「かっこいいヒョジュ」パイレーツ 失われた王家の秘宝 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0かっこいいヒョジュ

2022年3月4日
PCから投稿

ネトフリで見つけたハン・ヒョジュのひさびさの冠映画!
いつものおしとやかな印象とは打って変わった鉄火肌の姉御、荒くれ男達をしたがえ、いつになく精悍でした。
美白も褐色にしていたのでクレジットを見ていなければヒョジュと解らなかったかもしれません。
ヒョジュに加え、好きな韓ドラ(最強配達人)に出ていたチェ・スビンが出ていました。垂れ目で感じのいい妹タイプの女優。
ヒョジュとスビンはじぶん的に贅沢すぎる配役でした。

映画は荒唐無稽な宝島譚になっています。
演出というより、編集が(すごく)じょうずです。
コマ割りの漫画を見ているような展開をします。
「ひょい」という感じで、場所や時間を移動し、また戻ってきます。

テンションの高いファンタジーが描かれているばあい、個人的にもっとも着目する/したいのは「小っ恥ずかしさの払拭」です。

仮想世界を見知った俳優たちが演じるばあい、どうしても「世界観+設定ゆえに、そんな格好/態度なんだな」という、観衆側の醒めが生じてしまうものです。

たとえばいつになくテンションが高いヒョジュにたいして頑張って役に合わせている感が見えてしまうなら、そこが賛否の分かれ目になってしまうわけです。つまりファンタジーには「本気でばかをやる気配」が必要だと思うのです。

韓国映画には「本気でばかをやる気配」があります。また韓国映画/ドラマでよく見るベテランの中堅がヒロイン/ヒーローを支えています。荒唐無稽な題材を、そつなくまとめていると思いました。

ところでエンタメにある「本気でばかをやる気配」によって、観衆にわかるのは製作陣の「ばかじゃない度」です。

ぎゃくに「本気でばかをやっていない気配」によって、観衆にわかるのは製作陣の「ばか度」です。

背反していますが、エンタメとはそういうものだと思います。

その意味で韓国の映画/ドラマは冷静です。
現実の韓国はそうでもないのに。

ぎゃくに日本のドラマはぬけていると思います。
ぜんぶとは言いませんが日本の映画/ドラマはばかっぽいです。

エンタメがおよぼす影響について韓国は知っているはずです。
韓国で整形が一般化しているのは見た目を修整することが対外的に立場を良くするという考えからだと思います。
そのアイデンティティが韓国のエンタメ(映画/ドラマ)の発展に寄与している気がしています。

多くの日本人が韓国映画/ドラマを好んで見ています。
韓国で日本は国をあげて敵視され排斥され不買されています。
にもかかわらず、多くの日本人が韓国映画/ドラマ/アイドルに入れあげています。

民間レベルでは国家間の対立は関係がないかもしれません。
としてもあっちの文科省(のような機関)の政略として「他国の大衆の注視をエンタメに引きつけておくこと」があるとすれば、わたしたち日本人は、かれらの術中に、まんまとはまっている──と言える、かもしれません。

映画/ドラマ、エンタメの発展は、下手な政治以上に大衆をコントロールできる。と個人的には思っています。
パラサイトやミナリを見たアメリカの大衆は、日本と韓国が同音量で話した場合、韓国の味方につく──ことがあるかもしれません。エンタメの効能とはそういうもの。わたしたちとて爆弾二個落とされているのにアメリカがだいすきなわけです。USAと歌い踊るほどに。

話は変わりますが、韓国国内の韓国映画興行成績ランキングを(ウィキで)見たら1位がバトル・オーシャン海上決戦(2014)でした。

『丁酉倭乱(慶長の役)における鳴梁海戦を描く。韓国で興行収入・観客動員数ほか歴代新記録を次々に樹立した。観客動員数は1,760万人を突破し、韓国国内での歴代観客動員数1位(2019年現在)。』
(バトル・オーシャン海上決戦のウィキペディアより)

