耳穴

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耳穴

解説

耳かき職人となった孤独な青年の数奇な人生を描いた韓国製アニメ。ポン・ジュノやホ・ジノ、イム・サンスらが卒業生として知られる韓国の映画学校「韓国映画アカデミー」の長編課程(2008年)アニメーションコースの修了作品として、学生5名による共同監督方式で制作された。

小心者で孤独な青年チェ・ブルチャルは、耳かきサービス会社で働き始める。しかし、内気な性格のため顧客ともろくに話すことができない。その様子を見た社長が、ある薬をブルチャルに与える。それは、人体を耳の穴よりも小さくしてしまうという特別な薬だった。小さくなったブルチャルが直接耳の中に入って行う耳かきは顧客から大好評で、ブルチャルは次第に世間で注目される存在になっていく。そんなある日、ブルチャルは人の耳の穴の一番奥から、その人の心の深層がのぞけることに気付く。

2008年製作/65分/G/韓国
原題:The Story of Mr. Sorry
配給:エスピーオー
劇場公開日:2023年1月27日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0強烈な感性

2022年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

耳かき屋という、一風変わった職業に就いている男が、身体を小さくさせる薬を飲まされ、耳の中に直接入れるようになって、耳かき屋として人気ものになるという物語。耳の中には深層心理につながる入口があって、男はそこから人々の心理を覗き込む。人間の心の奥底が、耳垢だらけの耳の中のようにドロドロである。そんなドロドロ感が切り紙風のアニメーションで効果的にビジュアルとして表現されている。
殺人現場で見つかったクモを死刑にすべきか、投票によって決めるテレビ番組が流れるのだが、なかなかに強烈なブラックユーモアだ。
本作はアニメーション作品だけど、実写の韓国映画やドラマのように、人間の闇や欲望など、そういうのを抉り出すのが上手い。韓国エンタメは全体的に、良い人よりも悪人とか心の弱さを持った人の解像度が高い。本作はそんな韓国らしさを強く持っている作品だ。あとは社会の格差問題が当然のように取り入れられているのも韓国の作品らしいところ。

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杉本穂高