「タクシーに乗せた老マダムの《走馬灯のように駆け巡る人生》」パリタクシー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
タクシーに乗せた老マダムの《走馬灯のように駆け巡る人生》
タクシーに乗った老マダムの《走馬灯のように駆け巡る人生》
エンディングの美しき男女のチークダンスに、見惚れてうっとりでした。
そしてそのあとのサキソフォーンのジャズ演奏。
サキソフォーンは咽び泣くような音色でセクシーです。
トリュフとフォアグラをワインで味わったような芳香な映画。
主人公の92歳の老婦人の人生は、波瀾万丈なのにとびっきりにゴージャス。
92歳のマドレーヌが一台のタクシーを呼ぷ。
その目的は一人暮らしを断念した彼女が、
パリ市内を東から西へ縦断して《最終目的地は介護付き特別老人ホーム》
タクシー運転手は56歳のベテラン・シャルル。
シャルルは金に困り、免許証も免停までにあと2点。
イライラしているけれど、マダムにはめっちゃ優しくて
礼儀正しい。
マドレーヌの人生をざざっと振り返ると。
★16歳の戦前のある日。ナチスに占拠されていたパリを解放しに来た
アメリカ兵と恋に落ちます。
甘い甘い思い出だけれど、その後すぐに恋人はアメリカに帰国してしまう。
彼女が言うには、彼は私に素晴らしい贈り物を遺して帰った・・・。
「それはなに?」
「3500グラムで50センチのものよ」
赤ちゃんを産んだマドレーヌは母親の助けも借りつつ
劇場のお針子として働く。
そして知り合って結婚した男が最低だった。
♥︎酒を飲むと息子のマチューを私生児と罵り、
マドレーヌを日常的に殴った。
遂にはマチューにも手を挙げる。
決心したマドレーヌの取った行動が過激です。
(阿部定はフランスにもいたのね?)
酒に睡眠薬を入れて眠らせると、夫の急所をガスバーナーで
焼き切ったのだ。
裁判の結果は禁錮25年。
模範囚として出獄すると更なる不幸が起こるのです。
出所を喜んでくれると思っていた息子のマチューが、実は
母親の猟奇的犯罪の風評被害で、辛い20数年を送っていたのだ。
大学を辞めた彼はそれでもカメラマンとして頭角を現し、
父親の祖国アメリカのベトナム戦争に派遣されて、従軍カメラマンとして
赴き戦死してしまうのだ。
その後の事は細かく語られないのですが、
シャルルの妻がネットで検索すると、
マドレーヌは「ウーマンリブのアイコン=象徴)
として知る人ぞ知る有名人だったのです。
ラストには、とても素晴らしいプレゼントを、
シャルル夫妻はマドレーヌから受け取る。
タクシー運転手さんにはホントにお世話になるなくてはならない職業ですが、
儲かるとか高給を貰ってるイメージはありませんね。
シャルルが、
「1日12時間運転して、1年に地球を3周もするけれど、
「遠くへ行ったこともない」
一期一会の奇跡のストーリー。
マドレーヌを演じているのはリーヌ・ルノーさん。
撮影当時94歳だったそうで、歌手として有名な方だそうです。
現在97歳でお元気だそうです。良かった😊
ホントに素敵なマダムですね。
お返事ありがとうございます♪
『オットーという男』にも出て来るんですよね。感覚の違いか、感謝の気持ちを表すという意味だとは思いますが。
またマドレーヌさん、どのようにして儲けられたのでしょう、と思います。
見たい、彼女の美しい声を聞きたい!でも運転手がーーーーー!
駅などでポスターが貼ってあるのを見て、残念に思ってます。運転手に倍賞千恵子さんが甘える感じというか可愛い感じというか、寄り添っています。その寄り添い方はマドレーヌだったら絶対にしない!どんな風に倍賞千恵子さんは演出されるのか、骨太の歴史と背景をもったマドレーヌを運転手くんはちゃんとわかってあげられる?大丈夫?俺、かっこいいじゃダメなのよー!と心の中で叫んでます。長々とすみません・・・
琥珀糖さん、よくぞいい質問をしてくださいました!私は今、悶々と悩んでいます。マドレーヌ役を倍賞千恵子さんが演じるのはいいんです、楽しみなんです、たとえ柴又からの移動にせよ(なぜこの監督は自分の映画引用をしょっちゅうするんだろう?)