慶長の役は(韓国側の解釈において)寡兵で秀吉の大群を破ったとされる戦いです。
日本の艦300隻に対し、わずか13隻の艦で国を守ったとされ、時の提督、李舜臣は韓国では英雄とされています。が、(言うまでもなく)事実はちがいます。

『現代の韓国ではこの戦いを“鳴梁大捷”と呼ぶなど「日本に大勝した海戦」と認識されており、日本水軍の参加兵力が「軍船133隻、運送船200隻」、損失が「沈没31隻、大破92隻、8000〜9000人が戦死」といった、戦果を250倍に誇張したと思われる創作的な主張も行われている。 実際には、例えば船手衆として左軍に加わった日本水軍の兵力は藤堂高虎(2,800)、加藤嘉明(2,400)、脇坂安治(1,200)、来島通総(600)、菅平右衛門達長(200)の7,200名であり、これに若干の他家の水軍を加えたとしても8,000人に満たないと思われる。さらに鳴梁海戦においては大型船(安宅船)を用いず、中型船である関船を選抜して運用していた旨が「高山公実録」に記されていることからも、上記に挙げた数字には無理がある。また、李舜臣自らが著した「乱中日記」には“賊船三十隻撞破”とあるだけであり、撃沈確認の記述はなく、また艦船を大破させた旨の記述もなく、対戦した敵船の大きさも、敵軍である日本側の戦死者数も記録されてはいない。同時に、自軍側に仮に軽微であっとしても、真っ当に戦闘を行っているならなにかしらの物的・人的な損害が出ていると思われるが、記録されていない。したがって、「朝鮮水軍は12〜14隻で、日本側水軍の先鋒の中型船30隻を攻撃したのち戦場を離脱、当該海域の制海権を放棄し、その日の内に日本水軍による追撃を避け遠方まで撤退」となる。』
(ウィキペディア、鳴梁海戦より)

バトル・オーシャン海上決戦や軍艦島のように日本を悪に仕立てて勧善懲悪の胸躍るドラマをつくれば、たとえねつ造でも、彼らの中には確固たる正義が形成されます。

バトル・オーシャンも軍艦島も見ていますがヒロイックでエキサイティングなアクションでした。知らなければ欺されると思います。

韓国映画/ドラマは諸外国を韓国好きにさせると同時に国内感情もつくってます。

国内感情をつくるといえば日本にもそれがあります。ありますが、逆に「自虐の国内感情」をつくる映画があります。主戦場とか新聞記者とかがそれです。

つまり、韓国では韓国人は立派だったんだぜという嘘映画をつくっています。
日本では日本人はクソだったんだぜという嘘映画をつくっています。わら。

嘘に議論も中立もありませんがリテラシーのない大衆は引っかかります。バトルオーシャンや新聞記者の興行成績はそれを如実にあらわしています。
生物兵器とか慰安婦とか佐渡金山とか軍艦島とかそういう無い事実に論争や問題提起の余地なんかありません。与する奴はまっとうな日本人ではありません。(個人の見解にすぎません。)

しつこくババぬきをしようって言ってくるのですが、わたし(日本)は相手(韓国)の手の内がぜんぶババなのを知っている。──という話です。

韓国映画/ドラマで日本が絡むばあい、日本はばかや卑怯者に描かれます。本作でもカタコトの日本語を話す倭寇がでてきます。倭寇は弱くてばかでひきょう者です。

韓国のエンタメ(映画/ドラマ/アイドル)が好きなのはいいと思います。わたしも好きです。日本のそれよりずっと楽しいです。でも国家として韓国はきらいです──という信条を持っておくのはリテラシーだと思ったりします。(んなこと言えた玉じゃありませんが)国が蔑まれていたら是認してはいけない。と思います。

楽しい映画でした。

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津次郎