おひとりさま族

2021年製作/90分/韓国
原題:Aloners

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映画レビュー

4.5タイトルなし

2023年12月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

挨拶って美しいんだと思った。後半の展開が素晴らしい。
眠れないから彼女はテレビをつけたまま寝ていたのだ。そしてテレビは必需品だった。

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えみり

3.5お別れの挨拶

2023年12月10日
Androidアプリから投稿

この映画、現在韓国で流行りのフェミニズム映画ではない。一見すると、クレジットカード会社の有能なオペレータージニが孤独な自分の生活を見直し、心を開いていくヒューマンドラマのような体裁をしているが、もっとドメスティックな家族に関する物語なのではないだろうか。他の映画に例えるならば『ラースと、その彼女』に似ているのかもしれない。

本当はひとりが大嫌いなジニが自分の殻に閉じ籠り、他人との接触を極力避けて、いつも怒ったような表情をしていたのはなぜなのだろう。17年前に家族を捨てて数年前ひょっこり帰ってきた父親がまた母親と同居を始めた。直接的な原因は多分そこにあるのだろう。映画内ではっきりとした説明はないものの、自分を捨てた父親、そしてそれをあっさり受け入れてしまった母親を、ジニはどうしても許すことができなかったのではないだろうか。

この映画“あいさつ”が隠された謎を解く一つのキーワードになっている。アパートの隣室で孤独死した男の幽霊が、いつもベランダで🚬を吸いながら、黙って通り過ぎようとするジニにむかって「あいさつは?」と語りかける。職場ではつかえない新人ちゃんの教育係を任せられたものの、ジニが冷たく接したせいだろうか、ある日突然“あいさつ”もなく職場に来なくなってしまうのだ。この新人ちゃんとの関係が、擬似的な親と子の関係になっていることを観客は気づかなければならない。

隣に越してきた骨折男が名も知らぬ自殺男のため“さよなら会”を催しているのを目撃し、父さんが部屋に教会関係者を呼んで母親の49日を営んでいるのを(隠しカメラで)見たジニは気づくのである。「私、死んだお母さんにちゃんとお別れの挨拶したっけ?」会社を辞めた新人ちゃんへフォロー電話が亡き母親へのその“お別れの挨拶”(の代わり)になっているのである。ラスト、連絡先の表示名を母さん→父さんに変更したジニは、遅ればせながら母親の死を受け入れることができたのだろう。マッチで火をつけた🚬を線香代わりにして...

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かなり悪いオヤジ

4.0生きづらさ

2023年9月10日
PCから投稿

マイオンリーラブソングという2017年の韓国ドラマにコン・スンヨンが出ていてネットフリックスの“マイリスト”に入れて何度か見た。
コン・スンヨンは瑕疵のないAI顔をしている。純白の肌質感で、寄ってもそのままだった。

マイオンリーラブソングを見て以来折に触れ出演作を探していたが、あるにはあるのだろうが脇役だったりローカライズやVOD化されているのが見つからなかったりで、見つけられていなかったところへ、これがVODにあがっていた。インディーらしき映画だが主役で出ずっぱりで寄りのカメラでコン・スンヨンの欠乏に干上がっていた者にとっては慈雨だった。

どっちがきれいか──ということについて無意識的に比べることがある。
かつては、あっち(韓国)では整形がさかんであるというのがわたしたち日本人のdefenseになっていたがさすがにもう使えない。きょうびさまざまなメディアに露出する女性らはけっこうな確率でいじっている。もちろんいじることに問題はないし当人が幸福ならそれでいい。が、どっちがきれいかという無用な比較をすると敗色を感じる。とうぜんそんな比較はしなくていいことにしても。

コンスンヨンの実妹はTWICEのジョンヨンだそうだ。KPOPには疎いが姉妹を見ると穎脱の遺伝子を感じずにはいられないし、幼少を遡って“整形してないんだぜ”の論証も為されている。
韓国の美人姉妹といえば悪女のキム・オクビンとあなた、そこにいてくれますかのチェ・ソジンという強力なのもいる。整形か否かの博引旁証も為されている。

じぶんはものすごい小市民なので韓国女優が整形しているか否かという提起を、ある程度の興味をもってみることがある。そして、たいてい非整形が立証されるので、戸惑う。
無用な戸惑いだが、それは韓国人のほうが日本人よりもきれい──という戸惑いにほかならない。それがどうしたと言われればどうでもいいことなんだが──としか言えないが、意味不明の敗北を感じる。──という話。

──

インディーらしき映画だが韓国製なので技術や文法がちゃんとしている。そもそも他国の自主製作映画にこんなAI顔の人は出てこない。つくづくエンタメ産業立国を感じる映画で、話も台詞も役者も演技も撮影や行間もいい。乱暴に言ったらlittle是枝裕和、しみじみいい映画だった。

ジナ(スンヨン)は強い個人主義のオペレーター。誰であれ家族でさえ交わるのが煩わしい──というキャラクターが母の死を経て、新人教育を任され、個人主義が揺らぐというシノプシス。頑なな現実感とスンヨンの強い目力と、そこはかとない幻想値。新人役のチョン・ダウンも適任だった。

imdb6.8、RottenTomatoes98%と76%。

監督は長編一作目。来歴にはこれ一作のみで、ショートもない。映画へ転職して初めて作った映画がこのクオリティ。

きらびやかなエンタメばかりを見ていると意外に解らないものだが韓国社会で生きることは地獄でありそれを裏付けるニュースもしばしば目にする。OECD加盟国の中でもっとも高い自殺率。“82年生まれ、キム・ジヨン”のようなジェンダー差別のみならず強固な排他主義により他者に依存できない生きづらさの空気感。映画の中でさえそれは感じられる。

そんなきりきりと軋みをあげるつらい社会とAI顔のコン・スンヨンが絶妙バランス。
映画でもドラマでもぶっちゃけ顔の抵抗値が少ないほうが話に入り込める──ならば手堅いドラマづくりと、きれいな役者が同居するなら文句はない──という話。
コン・スンヨンは本作の演技によって全州映画賞と青龍映画賞で受賞したそうだ。

ところで韓国映画ドラマに関心・感興している日本人なのだが、韓国映画ドラマにはかならず日本ディスりがでてくる。ここでもディスりってほどではないのだが・・・繰り返し電話をしてくる“あたおか”顧客がいて、彼はタイムマシンで過去に行きたがっている。行きたいのは2002年で理由はワールドカップの日韓戦があったから。日韓戦のとき全国民が団結して盛り上がった、あの高揚へまた帰りたい──と彼は言うのだった。

韓国映画ドラマ大好きだが日本憎しを掲げると団結する人たちのエンタメに夢中になっていることは意識のどこかには留めておきたい、というか留めといたほうがいいんじゃないかとは思う。

米粉堂のラーメンがうまそうだったな。

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津次郎
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