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現代のニューオリンズを舞台に、横暴なドラキュラ伯爵に悩まされる従者、レンフィールドが自らの人生を取り戻すため主人との対決に挑む様を描いたホラーアクションコメディ。
数百年の時を生きる邪悪な吸血鬼、ドラキュラ伯爵を演じるのは『キック・アス』『スパイダーマン:スパイダーバース』の、オスカー俳優ニコラス・ケイジ。
ドラキュラの命令と倫理観との間で板挟みになる従者、ロバート・モンタギュー・レンフィールドを演じるのは『X-MEN』シリーズや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニコラス・ホルト。
街を牛耳るギャング団の逮捕に執念を燃やす善き女性警官、レベッカ・クインシーを演じるのは『オーシャンズ8』『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の、名優オークワフィナ。
ご存知ブラム・ストーカーの小説、「吸血鬼ドラキュラ」(1897)を現代風にアレンジ。レンフィールドとドラキュラ伯爵の関係を共依存として描くことで、この怪奇物語の古典をDVやブラック企業などのアレゴリーとして生まれ変わらせた。
そもそも本作は「ダーク・ユニバース」というシェアード・ユニバースの中の1本として企画されていた。これはトム・クルーズ主演作『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(2017)から始まる、ユニバーサル・スタジオが製作していた往年の名作ホラー映画をリメイクし、それをひとつのユニバースとして展開しようというものだったのだが、『ザ・マミー』が興行/批評共に失敗してしまったため、まさかの1作目で立ち消えになってしまった。
しかし、ユニバース化が中断されたとはいえリメイク計画自体はその後も生き続けていたようで、第2弾としてエリザベス・モス主演作『透明人間』(2020)が公開される。これが予想外の大ヒット!!たった700万ドルで作られたこの作品は、1億4,000万ドルを超える興行収入を叩き出した。
これに気を良くしたユニバーサルが生み出したのが本作。主演にニコラス・ホルト、ドラキュラ伯爵にニコラス・ケイジ、ヒロインにオークワフィナと、超豪華スターを配して作られた力作だったのだが……。
あのさぁ……。そりゃこんなもん大コケするに決まってるだろっ!!ホラー映画の古典中の古典、『魔人ドラキュラ』(1931)をコメディタッチでリメイクするという試みは理解出来るし、テーマを現代風に再設定するのも良いんだけど、とにかくアクション、ストーリー、演出と、全てがゆる過ぎる。最初こそあまりにチープな人体破壊やおバカなやり取りにガハハと笑っていたのだが、そんなのがずっと続くと流石に飽きる。93分という手頃なランタイムにも拘らず、めちゃくちゃ長く感じてしまった。
俳優陣の怪演、特にニコラス・ケイジとニコラス・ホルトのWニコラスの演技合戦は見応えがある。ただ、キャスト間にケミストリーが生まれているとは言い難く、それぞれが個人競技で突っ走っているようなチグハグさを感じずにはいられない。特にニコラス・ホルトとオークワフィナのコンビなんて情緒のかけらもなく、全くロマンスの香りが漂ってこない。せっかくスターを揃えてもこれじゃあ意味がありません。
“ドラキュラ“という大ネタを活かしきれなかった残念な作品。制作費6,500万ドルに対し興行収入は2,700万ドルと大爆死してしまい日本ではDVD/配信スルーとなってしまったのだが、それも宜なるかな。
ただ、不思議と愛嬌はあるので嫌いにはなれない。ドラキュラを演じるニコケイが実に楽しそうでなんか和む。「こんなもんでいいんだよ」には一歩足りないが、目くじらを立てるほど酷いわけじゃないし、休日をダラッと過ごす際のお供にはちょうど良いんじゃないですか?