけ安全であるかということを、お客様がすぐに見て分かるような状態にまで持っていく準備には時間がかかりました。館内の空調に関しましても、法律の規定にそいながら換気を行っております」と真摯な面持ちで語る。来場者だけでなく同館で働くスタッフに対しての気遣いも忘れておらず、「従業員もお客様と同じように不安に思っていたはずです。誰もが安心、安全に仕事ができるよう、お客様に対してはもちろんですが、自分たちに対してもこれだけ安全であるということを確認したうえで運営しているので、安心して働いてくれています」と力強くうなずいていた。

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