マリオン・コティヤールの両足を消す「君と歩く世界」メイキング映像公開

2013年4月5日 15:45

［映画.com ニュース］　カンヌ国際映画際、セザール賞の常連監督ジャック・オーディアールが、アカデミー賞女優マリオン・コティヤールを主演に、両足を失った女性が再生の一歩を踏み出す姿を描く「君と歩く世界」から、コティヤールの足をCG処理で消していくメイキング映像が公開された。

劇中では、ひざから下を失った主人公ステファニーの生々しい姿が映し出されるが、完璧なデジタル処理とコティヤールの熱演が相まって、観客は迫真のリアリティと衝撃を受けることになる。映像では、モニター上で、室内を歩くコティヤールの膝下がスチール製の義足に差し替えられる様子や、アリ役のマティアス・スーナールツに抱きかかえられた彼女が海に入るシーンの舞台裏を網羅。実際の撮影映像と劇中での映像の比較も行なわれている。

オーディアール監督は「足が切断されることになる女性の内面がどういうものか分からなくて困り、本当に苦労したが、特殊効果のおかげですべて解決した」とCG技術の恩恵を振り返る。「そこからこの映画のセクシュアルな面がものすごく大きくなり、また性的表現をとても強烈に、しかも具体的にできるようになった」と、通常の恋愛映画以上に、男女の感情のぶつかり合いを描き出す同作の完成に欠かせなかったことを明かした。

より自然に見せるため、カットごとに処理の方法が選択されたというCGで描く作業には、光の向きなどの計算も必要で、様々な視点からのチェックや手直しが必要となる。フレームごとにデジタル処理していく作業は膨大な時間を要したが、過酷なハンディキャップという厳しい身体的制約のなかで演じたコティヤールを、よりナチュラルに生々しく表現することに成功している。

「君と歩く世界」は本年度ゴールデングローブ賞2部門（主演女優賞、外国語映画賞）ノミネート、カンヌ国際映画際コンペティション部門正式出品のほか、“フランスのアカデミー賞”と言われるセザール賞で有望若手男優賞、脚色賞ほか計4部門の受賞を果たした。4月6日より全国公開。