眩暈 VERTIGO

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眩暈 VERTIGO

解説

2019年1月に96歳で他界したアメリカ前衛芸術の父ジョナス・メカスを、盟友であった日本の詩人・吉増剛造が悼む姿を追ったドキュメンタリー。

リトアニア出身のメカスは1949年にニューヨークへ渡り、映像作家として自身の作品を発表する傍ら、マスコミや政治から作品を非難され窮地に陥ったアーティストたちに救いの手を差し伸べ、アメリカの前衛芸術を牽引する存在となった。日本における現代詩の先駆者で、1985年よりメカスと交流のあった吉増が、2020年1月にニューヨークを訪れ、マンハッタンとブルックリンにメカスの面影を追いながら追悼詩をつづっていく。

監督は、東日本大震災後に言葉を失った吉増が復活するまでを捉えたドキュメンタリー「幻を見るひと」の井上春生。詩人としても高く評価されるシンガーソングライターの佐野元春がテーマ音楽を手がけた。

2022年製作/117分/G/日本
配給:HUGMACHINE
劇場公開日:2022年12月13日

スタッフ・キャスト

監督
プロデューサー
山本礼二
エグゼクティブプロデューサー
井上春生
撮影監督
鈴木雅也
撮影
安田浩一
録音
森英司
中村太郎
編集
井上春生
語り
七木奏音
主題曲
佐野元春
協力エディター
宇田川健
カラーグレーディング
倉森武
サウンドデザイン
井上春生
ミキサー
菅野友和
渡辺美枝
DCPマスタリング
田巻源太
ポスターデザイン
ヘンミモリ
制作デスク
白崎裕美子
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映画レビュー

5.0泣いた

2023年9月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

凄く良かったです。
映画の最中も何回か泣いて、エンドロールではずっと泣いていました。

最初は恥ずかしながら、ウトウトしてしまったり、色々な演出やテレビドキュメンタリーのような説明の多さも気になったりしたのですが、それを圧倒するメカスと吉増剛造の内的世界がありました。

そして、不満に感じられた部分も作り手が精一杯繊細で豊かな彼らの世界に寄り添おうとして、彼らの世界を伝えようとして、試行錯誤した結果なのだと、終盤になるにつれて分かってきます。
撮る側、撮られる側、生きているもの、死んでいるもの、過去、未来、様々な方向への愛が行き交う映画でした。

また、詩における声の重要性もこの映画の主題のひとつだと思います。
メカスの息子セバスチャン氏の声の美しさ、吉増剛造の眩暈!という言葉に滲む心、ツェランの声、それらが噛み締めるように何度も思い返されます。
音声の演出にも苦心されており、ぜひ映画館で観ていただきたい映画です。
音声の演出は最初は戸惑うのですが、声に注意を向けるためには必要な演出だったと、見終わった後に実感しました。

映画館からの帰りに小さな橋を渡ったとき、暗い川面にゆらぐ光に、彼らの詩の国と自分の世界との繋がりを感じ、また泣いてしまいました。

演出については、色々な意見があると思います。
もっと芸術的に昇華させた美しい映画にする事も出来たと思います。
ですが、それをせず、2人の世界に誠実に寄り添い伝える道を選ばれた故の演出であると私は感じました。

詩の国の民との誠実な交感に果敢に挑んだ、素晴らしい作品だと私は思います。

多くの人に見て欲しい作品です。

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たま

5.0詩人が詩人を悼む。海を超えた素敵な映画を世界に残してもらえました。...

2023年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

詩人が詩人を悼む。海を超えた素敵な映画を世界に残してもらえました。吉増剛造さん、井上春生監督、ありがとう。

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共感した! 3件)
nonmom

1.5ゆるいTV番組にすぎない何か。

2023年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「吉増剛造とジョナス・メカスがすごい」ということと「この映画がすごい」ということは全く別なんだよね。この映画自体は、要するにCM動画を羅列したTV番組。詩人の言葉が吸引力をもって迫ってくる、その瞬間が「たまたま映り込んだシーン」がいくつか生き残っているにすぎないです。

詩人たちの言葉は、きいているとだんだん不思議な重力をはらみはじめるのです。だけどそもそも作り手の考えが甘くて、あるいは映画を「商品」にするのに性急で、この映画は詩人のことばを黙って聞いていられない。だからちゃんと画面を見ることを知っている観客は「ああ、なんでそこでカットするんだよ」「なんでそんなちょろい絵をインサートするの」と何度も何度もつぶやくことになる。

作り手の感覚がCMだから、ニューヨークといえばマンハッタンの輝かしい夜景のドローンショット、タクシーが走る道路、地下鉄のパフォーマーたち…と、ああ、どうにもこうにもありきたりすぎる映像ばかりがずらりと並ぶ。雪山とか海とか鳥とか馬とかの「おまえらこんなの好きだろ」なビューティーショットを詩人の顔にインサートする無神経さは広告ならでは。

こういうCM動画にすぎないものを映画として堂々と見せるようになったのは、日本映画の新しい流れ。みっともないから海外展開とかやめてほしいんだよね。いちいち日本語・英語を並列するのも、バイリンガル方針としても意味不明。時間かかってかったるいだけだよ。

こういう甘すぎる自称「映画」を一種の推薦作品として上映するミニシアターの蛮勇には、悪い意味で感心してしまう。作品選びのセンスって、ミニシアターのほとんど唯一の存在意義だと思うんだけど。

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milou