M・ウィンターボトム監督、9年温めた作品に万感の思い
2011年10月27日 21:34
[映画.com ニュース] 「バタフライ・キス」(1995)、「イン・ディス・ワールド」(02)などで知られるマイケル・ウィンターボトム監督が10月27日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第24回東京国際映画祭コンペティション部門に出品された、新作「トリシュナ」の公式会見へ出席。10年前は審査員として参加したウィンターボトム監督は、「再び来られてうれしく思う」と感慨深げに挨拶した。
「トリシュナ」は9年ほど前に構想が浮かんだが、「思うようなキャスティングが見つからず一度は断念した作品」。しかし今回、主演女優のフリーダ・ピントと、その相手役となった俳優リズ・アーメッドと出会い「メインの二人がイメージにぴったりだった」と製作にいたった経緯を明かした。
ウィンターボトム監督は9年前、インド・オシアン郊外の砂漠を訪れ、機械化、工業化、都会化、そして何よりも教育の力で変わろうとする村人たちの暮らしに衝撃を受けた。さらに、イギリスの文豪トマス・ハーディの古典小説「テス」を思い出す。ハーディはイギリスの暮らしの中で見られる同様の瞬間について描いていた。
ウィンターボトム監督にとって3度目となるハーディ作品の映画化。舞台をインドへ移すなどオリジナルの脚色を加えた。ハーディのファンであることには、2つの理由があるという。ひとつは「普通の人々を描き、非常に共感的な視点を持っている」。そしてもうひとつは、「その個人と社会との対比をしている点」と熱く語った。ピントの起用については、「撮影前からロケ地へ何度も足を運び、現地の家族と仲良くなる努力をし、撮影開始時には本当の一員のようになっていた」と賞賛の言葉を送った。