北野武監督、コンペ部門「アキレスと亀」で7度目のベネチア満喫

2008年8月29日 12:00

ベネチアでは売れっ子!
ベネチアでは売れっ子!

[映画.com ニュース] 第65回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に新作「アキレスと亀」(9月20日公開)を出品している北野武監督が8月28日、女優・樋口可南子とともに公式会見に出席した。北野監督がベネチア入りするのは2年連続7度目。コンペ部門ノミネートは5度目。過去に「HANA-BI」(97)で金獅子賞、「座頭市」(03)で銀獅子(監督)賞を受賞しているゲンのいい映画祭で、会見は“本命”の登場に沸き立った。

同作は、世間からまったく評価されない芸術家(北野)を描いた物語。夢を追いかける男と、一心に夫を支え続ける妻(樋口)の愛を描く。「TAKESHIS'」でタレントとしての葛藤を、「監督・ばんざい!」で映画監督としての苦悩を描いた3部作の完結編だ。「芸術残酷物語。芸術の残酷な部分を描いた。(前の)2本が不評で悩んだ(笑)。売れない画家と同じだね。結論は当たらなくてもいいということ。アートというのは、やっていくことに価値を見出すということ。監督として映画を作ることが何と素晴らしいことか」と、作品の狙いを世界に発信した。

外国人記者から主人公の名前について質問が出ると、「真知寿(マチス)は有名な画家の名前の中で一番日本の名前にしっくりきそうだったから。今回、劇中に出てきた絵はどんどん人にあげちゃってるし、抽選会やって配っちゃおうかな」と語り、報道陣を大爆笑させた。

日本人初となる2度目の金獅子賞受賞の期待もかかるが、「もう金賞&銀賞をもらっているし、贅沢は言わないよ。そんなにうまくいったらコロッと死んでしまう」と謙虚さをみせた。

その日は、昨年初代受賞者として新設された「監督・ばんざい!」賞の第2回授賞式のプレゼンターとして出席し、イランのアッバス・キアロスタミ監督に賞を手渡したほか、声のみの出演をした「ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発」(河崎実監督)の“タケ魔人”の着ぐるみで出席(?)するなど、1人3役の大活躍。映画祭側のVIP待遇に「待遇が良くていいね」と笑顔を見せていた。

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