ジャズマンズ・ブルース

登場人物が多すぎる。それぞれの家庭がとても複雑なはずなのに、余りにもあっさりと描かれている。また、相関関係がめちゃくちゃ。差別する側の白人のキャラクター設定が余りにも単調。こんな鈍感で暴力だけの白人は、KKKでもいないと思う。KKKの構造は複雑で、暴力的であっても狡猾なはずだ。
時代設定も無視されている。黒人が第二次世界大戦に徴兵されたとは考えにくいし、無事に帰って来れる確率は低い。また、強制収容所に入れられたユダヤ人が無事に戻って、アメリカでプロモーターをやっていける確率はとても低い。
出来るだけ現実に近づけようとしているのは分かる。しかし、ユダヤ系のドイツ人は白人であり、黒人を食い物にしていた事がすっかり抜けている。
ジョージア州の人達は差別するがシカゴでは違う。そんなことは絶対に無い。
ミュージカル仕立てにしている努力は分かるが、途中の『スィングしなけりゃ意味がない』の編曲は完全に現代の編曲だ。また、『ブルース』と言いながら、ブルース感が醸し出されていない。それも編曲が現代風だからだと思う。
商業主義的映画で白人の監督だが『マンディンゴ』の方がしっかりと描かれていたと思う。残念ながら。

黒人コミュニティにしっかりと根差した役割を果たしている感のある重鎮タイラー・ペリー脚本監督Netflixオリジナル映画。バユとバケツ、17歳と16歳のときに始まる禁じられた愛の物語。人種差別から戦争モノや他者を排斥する民族対立、階級差など様々なテーマに通ずる普遍的な悲恋。ブルースというジャンル自体、"blues"という名前からして黒人奴隷の悲しみや苦悩、葛藤を歌っていたものであるから、その点で音楽本来の起源にも立ち返る。

1937年
字を読めない主人公は、実は美声な歌声の持ち主。デリカシーのないやたらの命令口調/高圧的な父親バスターと兄ウィリーに役立たずと疎まれ/嫌われてきた主人公、だから自己肯定感が高くなさそう。洗濯婦の母親だけが家族の中で彼に優しく接する。兄にバカにされイジメられるものがたら町の女の子たちにも今まで笑われ蔑まれてきた。だけど、"バケツ"リアンだけは自信を与えてくれる存在。蔑称で呼ばれる二人の汚れのない純粋なときは長くは続かず、ひと夏の思い出となる…。

1947年
時が経ち再会した彼女は、肌の色が薄いから白人のフリして裕福な白人男性どの結婚を控えていた。危険と隣り合わせの日々！母親と黒人居住区域に住む主人公の返送されても書き続けていた手紙。一方で、彼女はときめきを感じたことのない夫と暮らしている。二人の人目を忍んで密会。第二次世界大戦での悲しい過去を抱えた敏腕エージェント白人アイラとやって来た、夢見る兄ウィリーは麻薬中毒ジャンキーになっていた。そして迫る命の危険…。

"紙ひこうき"
天賦の才で成功して売れていく主人公、落ちていく兄。自分のヤク中のくせして逆恨み甚だしい嫉妬だけどこれまたあるある。これだけは覚えておけよ、お前を絶対に許さない。俺よりお前を愛してた過去あり。一方その頃、出産するリアン。郵便物は検閲され仕送りもできないで、かつては黒人たちで賑わっていたのに今では誰も寄り付かなくなってしまった母の店へ賑わいを取り戻そうと帰省することを決める主人公。もう逃げない…。

勝手に関連作品『PASSING ー白い黒人ー』『きみに読む物語』『タイタニック』『美女と野獣』『エデンより彼方に』
なぜいじめる？見つかれば殺される
君はここで幸せに暮らせる。あなたたち親子は危険な立場にいる、黒人女性よ人生は残酷よ。だから責めはしない。覚悟して読みなさい。口笛を吹いた。妻はいつも黒人をかばう。南部の紳士を止められる人なんていないわ。家を燃やせ、火をつけろ！前に進めばいつか助けに戻ってこられる。生きる術