劇場公開日 2021年12月17日

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「ジョン・ベルーシ。アナーキーに時代を駆け抜けた天才コメディアン」BELUSHI ベルーシ 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジョン・ベルーシ。アナーキーに時代を駆け抜けた天才コメディアン

2021年12月15日
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初めて見たのは『アニマル・ハウス』(78)。ジョン・ランディス(監督)、アイヴァン・ライトマン(製作)、ハロルド・レイミス(脚本)等、後にハリウッド・コメディを牽引していく精鋭たちが集結した学園コメディで、新入生たちの前に現れる強烈な先輩を演じていたのがジョン・ベルーシだった。ほとんどセリフはなく、飲み干したビールの缶を額に押し当てて凹ませるとか、アナーキーなギャグで画面を圧倒するその不敵な存在に、妙に心を揺さぶられた思い出がある。しかし、類い稀な才能に恵まれながら、人気を維持することの不安に苛まれ続けたベルーシが、やがて、麻薬の過剰摂取によって33歳の若さでこの世を去るなんて、当時は思ってもみなかった。

そんな天才コメディアンの短すぎた半生を、残された最愛の妻が提供した秘蔵映像と共に振り返る人物ドキュメントは、ミュージシャンでもあったベルーシが盟友のダン・アイクロイドと共に立ち上げたユニット、ブルース・ブラザースの活動についても触れられている。実はその映画版『ブルース・ブラザース』(80)のキャンペーンで来日した際、ベルーシとアイクロイドが取材の合間に東京の吉祥寺にあるライブハウス"のろ"に飛び入りで出演し、ブルースを2、3曲演奏してご機嫌で帰っていったという日本フレンドリーなエピソードも。

本作はそんな楽しい出来事も思い出させてくれる、懐かしくも痛々しい人物回顧録。因みに、アイクロイドがベルーシのために用意していた次回作が『ゴーストバスターズ』(80)で、代役を務めたのがビル・マーレイ。来年2月には久々の続編が公開される。

清藤秀人