いとうせいこう、サシャ・バロン・コーエンを「21世紀のチャップリン」と大絶賛
2012年8月28日 21:15
[映画.com ニュース] お騒がせコメディアンのサシャ・バロン・コーエンによる最新作「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」が8月28日、来月開催の「第5回したまちコメディ映画祭in台東」のカウントダウンイベントとして都内で上映され、同映画祭総合プロデューサーのいとうせいこうがトークショーを行った。
「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」「ブルーノ」などで痛快なキャラクターに扮してきたコーエンが、今作では世界一危険な独裁者アラジーンとなって珍騒動を繰り広げる。北アフリカにある架空の国ワディヤ共和国の将軍アラジーンは、ニューヨークで開催されるサミットに呼び出されたものの謎の男に拉致され、身元不明となってしまう姿を、「ボラット」「ブルーノ」に続いてメガホンをとったラリー・チャールズ監督が描き出す。
いとうは、「今回はかなり見やすいフィクション。政治問題や民族問題が随所に入っていて、やはりチャップリンを思い出す。チャップリンも『独裁者』を相当の皮肉で撮っている。(コーエンは)21世紀のチャップリン」と称した。さらに、「よく死ななかったなと思う。政治のものすごく際どいところまで出ていく勇気のあるコメディアンで、活動家と言ってもいいくらい。こんな面白い映画を作れちゃうなんてうらやましい」とせん望の眼差しだった。
過激なイメージが先行しがちな「ディクテーター」だが、「遠慮する前に笑っちゃえ。『差別って恐ろしいよな』って、笑いの後に思えばいい。行儀良くなっちゃったけど、日本も昔はもっと騒いで映画を見ていた。コメディってこうやって時代を映すんだなと感じてほしい」と語りかけた。今年で5回目を迎える「したコメ映画祭」についても、「コメディって日本でなかなか当たらなくなっちゃった。泣く映画も良いけど、もう1度日本が得意としていたコメディを復活させて、エネルギッシュにしたい」と意気込んだ。
「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」は、9月7日から全国で順次公開。「第5回したまちコメディ映画祭in台東」は、東京の浅草・上野地区で9月14日から17日まで開催される。