三浦しをん×大森立嗣監督、再タッグ作「光」で結んだ“共犯関係”

2017年10月28日 09:40

「まほろ駅前多田便利軒」シリーズに続き共闘
「まほろ駅前多田便利軒」シリーズに続き共闘

[映画.com ニュース] 「まほろ駅前多田便利軒」シリーズの原作者・三浦しをん氏と大森立嗣監督が10月27日、都内で行われた再タッグ作「光」のトークイベントに参加した。

東京の離島・美浜島に住む中学生・信之は、交際中の同級生・美花を守るために殺人を犯してしまう。その翌日、島を津波が襲い、信之、美花、幼なじみの輔と数人の大人だけが生き残る。25年後、妻子と共に暮らす信之(井浦新)の前に輔(瑛太)が現れ、過去に犯した事件の秘密を握っていることをほのめかす。

「普段は希望に満ちた小説を書きたいけど、暗黒成分がたまってきておためごかしが許せなくなるんです。それがマックスにたまったときに書いた小説です」と当時の心理状態を明かした三浦氏。「『ゲルマニウムの夜』からずっと好き」という大森監督への信頼感は絶大で、「『光』をもし映画化していただけるとしたら大森監督に撮っていただきたいとずっと思ってきたので、『撮りたい』と言われたときに、『光』の存在に気づいてくれてたんだと思ってすごくうれしかった。ずっと念を送っていたので(笑)」と笑顔を見せた。

対する大森監督は、「光」の原作に出合ったときの心の動きを「“なんてこった、三浦さん、こんなのもあるんじゃん!”とうれしくなった。でも、映画化したいといえない怖さがありました」と葛藤もあった様子。脚本を執筆するうえでは「小説を最初に読んだとき、自分が感じたものを大事に」しながら、ラストシーンを含め三浦氏と打ち合わせを重ねていったと語る。

大森監督はまた、自分自身に「枷(かせ)を課した」と打ち明け、「自分自身や映画を壊したいという衝動に駆られていたんです。(本作では)普通だったらこういう風になるよね、というのを壊しにかかっている。久しぶりに見て、自分でもびっくりして心がざわざわしちゃっているくらい(笑)。でもそれが、この小説を映画化したいと思った1番の理由なんです。生物として生きている人間の生命力を否定することはできない。そこに“光”が当たっている」と作品の核について熱く語った。

三浦氏は、大森監督との共同作業を述懐し、「映画化していただくとき、必ずシナリオを事前に読ませていただくんですが、大森監督は脚本もすっごくうまくて格好いいんですよ。ひたすらすごい、どうなるんだろうと楽しみでした。小説では私の書き方が悪くてうまく伝わらなかったなと思うところがいくつかあり、津波があったから(人物たちが)こうなっちゃったんだととらえる方がいらっしゃったんです。小説が持っている欠点をどうしたらいいんでしょうかと監督にお伝えしたら、(事件の)順番を小説とは違うふうにしてくださって、小説もこういう風にすればよかったんだと思いました」と大森監督の手腕を絶賛。原作にはないという土手のシーンを挙げ、「“あの2人ならそう言うよね!”と思いました。どうして小説で思いつかなかったのか……悔しかった」と本音をさらしていた。

むき出しの演技合戦を繰り広げている瑛太と井浦については、「(『まほろ』シリーズの主人公)多田をやっているとストレスがどこかにたまるらしくて。瑛太とはもう1本やりたいなと思っていた。また、新くんから『瑛太くんと芝居できる映画を1本撮ってほしい』と言われていたんです。新くんは、きれいな顔をしているけどすごく熱い男。でもエネルギーの出し方が上手ではない気がしていて。そのエネルギーが、演技のときに表出してくる。そういう人ほど俳優に向いている」(大森監督)とオファーに至った経緯を告白。撮影現場で瑛太に会ったという三浦氏は、「『ひどい目に合わせてすみません』と言ったら、『多田とかより全然楽しいですね!』と言われて、なんだよ多田のことももっと愛してくれよと思った(笑)」とエピソードを披露し、会場に笑いを巻き起こしていた。

「光」は、11月25日から全国公開。

(映画.com速報)

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