間借り屋の恋

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間借り屋の恋

解説

「草の響き」などに出演した俳優の林裕太を主演に、バーに間借りしたカレー屋で美味しいカレー作りに没頭する青年と、彼を取り巻く人々との人間模様を描いた。

都内のバーを間借りしてカレー屋を営業する杉田泰通は、3人の女性に恋をしていた。ひとりは大学時代の先輩の涼子、もうひとりは食材を配達してくれるリピ、そして最後のひとりはバーのマスターの妻である希だ。彼はその秘めた思いを自主制作のラジオ番組に送り、パーソナリティのマイケルとリスナーだけに打ち明けていた。このまま3人とは変わらぬ関係で、平凡な日々が続いていけばそれでいいと思っていたある日、希の夫である風源から思いも寄らない電話がかかってくる。

監督・脚本はこれが長編初作品となる増田嵩虎。

2021年製作/124分/PG12/日本
配給:国映映画研究部
劇場公開日:2022年11月19日

スタッフ・キャスト

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(C)2021 国映株式会社/坂本礼

映画レビュー

5.0ずっと浸っていたい、永遠に主人公を観てたい作品

2022年11月23日
iPhoneアプリから投稿

震えた。面白い…面白い面白い面白い…と叫びながら坂道を駆け降りたい衝動に駆られる、いや穴があったら入りたいの如し、坂道がここにあればそれをしたい、そのぐらいしないとこの気持ちは抑えられない、ぐらい面白いんです。お分かりですか?笑。

