配信開始日 2022年6月3日

「悪人のいない気持ち良い世界」ハリウッド・スターガール 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悪人のいない気持ち良い世界

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

いまどき珍しいくらいピュアでまっすぐな夢物語だった。スターガールというちょっと変わった名前の女の子が母親の仕事の都合でLAに引っ越してくる。彼女は歌うことが好きでアパートでうたっていたら、近所の映画作りを夢見る兄弟にスカウトされ自主映画作りに邁進する。iPhoneで撮影する手作り感満載のその作品は、ハリウッドのプロデューサーに気に入られ、とんとん拍子で進むのだが、不思議と嫌味もいやらしさも感じない。
登場人物がみんな良い人だ。頑固なおじいちゃんは実は昔映画のプロデューサーで、スターガールに協力してくれる。かつての有名シンガーは場末のバーで飲んだくれる日々だが、スターガールの情熱に促され音楽作りを手伝う。ハリウッドの現役プロデューサーも、こういう映画の場合若者を利用しようとする悪人であることが多いが、ただ純粋に若者を応援してくれる良い人だった。
主役のグレース・ヴァンダーウォールが素晴らしかった。彼女は前作が俳優デビューだったそうだが、さすがオーディション番組で見出された才能だけあって天性のスター性がある。これからも歌手活動と並行して俳優業をやってほしい。

杉本穂高