構想10年。本格派時代劇「たそがれ清兵衛」完成
2002年9月17日 12:00
「男はつらいよ」「学校」などで知られるベテラン、山田洋次監督がメガホンを取った本格派時代劇「たそがれ清兵衛」が完成、9月12日、記者会見が東京・有楽町の朝日スクエアにて、完成披露試写会が丸の内ピカデリー1にてそれぞれ行われ、山田監督以下、真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、丹波哲郎、映画初出演となる前衛舞踏家の田中泯が出席した。
本作は、時代小説の第一人者、藤沢周平の短編を原作に、幕末の下級武士が貧しいながらも守るべき者たちと生活していく姿を描くドラマ。監督歴41年、77作品目にして初めての時代劇への挑戦となった山田監督は「非常に長い期間をかけて準備をしてきましたが、常に不安と疑問でいっぱいでした」とコメント。しかし、今までのどんな時代劇も「細かいところをみていけば必ず嘘がみつかってしまう」というこだわりのから、構想に10年、時代考証にも丸1年を費やすほどリアリティを追求したという。「貧しい下級武士が綺麗な格好をしていたりしてはおかしい。けれど、人それぞれに身の丈にあった幸せというものがあることを、この時代劇を通じて現代の人々にも感じてもらいたい」と語った。
また、主人公、清兵衛を演じる真田は「今までやってきた時代劇の全てを削ぎ落として清兵衛を演じました。庄内弁をしゃべるのは難しかったですが、それができなければ自然ではないので、普段の生活でも庄内弁がにじみでるほど勉強しました」と苦労話を披露。次にコメントするヒロイン、朋江役の宮沢にマイクを譲る際、「お先に失礼しました」と庄内弁で一言。場内の笑いを誘った。宮沢も真田と同じく「日常の動作全てが自然に見えるように、縫い物やたすきをかける仕草など、頭で別のことを考えていても、体が勝手に動くようになるまで練習しました」と、リアリティある役作りに苦労したという。11月2日よりロードショー。