オノ・ヨーコ、戦後の東京での経験が「私のアートの中に出ている」展覧会開催で語る

2015年11月10日 15:15


東京での思い出を語ったオノ・ヨーコ
東京での思い出を語ったオノ・ヨーコ

[映画.com ニュース]東京都現代美術館(江東区)で開催中の展覧会「オノ・ヨーコ 私の窓から YOKO ONO: FROM MY WINDOW」の内覧会が11月9日、同館であり、来日したオノ・ヨーコが会見した。

本展は、これまで主に戦後アメリカ美術のなかで語られてきたオノの活動を、出身地の東京という都市の文脈で再考する企画で、作家活動を開始するまでの関連資料や創作、1950~70年代の東京での活動、近年の作品を通してオノの創造活動を紹介する。

オノは「自分の国でこういうこと(展覧会)ができるのはとてもうれしい」と述べ、「私の最後の東京(生活)の記憶は、街が爆弾で全部燃やされて、食べ物がなかったり……。今、ここに来て新しい国に来たみたい。こういう風になると思わなかった」「街を歩いて、焦げた木から若葉が出てきていたのを見ていた。そういう経験が私のアートの中に出ている」と戦後の実体験を感慨深げに語った。

また、自身の創作の原動力のひとつが「女の力」だといい、「やさしくて、かわいくて、力がない」といった男性が持つ都合のよい女性のイメージについて言及し「私はそういうところで苦労して、孤独の中で女の力を表したかった。女の力が出ていないようなもの(作品)だったら、社会に出しても無駄だと思っていた」と語る。そして、「女が強くなると、男は嫌だと思うかもしれないけれど、最後は男も女も完全一体の力を出さなければ、地球はだめになります。(男女)一緒に新しい世界を作る時、女性の力をもらわなくては」と力強く訴えた。

展覧会のタイトル「私の窓から」は、オノが名づけた。「エゴではなく、タイトルはアートの一部。“私の世界”とは違う」と、客観的に人生を見ることを表すと言い、「いじめられて、殺されそうにもなったけど、客観性を持って、自分におぼれなかったことで助かった」と世界的な女性芸術家として様々な注目を集め、困難を切り抜けてきた過去を振り返った。

会見の最後には「あなた方一人一人の人生が大事。世界中の人と自分の人生を大事にしてください。この人は必要だとか必要じゃないということはありません。一人ひとりがやっていることが、みんな私たちの力になるのです。だからありがたいのです」とメッセージを寄せ、会場から大きな拍手が上がった。

「オノ・ヨーコ 私の窓から YOKO ONO: FROM MY WINDOW」は2016年2月14日まで開催。

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