あるバーを間借りしてカレー屋さんをひとりで営み、日夜カレー作りに没頭する主人公。と、その主人公が恋する3人の女性。主人公がいつも楽しみに聴いているラジオにて、主人公の現状の恋の説明から入る冒頭にまず痺れたよ。やってくれるなあ…。心鷲掴み系作品きたぜ。
登場人物達がこれまた全員魅力がぎっしり詰まっている。傑作映画と言えばの定義のひとつである、脇役が脇役として、ただのストーリー展開のためにそこに立ってるんじゃ無くて、主人公以外の人達もひとりひとりが全員魅力的というポイントを華麗にクリアしてたね(8字前の熟語は主人公の職業を回収した訳ではございません…照)
あとあと、主人公が魅力的過ぎるとその人間の生き様を観ているだけで例えストーリーが展開しようがしまいが、ずーーーと見ていられるんだけど私は。「この世界の片隅に」「花束みたいな恋をした」が好きな理由もまさにそれなんですが、この作品もまさにそれです。それな、です。ずっと日常生活をただ見ていたい主人公を生み出した、そこで95%勝ち組なんです。勝ち負けなんて、本来賛否両論あるのが当たり前の媒体なのが映画だと思うので、意味を成さないかもですが…。私が囲碁でこの作品と戦っていたら、冒頭シーンのラジオのくだりで「わたしまけましたわ」なんて悔し紛れの回文なんぞ言ってたでしょう。(?)
なのに、だ。それだけじゃないという話をしましょう。境遇、親、小ネタ、ラジオ、元カノ、セフレ、身体の一部、間借り、片想い、お世話になってる人、カレー、などをこんなにも上手く繋ぎ合わせたストーリー展開・脚本、は、イコール脱帽なのだ…。難しい、こんな大傑作の感想を書くのも結局難しいからいっその事ラップにしたろうかと思うけどラップだと更に難しい。難しいけど感想を書いておきたい。パンフ無いので余韻に浸り辛いから、せめても自分の言葉だけ残しておいて、これを読み返して浸る為に。一晩おいて明日になって読み返したら更に上手く余韻を感じることでしょうから…。(さっきから、「カレーだけに」と心の中でちょいちょい思った貴方とは明日から親友になれます。)
回収か…。回収が上手い、という言葉を使って良いのか分からないけど、物語の随所随所の回収してく的なシーンも、気持ち良いというか心地良いというか、いや違うなあ。なんかほっこりするんだよなあ。実際のこの作品世界の中にいる人だったら、ぎくりだのギョッだの思うだろうけど、観客として観ているこちらとしてはほっこりするし、ジーンとするし、笑っちゃうし、酷い衝撃では無いんだけど心が踊らされてるんだよね気付くと。うんうん。
劇中で入院中のマスターが、刺激が欲しいからカレーが食べたいなんて事を言うシーンがあったとおもうけど…そうなんだよなあ。映画やテレビを見る時って、ある程度刺激を求めていたりするんだけど、どちらかというと「静」なこの作品なのに、とても刺激的なのは、衝撃的ドラマティック展開が起きた訳じゃ無いように見せかけて…見せかけて、たくさん驚く事がちょこちょこ起きて、知らず知らずのうちに刺激をちゃんと摂取出来てしまっているのだよ。最初は1辛から始めたのに、最終的に10辛くらいまできてしまっている。これを観たみんな、ちゃんと刺激を美味しく味わって劇場を後にする事ができる。凄いよ。中本なのかよ。(例えが麺かよ)
でも刺激は味わえるけど、お腹はとてもすきます。劇中のカレーがめちゃくちゃ美味しそうだから。でもね、こんなにも面白い刺激な作品なら、白飯片手に映画館行っても作品おかずにおかわり3杯はいけるかしらとも思いました。(そんなやばいお客さんは居ないので悪しからず)
あとあと、私がこういった映画感想の中で口酸っぱく散々言い続けているけど、恋愛作品における1番重要なポイントがありまして…
「誰かに好かれている」「恋されている」人間の、その魅力というか性的な恋愛対象としての魅力がこちら側に伝わってくること。人によっちゃ色んな映画の見方があるんだろうけど、超共感型で映画を観ている私的には、ちゃんと劇中の、「誰かに好かれているその人」に、私もちゃんと恋したいんだよ。主人公と並行して、主人公と同じ人にドキドキがしたい。んだよ。それで言えば主人公が恋する3人の女性、3人とも超良かった。先輩…見た目も可愛いし綺麗だけど、言動が超かわいかった。愛おしい。人間らしさも自分の気持ちに正直なところも、変なプライドもなく駆け引きをしないとこもすき。リピ…見た目美し過ぎる、造形美な顔立ち。本人そのつもり無いんだろうけどクールでさばさばしている。男子が追いかけたくなるような女性。しかし基本素直で、ある種のギャップがあり、かわいい。希さん…見た目がもう色っぽいし、上品な女性と守ってあげたくなるとこと色っぽさのバランス最高。
そう、そういうとこ。ちゃんと主人公と同じ気持ちにさせてくれる。同時に複数を好きになるなんて、誰の事も好きじゃないのと一緒だよなんて昔からよく言われる説だけど、いや、そんな事ってあるもんなんだよ。全て本当なんだよ。しょうがないけどそれも人間に生まれたが故に起こりうることなんだよ。むしろ素敵なことでもあるんだよ。恋愛作品として高度なところを歩んでる作品だったな。
補足で、冴えないめの主人公が、気付けば周りにかわいい綺麗な人達が集まっちゃってる画はとても好きです。私がどっかの映画館の館長なら、モテキと街の上でと間借り屋の恋を同時上映し、トークゲストでI''sの桂正和先生を呼ぶ事でしょう。(この気持ちが分かる人とは、男はつらいよと東京センチメンタルとデザイナー渋井直人の休日について是非語りたいね) 叶えられないとしても夢が広がるなあ。わくわくしちゃう。
主人公や3人の女性以外も、もう凄いのよ。登場人物たち。バーのマスターも面白くてかわいい。マスターと希の友人・飛江田さんも最高に愛おしい。(これは舞台挨拶で増田監督と登壇した大迫一平さんの人柄の良さを垣間見た影響もある笑) 登場人物たち、みんな次にどんな言動をするのか分かりそうで分からなくて、それってモテる人間のよくする行動でもある訳で、だからあなた達全員目が離せないし魅力のかたまりなんですね!って強めな口調で言いたい笑。んで、まさかラジオのパーソナリティがねえ…。私もあのラジオ聴きたいよう。ラジオも更に大好きになってしまう始末だった。
カレーは作った人の人柄が出るとのことでしたが、映画もまさにそうだと思いました。
主人公の心の葛藤が心情がここまで最高の作品へと昇華されるとはね。映画エンタメの可能性は無限大だ。あの主人公のエピソードがこの2時間でしか観れないなんて、幸せな2時間だけど終わった後の喪失感も大きかった。
ずっと浸っていたい、永遠に観てたい作品でした。

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まつこ
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